ヨンさんの決意。。。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺には昔、許嫁がいた

国が落ち着けば、メヒを妻にする・・・それが俺たちの明日だと思っていた



だが、その明日は・・・・・・こなかった



王に呼ばれた我らは、師父と慕う隊長に栄誉が下されると信じていた

疑ってなど、いなかった

赤月隊として、任務にあたり・・・この国を護っているとの自負があった


日陰の隊である赤月隊が、やっと日の目を見るんだと、皆が嬉しく 誇らしく 思っていたのだ



・・・・・・・あの日、までは。。。



あの王は、在ろう事か酒や女に溺れ、隊の中の唯一の女人・・・・俺のメヒに目をつけた


万座の中で・・・あの碌でもない王はメヒに「服を脱げ」と命じた


師父が間に入らなければ、俺は王に詰め寄るつもりだった


だが、その結果・・・師父は、王に・・・殺された

そしてメヒは、原因が自分にあると自らを責め続け、やがて・・・自分で命を絶った


俺は師父との約束で、王を守る近衛隊の隊長になったが、俺は・・・俺の気持ちは・・・・


凍りついてしまったんだ


俺が守ると誓ったのに、メヒは・・・信じなかった


俺に何も言わず、死んでいったメヒ・・・・・

いつも額に巻いていた鉢巻だけを、俺に残して・・・・・・

師父の体を貫いた剣を託され、その持ち手にメヒの鉢巻を巻いて・・・


俺は、その剣を・・・片時も離さずに持ち歩いた



暇があれば寝ていたが・・・・・暇じゃなくとも、近衛隊の任務は副隊長のチュンソクに任せている


俺はこの七年、息はしていたが『生きて』はいなかった



それが変わったのは、あの方と出会ってからだ


俺が天界から拐ってきた・・・・・・あの方



天真爛漫で、くるくると表情が変わり、ぷりぷりと怒ったり、喚いたり、叫んだり・・・


ふっ・・・   時には俺の足を蹴ったりもする、とんだ お転婆な女人


だが、その心は優しく、あたたかいのだ・・・


俺に息を吹き込み、生き返らせてくれた


・・・いつも俺の心配をしてくれる方だ


その方が、蛇より始末の悪い男に目をつけられた


天界から拐って来た俺は、あの方を無事に天界へお戻しすると誓ったのだ


男の・・・武士の 約束だ


そのためには、執拗に あの方を狙う蛇を、始末しなければならない


たとえ・・・この命を、捨てようと・・・・・


あの男を放っておけば、あの方を・・・王を・・・  民を・・・  苦しめるのだから



俺の命で、あの蛇を仕留められるのなら・・・安いものだ


幸い、あの方には『妹』がおられる

聡明で豪胆で、そして誰よりも  あの方を大事に思う『妹』がいるのだ


勝手な言い分だが、俺が蛇を仕留めたあとの事は、もう一人の天界の方に託すことにした



俺は、あの方との約束を・・・守るのだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ちょっ、ちょっと待ってよ!  なに?
チェ・ヨンさんが、私をキ・チョルから守るために・・・・・命懸けで戦うっていうの?」

姉上に事のあらましと、隊長の昔のことを話した


王妃様も昼間は坤成殿に来ていて、毎日の診察と、姉上とのお茶を楽しむのだが・・・



「何故その様になるのですか?  医仙殿を天界へお戻しするのなら、自らの手ですれば良い

・・・・・・何故、キ・チョルを倒そうと?」

王妃様の大きな目が、悲しく光る・・・・

「聞き及んだところによれば、書筳(ソヨン)に出席予定の学者達からも『自分達を確かに守れるのか』と詰め寄られたそうだ」

「・・・学者達も守り、書筳を開かせ、王様の警護も、それに医仙殿を天界へと・・・・

いくら何でも全てを抱えるのは、無理があると思います」

静かに話すチャン侍医・・・   そうだ、確かにこれらのことを1人で背負うなど無理がある


「しかし、書筳の警護は我ら近衛隊の任務。  それだけでも隊長の負担を減らせるのでは?」

トルベ君、相手はキ・チョルだぞ?

金と権力に任せて何でも仕掛けてくるだろう?

「七殺(チルサル)をキ・チョルが雇うたと聞きました」

チェ尚宮の情報ルートを知りたいな・・・・手裏房とか、聞いてるが・・・・・

「何処からその様な事を聞かれるのですか?」
「私にも有能な部下がいるのでね・・・」



しかし『七殺』と聞いたトルベ君の顔色が変わった・・・・・やはり、物騒な連中なのだろうな・・・・・



「ああん、もう!!!   そんな事よりチェ・ヨンよ!!!   どうして死にに行く様な事をするのよ!!!」

姉上が心配するあまり  ヒステリーを起こしたな


「それは、その・・・・・」
「あの・・・・」

チェ尚宮とトルベ君が、アタフタしてるけど・・・・・ここは本当の事を言わないとダメなんだ

姉上は、嘘や誤魔化しが絶対に効かない時があるんだ



「・・・・・全ての元凶を、己の命を懸けて始末するため」
「だから、どうしてよ!   自分の命よ?」

「・・・あなたのためだ」
「だから、何よ!  ・・・・・・は? 今なんて?」

「ユ・ウンス、隊長が命を懸けて仕掛けるのは、あなたのためだ・・・姉上」
「・・・・・・・私の?」


「おそらくキ・チョルが持ってる『手帳』と、『キ・チョルの命』・・・

隊長が手に入れたい物は、それだ」


「え?  ・・・・それ・・じゃあ・・・・あの人は、私のために?   命を捨てる様なことを?

・・・・・いやよ・・・私のためだなんて、そんなの絶対ダメ!!!」


頭を両手でガシガシと掻きはじめた姉上の手を止め、私は聞いた


「隊長を、止めよう!  止めたいだろ?」
「ええ、ええ!     止めたいわ!」


「リオン、力を貸して!  あの人を死なせたくないの!!!」



姉上の悲痛な声が、坤成殿に響いた・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここでドラマの11話が終わります!

またまたシリアス突入ですが、明日からの土日は番外編です!