キ・チョルが坤成殿に普通に入って来ます
ドラマを見ると本当に、普通に歩いてくるんです(笑)

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「リオン様、医仙殿・・・ご機嫌は麗しゅうございますか?」

「ここは王妃様のおられる坤成殿ですぞ!
・・・・・・何の御用なのですか」


・・・・・・キ・チョル、お前が何用でここに!

しかもその視線は  リオン様へと向かっている

私はリオン様の前に出ますが、リオン様・・・大人しく私の背後にいて下さい

この方は私の背後から出られて、真っ向からキ・チョルと対峙なされるのだから・・・・・




「・・・・・何用だ?」
「おお!  これはリオン様・・・・お美しく装われておられますな」

「ああ、誰ぞに怪我を負わせられたのでな、大人しく静養しろと着せられた」
「・・・・・・怪我を?」

ぴくり、と眉が動くキ・チョルだが・・・・・

「なんと!  もしやあの折の?」
「ああ・・・誰ぞの剣が重くてな、腕は腫れるし、痛いし、えらい目にあった」

「それはそれは大変な目にあってしまわれましたな・・・・・・・どこの馬鹿が、この様に麗しき方に怪我をさせたのか」


「・・・・・帰ったら鏡を見ればいい、そこに映るだろう」
「はっ!  はっはっはっ・・・・・」

・・・・・大口開けて笑うな、年増のオカマめ!


「ところで医仙殿・・・天の知識やら、この国の行く末やらをお話になられたとか・・・・・

私が何をしようと口を開かれなかったのに・・・
手厚くもてなそうが、脅そうが駄目でしたな

私は、どうすれば良いのか・・・」


この男の狙いは・・・・何だろう?

姉上の話す『先の世』・・・つまりは未来を知りたいのは、分かるが・・・・・


実際、今の時点ではキ・チョルは・・・王よりも権力を握っている

大陸の『元』で皇帝の妃となった妹により、重臣達もすり寄っている

色々な利権も持って、金も十分に入ってくる

自身の剣の腕も強かった・・・・・


あとは何を、望むんだ?


「リオン様?  どうされましたか?  私をその様に見つめて・・・・・」

「お前の望みは・・・何だろうと思ってな・・・

権力も、財力も、その手に握っているのに、これ以上何を望むのだろうか?」



そう言われたリオン様の  その眼は、儂を冷静に見つめていた

星空のように美しい眼は、儂の何を写そうというのか

儂の心の中にある『欲』まで、見られているようだ



・・・・・・いつもの男装ではなく、女人の衣を纏うこの方は、確かに物静かで女人らしい色香まであった

常ではない この方に対峙して、儂も・・・常ではなかったのか・・・・・


「・・・・・・全てが、欲しいのです
この手に全てを掴みたい・・・  自分が欲っする全てを・・・・・」

「・・・・・・欲張りすぎだ、キ・チョル」

「・・・・・・私は、あなたも欲しいのです
太祖ワンゴン様の血を濃くお持ちの、あなたも」




四阿は回廊より高く造られております

ですからキ・チョルは、リオン様を見上げていました

キ・チョルの前には警護の武女子が二人、並んで止めていたのですが、キ・チョルはその二人を難なくすり抜け・・・・・


四阿の欄干の前まで出ていたリオン様へと、その手を伸ばして・・・・・


私は思わず、キ・チョルの手がリオン様に届く前に・・・・・・



リオン様を抱きしめ、くるり、と反転していました


この方に、触れることは私が許さない・・・


あの酷い怪我を負わせたキ・チョル・・・貴様には!!!


「はっはっは・・・侍医如きに邪魔されるとは」


幾らでも邪魔いたしましょう・・・・この方を護るためなら、幾度でも何度でも・・・・

私は再びリオン様を背後に庇い、キ・チョルを見ました



「で、医仙殿・・・  私はどうすれば 良いのでしょうかな?」

「言ったでしょう?  手帳を渡してって!
そしたら相談に乗ってもいいわ!」
「それしか道はないのですか・・・」



そのとき、よく通る声が坤成殿に響いたのだった


「これは何事じゃ!!!」


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鋭い王妃の声が、その場を揺るがした


「坤成殿の護衛達は、皆なにをしておる!
このように勝手な出入りを許すとは」

王妃が御立腹だ・・・・・・

が、それを合図にしたように近衛隊が駆けつけ、キ・チョルを王のいる康安殿へと連れて行った


「お二人とも  大丈夫でしたか?」
「ああ・・・・・だが、何しに来たんだろうな」

「わかりませぬ・・・  蛇の腹は読めぬ」


しかし先程の言葉は、もしやキ・チョルの本音では?


あなたが、欲しいと・・・・・言っていた


「私が欲しいと、言っていたな・・・」
「リオン様・・・それは・・・」

「私は『王の血筋』として狙われるのだろう
・・・・・・・『女』としてより、そちらの方が価値が高いだろうからな」


・・・・・・リオン様?   なぜ、そのような?


あなたの眼に、哀しみが浮かんでおります


「・・・ただの女として・・・・・いや、いい」
「リオン様、どうされましたか?」



何かを言いかけて止められたリオン様は、もう次にはキリリとした冷静な眼で前を見られていた


「あの蛇が王に何を言うか・・・・・今度は何を・・・・・」
「あとで王様にお聞きすれば宜しいのでは?」

「そうしよう」




そのころ康安殿では、キ・チョルが王の御前に立っていた

王と周りの者とが反目しあうような事ばかり言い募ったキ・チョルだが・・・最後に、こう言ったのだった



「元の皇后である妹より 書簡にて聞かれました
新しい王は、君主に相応しいか・・・

高麗にはより良き王が、必要かと・・・」



・・・・・・お前の首など、いつでも挿げ替えられるわ!


儂にはその力が、ある・・・・・それを言いに皇宮まで来たのだ


はっはっはっ・・・・・・王の、あの顔!



愉快、至極  愉快じゃ・・・・・・



それにしても、リオン・・・・・・女人姿があの様に美しいとは・・・・・・


儂が、手に入れたいものよのぉ〜〜・・・・・


ふっふっふっ・・・・・・・儂は強欲なのでな


欲しいもの全てを、手に入れたいのだ・・・



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キ・チョルに目をつけられたリオンです。

チャン侍医、守ってね♡