こんにちは。
渡邉希久子です。
スナフキンの歌「春のしらべ」①の続きです。
数あるムーミン童話の中でも
かなり大人よりのお話がぎゅっと詰まっていて
ムーミン谷に登場する様々なキャラクターが主人公になったお話です。
その中でも、よくご存知のスナフキンがメインのお話「春のしらべ」
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さて、スナフキンの前に突然現れた、このはい虫ですが
長年憧れていたスナフキンに初めて出会った事で舞い上がってしまいます。
おそらく、この名前のない”はい虫”の心情は
生まれて初めて見た母親のような感覚です。
もう、スナフキンの話すことだったら、何だっていいのです!
おずおずしながらも、はい虫はスナフキンに近寄って
ムーミン谷でスナフキンを待っているムーミンのことを
「だれかがあんたにあこがれていて、
もう一度あいたいと思ってまっているのを知るのはさぞ気持ちのいいことでしょうね」
と言ってしまい
ひとりでいることを楽しんでいたスナフキンの心をかき乱してしまいます。
うんざりしてしまったスナフキンを見て
さすがのはい虫もスナフキンの時間を邪魔していると感じ
その場を立ち去ろうとします。
その態度を不憫に思ったのか
スナフキンは、はい虫に名前を付けてやるのでした。
その名も「ティーティ=ウー」
ただのはい虫から、名前を命名された「ティーティ=ウー」に
雷を打たれたような衝撃が走ります。
ティーティ=ウーは、スナフキンが呼び止めるのも聞かずに
ひとりでどこかへ行ってしまうのでした。
一方、さっきのさっきまで
自分のことを慕っていた存在が
突然いなくなってしまったスナフキンの頭の中は
ティーティ=ウーでいっぱいになってしまい
居ても立ってもいられず、ティーティ=ウーを探し始めます。
森の中で「ティーティ=ウー」と呼んでも返事はありません。
やっとこさ久しぶりに出会ったティーティ=ウーは
いつの間にか親元を離れて
自分の家をせっせと建てているところでした。
いそいそと忙しく立ち回り、家を建てるために、
もうスナフキンには構ってられないという様子です。
そして、以前のようなスナフキンを崇拝する態度では
もうありません。
ティーティ=ウーはこんなことを言います。
「ー中略ー
いまは、ぼく、一個の人格なんです。
だから、できごとはすべて、なにかの意味をもつんです。
だって、それはただおこるんじゃなくて、
ぼく、ティーティ=ウーにおこっているんですからね。
ー中略ー」
名前をもらったことで
一個の人格となった「ティーティ=ウー」
楽しそうに夢中になって家を建てている
ティーティ=ウーはこう言います。
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「チェーリオ。ムーミントロールに、ぼくからよろしくつたえてください。
ぼくは、ありったけ生きるのをいそがなくちゃならないんです。
もうずいぶん時間をむだにしちまったもんでね」
それっきり、ティーティ=ウーはいってしまいました。
「ふうん。よし、わかった」
と、スナフキンはひとりごとをいいました。
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ひとりでいること
一個の人格
人との距離感
これらが物語の中にさりげなく見え隠れします。
また
人を想いながらも、ひとりでいることを愛する
作者の心情とも思えるような氣持ちが
最後の文章に表れているように思います。
そして、再び、ひとりになったスナフキンに
ティーティ=ウーに会う前の
あの「しらべ」が戻ってきます。
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第一部はあこがれ、第二部と第3部は春のかなしみ、
それから、そうです、たったひとりでいることの
大きな大きなよろこびでした。
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また現在、ライフワークとして
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