さてリオン溺愛中のチャン侍医、典医寺に戻っても大変です(笑)
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「さ、リオン様・・・」
「・・・・・重いぞ?」
「重くなどございません・・・・さ」
「う・・・うん」
躊躇うリオン様に両腕を差し出した私です
リオン様が おずおずと私の方に身体を傾げ、私の両手がリオン様の脇に入り その御身体を支えるのです
馬から降ろしたリオン様を支えながら、典医寺に共に入りました
診察台に座っていただき、鍼と灸の用意をいたします
それに・・・熱が出るであろう怪我をされているのです、薬湯を煎じるようトギと薬員に頼みました
「失礼いたします」
「ああ・・・・つっ・・・・」
上衣を一枚脱がせれば、ついリオン様は 腕を動かしてしまうのでしょう
痛みに顔を歪ませておられる・・・・・・
あなたを 苦しめる物など、私は許せません
【 びりっ・・・・びびびぃぃ〜〜〜 】
「チャン侍医! 何をする?」
「あなたを診るのに 邪魔ですから・・・」
「そうは言っても・・・・・勿体無いだろう?」
「良いのです、元は私の着古しですから・・・」
そう、私はリオン様が着ておられる着物の袖を 肩口から切り裂いて取ったのです
「・・・・・気に入っていたのに」
「・・・・・後で繕っておきますから」
くす・・・そう言われると思い、切り裂いたのは縫い目です
また縫い合わせれば、元通りになりますよ
「え? チャン侍医・・・縫えるのか?」
「・・・・はい、私は独り身ですから、繕い物なども自分で致しますが・・・」
「何気にチャン侍医は、女子力高いな」
「じょし・・・りょ?」
それはどんな意味の天界語でしょうか?
・・・・・・・ほぉ〜〜 女人らしさ、ですか
私は 男ですが・・・・・ええ、分かっていただけていれば良いのです
そんな軽口を言っていましたが、露わになった腕に私は息を呑みました
右腕が特に酷い・・・・・急激に強い力がかかり、手首から肩まで腫れています
「直ぐに鍼を打ちます・・・」
リオン様を診察台に寝かせ、腕を伸ばさせ痛みを抑えるツボに鍼を打ちました
「・・・・・・ふぅ」
「いかがですか? 少しは痛みが治りましたか?」
「ああ・・・」
お疲れなのでしょう、短く返事をなされたと思えば・・・ リオン様は眠られたようです
鍼に隊長の雷功をあてて貰えば、なお良いのですが・・・・・
雷功・・・・・雷・・・・・雷ならば、もしや
「・・・ソンファ、いますか?」
『いるよ〜〜〜 何かご用事ですか?』
【 ぽんんっ ♬ 】
現れた龍のソンファに、私は聞きたいのです
「ソンファ、あなたは隊長のように雷功・・・
いえ、雷が出せますか? 極微弱なもので良いのですが・・・・」
『うん! できるよ!』
ああ・・・良かった
「ではこの鍼に、微弱な雷を通せますか?」
『・・・・・・分かった! リオンの痛みを取るためだよね!』
「そうです、勘が良いのですね」
『えへへ〜〜〜! じゃあ、やるね』
小さな龍の、これまた小さな手の指先から青い光が見え、鍼に通じていきます
一本、一本、丁寧に雷を通していけば・・・・・
これでリオン様が楽になって下さると良いのですが・・・・・
私は雷を通した後の鍼を抜き、次は灸を据えていきます
「最後は貼り薬の用意をしましょう・・・」
そのときトギの駆けてくる足音が聞こえてきました
「ああ・・・ 色々と持ってきてくれたのか、ありがとう トギ」
トギもリオン様の腕を見て顔を歪ませている
身振り手振りで「どうしてこうなった」と聞いてくるので 私は正直に話しました
「隊長を止めるため キ・チョルと闘われたのだ」
ははは、私も同じ気持ちだ
トギはキ・チョルに怒って、ふくれっ面をして空中を殴る仕草をしている
「くすくす・・・・・トギさん、ありがとう」
「!!!」
目を覚まされたリオン様に、トギは飛びつくように様子を見ている
心配そうに・・・ 額の汗を手拭いで拭っている
「手を貸してくれ・・・起き上がりたい」
「はい・・・ ですが、どうされるのですか?」
「以前、隊長は内功で怪我を治していると聞いたが・・・私にもできるか試したい」
起き上がったリオン様がそう言われるので、私も以前 隊長から聞いた方法を思いだしました
「隊長は丹田に溜めた気を、身体中に巡らせる・・・・・と、その様に言ってました」
「やってみよう・・・」
「では、ここにお座りください」
寝台の上に座ったリオン様に、ゆっくりと呼吸をしながら・・・
内なる気を意識して下さるよう お話しました
「深く息を吸い、ゆっくりと吐いて下さい」
「ふぅ〜〜〜・・・・ すぅ〜〜〜・・・・」
すると・・・ リオン様の全身が、淡く光に包まれていかれました
その光が・・・ 両腕に集まっていきます
「お見事です・・・ とても 初めてなさるとは思えません」
「ふぅ〜〜〜・・・ すぅ〜〜〜・・・・」
呼吸を繰り返すたび、腕の光が強さを増していきます
「ふぅ〜〜〜・・・・・・」
幾度も繰り返したあと、静かに終わらせたリオン様は、ゆっくりと目を開けられました
「・・・・・・変わったか?」
「診察致します」
・・・・・・・これは!!!
まだ腫れは残っているものの、先程とは比べ物にならないほど回復しています
これならば、貼り薬を一晩施せば・・・だいぶ良くなるでしょう
先程のように、手が全く使えないという事はないでしょう
「先程と比べ、随分回復なさっておられます
これならば薬湯と貼り薬、あとは鍼を数回で元に戻られるでしょう」
「2、3日で全快できるか?」
「・・・・・ならば極力 腕を使わないようにお願いします」
「・・・・・分かった、のんびり休ませてもらおう」
「はい、たまには休んで下さい」
トギが持ってきてくれた薬を刻み、擂鉢(すりばち)で細かくしたものを、布に広げリオン様の腕に貼っていきます
そして包帯で外れないよう巻いていくのですが
『 巻き方 』にも色々とあり、リオン様から御指南いただいた事を実践しているのです
袖の外れた服に、手首から肩まで包帯を巻かれたリオン様・・・・・
治療中の様子が 痛々しいのです・・・
薬員が薬湯を持ってきてくれました
「さ、お飲み下さい・・・」
「・・・・・・・・苦い」
「良薬、口に苦しですよ・・・少しお待ちください」
私は机から買っていた菓子を出してきました
砂糖を固めた様な物で、小さいながらも甘く美味しいと評判の菓子です
「・・・・・こくっ・・・こくっ・・・・」
ゆっくりと飲み続け、飲み干されたリオン様に手の中の菓子を見せれば・・・・・
「あ〜〜ん」
「り、リオン様?」
そ、そ、その様に口を開けられて・・・・・
わ、わ、私の手で、入れろと???
「あーーん・・・・・」
「・・・失礼いたします」
指先が震えないよう気をつけながら、一つその口に入れました
「・・・もぐもぐ・・・・美味い♡」
「それは・・・ようございました」
どきどきどき・・・・・跳ねる鼓動、熱の集まる顔・・・・・・そのどれもを必死で隠します
「では、夜も遅いです。 もう眠られた方が良いでしょう・・・・・お送りします」
「分かった」
立ち上がったリオン様を支えながら、離れに送りました
診察室に戻った私は・・・・・・・
「・・・・・・はぁあ〜〜・・・・・・」
押さえ込んだ感情を、一気に放出するように・・・・・私はいま、真っ赤になっているでしょう
「ゆっくり お眠りください・・・リオン様
・・・今日は大変な一日でしたから・・・・」
今日は大変な一日でしたが、色々なリオン様を見られました・・・
さて、明日の用意をしてから・・・私も眠りましょう
・・・・・・・・あなたの 可愛らしいお姿を、また夢で見たいものです・・・・・・
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乙女侍医、溺愛中♡でした(笑)