はじめに
帰ってもビニール手袋の匂いが指に残る。惣菜カウンターで笑顔だけが評価され、黙る夜が続いた
ある夜、バックヤードの扉を閉めても、フライヤーの低音が耳の奥に残っていました。手袋をめくると、指先にゴムと油の匂いがまだしみこんでいる気がします。
はじめまして、なおです。地元のスーパーで、惣菜の盛り付けと値札まわりのパートをしています。39歳。
客の前では笑顔を作ります。でも、評価に残るのは、だいたい声のトーンとクローズ前の売れ残りグラムだけでした。トングがケースに当たる音と、立ちっぱなしの足の重さが、シフト後まで続きます。
店のLINEに副業のスクショが流れてくる夜。スタンプで返してから、声が少し小さくなる自分がいました。
今は、笑顔の回数だけで自分の価値を測るのをやめました。帰宅後は、ブログや記事の「何人が読んだか」「どこで離脱したか」という記録だけを見て、次の一行を決めるようにしています。
廃棄のシールを貼ったトレーを片付けたあとでも、文章の記録は少しずつ増えていく。座ったまま、内緒で第2の柱を育てています。
CHAPTER 01
カウンターの延長だけの副業は、もうやめた
帰っても廃棄のグラムばかり頭に残って、結局何もできない夜、ありませんか。
広告の「在宅」「未経験OK」は毎日見ます。でも、立ちっぱなしで声を張る仕事の延長みたいな副業は、もう無理だと分かっていました。
このまま数字だけを反芻する夜は限界でした。派手な保証には触れず、記録だけを見て順番を直す型を探していました。
CHAPTER 02
きれいな「おすすめレシピ」だけでは、誰も最後まで読まなかった
写真だけきれいな「おすすめレシピ」だけを並べた記事は、最後まで読まれませんでした。
やけくそで書いた「ありのままの話」だけが、同じカウンター裏で黙っていた人に、最後まで読まれた。
能力が足りなかったのではなく、評価される場所が売り場とネットで違っただけだと気づきました。
CHAPTER 03
トングを置いたあとも、柱ができた
今でも惣菜の仕事は続けています。今日辞めるつもりはありません。ただ、帰宅後に毎回つぶれる日が、減りました。
フライヤーの音を聞き続けなくても、ブログの読者数や記事の記録は、少しずつ増えていく。それだけで、次のシフト前を迎えられるようになりました。
最後に:手袋の匂いを抱えたあなたへ
向いていないのではなく、笑顔とグラムだけで測られる場所に、立っていただけです。
見ている場所を変えれば、夜はもう少し、軽くなります。
