キ・チョル命のヤンガクさんです♡

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「府院君さまぁぁ〜〜〜」

典医寺の門から情けなくも大きな声が聞こえてくる


「来ましたね」
「ああ・・・」

チャン侍医の言葉に頷けば、勝手に入ってきた白い髪の男と、怪しい男

キ・チョルの舎弟のチョヌムジャと、薬師のヤンガクだった



「おぉ・・・おぉ・・・・府院君さま
これは一体どういうことだ!」

寝台に寝かせているキ・チョルをみてヤンガクが大騒ぎしだしたんだが・・・


「病人のそばで騒ぐな!!!」

私の一喝で黙ったヤンガク

「キ・チョルには常習している薬はあるのか?」
「府院君様がお健やかに過ごされるよう、常日頃から  私が  気を配っておるのだ!!」


・・・・・・・なんでドヤ顔なんだ?


鼻息あらくドヤ顔を見せているヤンガク



だが私の質問に答えてないと、気づいているのか?



「キ・チョルにどんな薬を使っていたんだ?」
「それは・・・秘密だ!」


自分の秘薬だから明かせないとか  のたまうヤンガク


「治療に必要なことだ、話してはくれないか?」


「ふん!!!  
そんなことを言って、お前達は私の秘薬の配合を知りたいだけだろう?
当代随一の薬師であるこの私の秘薬が、知りたいのであろう?

ふん!!!
そこの典医寺の藪医者のチャンや、医仙だなどと騙しているお前如きに教えるわけがないだろう!!!
だいたい医仙だなどと嘘をついて騙すような者などに治療されるなど、府院君様がお可哀想だ!!!」



【 だんっっ!!! 】



私はベラベラと喋るヤンガクの横の壁を、拳で叩いた


「・・・・・・キ・チョルを連れて行け」
「な、なんだ?」

「当代随一の薬師なんだろう?
しがない医師の私より腕の良いお前なら、意識の戻らないキ・チョルも元に戻せるのだろう?

いつもお前が使っていた薬が、先ほど徳興君に盛られた毒に反応して【 より状態を悪くしている 】ことにも、腕の良いお前なら対処できるのであろう?」

「・・・・・・・・・・・」


黙りこむヤンガクを、私は鋭く見つめた


「こちらに敵意を剥き出しにして突っかかってくるんだ、私なんぞの治療など要らぬであろう?

さあ、早いとこ連れてってくれ!!!

ああ、そうだ・・・・キ・チョルは脈も呼吸も弱り、いつ心臓が止まってもおかしくない状態だがな・・・

気をつけて運べば屋敷までは持つだろうよ

さあ、早く連れて行け!!!」


「・・・・・そんなにお悪いのか?」

「さあ〜な、自分で診たてればいいだろう?
・・・・・腕自慢の薬師様」

「うっ・・・・・」




私のことはともかく、チャン侍医のことを藪医者呼ばわりし、嘲る目の前の男に私は怒りがわいていた


ヤンガクは「うっ」と言ったまま動かずにいる


木の棒と布で作った担架・・・  それをヤンガクに放り投げる

思わず反射的に受け取ったヤンガク


「それを貸してやる!
さっさと運んで行きやがれ!!!」


私はハッキリと治療拒否を宣言した


「チョヌムジャ、手伝ってやれよ」
「・・・・・・・聞いてもいいか?」


寡黙な男が、ポツリと言葉をこぼした


「なんだ?」
「このまま屋敷に連れ帰って・・・舎兄は助かるのか?」


「・・・・・まず無理だろうな」
「・・・・・なぜ?」


不思議そうに問うチョヌムジャ


「そこの薬師は毒使いだ・・・人を殺す目的の知識ばかりだろう
チャン侍医の様に人を救おうとする医術に長じた者ではない

知識も経験も人殺しのものばかりな者が、この難しい状態の患者を救えるとは全く思わない!!!」

「それでも帰れと?」

哀しそうなチョヌムジャが、つぶやく



「・・・・・チャン侍医を嘲ることなど、私は許さない・・・・・
相手がキ・チョルでも毒の充満した部屋から救い出し、真摯に治療していた彼を・・

藪だの何だのと つまらない自尊心で馬鹿にする愚か者・・・・・
彼奴は、私の逆鱗にふれたんだ」


私を怒らせたヤンガクは、青い顔をして固まっていた


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自分のことよりチャン侍医を馬鹿にされて、お怒りなリオンでした!