書筳(ソヨン)の話です。。。

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キ・チョルの屋敷では、ファスインやチョヌムジャ、弟のウォンに、ヤンサが卓を囲んで座っていた


そこにキ・チョルもいるが、山と積まれた書簡を手にとり読んでいた


「チェ・ヨンを手に入れる方法なら ある

彼奴の王を手に入れるのだ・・・さすれば おのずと付いてくる・・・   忠義者なだけにな」


「・・・書筳(ソヨン)に出た者は、誰であれ 残らず始末する」
「しかし当日は近衛隊が警護していましょう・・」

「七殺(チルサル)を呼ぼう」

「あの剣客集団でございますか?  しかし安易に呼んでは統制が・・・」

ヤンサの反対の声も、キ・チョルには届かず

現王を廃位する前に、身の程を思い知らせてやると宣言するキ・チョルだった


「医仙はどうするの?」

「・・・・・・医仙は、儂が手に入れる。
その身も心もな・・・・・
それにはチェ・ヨンと、リオンが邪魔だ」

「え?」
「王とチェ・ヨン、リオンがいなくなれば、頼る者がいなくなった医仙は、儂のもとへと来るだろう」

ふふふ・・・・ははは・・・・・


不敵に笑うキ・チョルが部屋を出て行ったのだが



「ねえ、あれって・・・この前医仙が言った『一番大切なのはキ・チョルよ!』っていうのを、真に受けてるの?」

「・・・・・・半々、だろう」
「半々って?」

「信じたい思いと、信じられない思いとの、半々」
「ふぅ〜〜〜ん・・・   面倒くさいわね」


( 思う相手のことは気にかかるもの・・・
俺がファスインを気にかけてるように・・・)

   



イルシン・・・   此奴は医仙達を王の側に置いて、王の権威を高めようとしている

いや、利用しているのだ!

それではいつまで経っても・・・医仙を帰すことができん!


俺は約束したのだ・・・・・医仙を、天界へと・・・・・もといた場所へお帰しすると・・・


・・・・・・・たとえ想う相手でも、医仙は帰りたいと望んでいるのだから


俺は高麗の武士だ


約束は命をかけて、守る



だから書筳(ソヨン)の十五日までに、王の忠臣となるべき人物を、集めなければ・・・


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「早々にお礼に伺わねばならぬのに、公務に押され今日まで参れず・・・いや、申し訳ない」
「こちらは医仙達にお渡しいたします」

「それでは・・・医仙は奥におられるのですか?」
「・・・・・御目通り 難しく」

そう、誤魔化しておきましょう

「私はお会いいたしましたよ!  天の方々とはこの様にお美しいのかと、息を飲みました」
「そうか・・・」

穏やかに笑っているのは、先日 医仙殿とリオン様が手術なされた イ・ソンゲの父親=李・子春(イ・ジャチュン)です

御礼の品を持ち 典医寺にまできたのですが・・・


お二人を見たい、というのが見え見えです


「天の方の美貌と医術の腕前に、開京(ケギョン)は大騒ぎだ
・・・儂も総管府に戻り次第、医仙の話を皆に聞かせてやりたいのだ」


「大国・元の者達も腰を抜かして羨むだろう!」


・・・・・・・・・これは、危険なのではないでしょうか?

その美貌も、医術も、この世でお二人しか持ち合わせてはおりません


この高麗の中でも狙う者がいるのに、こうして噂が広まれば  広まるほど、お二人に危険が迫るのでは・・・・・・


私は李・子春にあまり噂を広げないよう頼んではみたのですが・・・・・




「まあ、無理だろうな・・・   人の口に戸は立てられぬ」
「ええ、そう思います」


私はリオン様にお茶を淹れながら、先程の李・子春の様子をお話ししたのです


「・・・・・ソンファ、出ておいで」
『はぁ〜〜〜い!』


【  ぽんっっ♫  】

軽快な音とともに出てきたのは、掌に乗るほどの大きさの龍・ソンファ(聖華)です

ここは私とリオン様の二人だけなので、その姿のまま出てきています


『なになに?  リオン♡』
「侍医に挨拶は?」

『こんにちは、チャン侍医♡』
「はい、こんにちは・・・」


「ソンファ、姉上は今どこに?」
『ん〜〜っとね、今は坤成殿の王妃様のところでお茶を飲んでるよ』

「姉上から目を離さずにいてくれないか?」
『うん、OK!』


・・・・・・・おっ・・・けい・・・とは了承という意味なのですね

ずっとリオン様の中にいたというソンファは、リオン様より天界語が口から出てくるのです


「キ・チョルが今度は何を仕掛けてくるか・・・
それが知りたいな・・・」
『あ!  ねぇねぇ、ムリョンが来るよ!』

『この前、僕にって美味しいお菓子くれたのぉ〜〜〜・・・
きっとリオンが知りたい事を持ってきたよ!』


ほどなくムリョンが、典医寺にやってまいりました


「キ・チョルが《 七殺(チルサル)》を呼びよせた」
「チルサル・・・   それは何だ?」

「依頼を受ければ誰でも殺す、刺客集団だ・・・
書筳に出たやつを殺すよう頼んだんだろう」

「皆殺しということか・・・」
「ああ・・・  彼奴らの嫌な所は、人目につかずに近づいて包囲してくるんだ
・・・・・気づけば周りを囲まれて、殺される」

「・・・・・厄介だな。人目に付かずに近づくのか、気づいた者を一人残らず殺すのか・・・」
「その両方だろう」


「呼んだのは・・・キ・チョルか」
「彼奴しかいないだろう?」

ことり、ムリョンにお茶を出せば、片手を上げてお礼してきます


「書筳は十五日に開かれますが・・・」
「一度、隊長と話したいな・・・」

「その隊長さんだが、色々無理してるみたいだぜ
・・・何でも偉い学者さん達を集めるとか、そのジイ様たちを守るとか・・・
体がいくつあっても足りないくらいだってな」

「・・・・・・1人で抱え込んでいるようだな」
「隊長に何か、あったのでしょうか?」


「ソンファ、隊長は?」
『うんとね〜〜〜・・・あ、康安殿にいるよ!』


「会いに行こう・・・  ムリョン、引き続きキ・チョルの動きを見ててくれ」
「おう!」

「チャン侍医、ついてきてくれるか?」
「はい」

『僕は?  何すればいいの?』
「ソンファは・・・姉上のそばにいてくれないか?  姿は消して」

『うん、分かったよ〜〜〜』


空中で『くるり』と回ったソンファが、見えなくなりました

私は、リオン様とともに康安殿へと向かったのでした


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ムリョンにソンファがいれば、きっと王様よりも情報が集まるでしょうね!