龍くん、登場です!
彼、無邪気に爆弾を落としちゃいました(笑)

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『ね、ね、ね、元気になった?  僕ね〜いっぱい力を補充したんだよ〜〜』
「ああ、ありがとう・・・」

『それでね、それでね、リオン〜〜』
「くすくす・・・どうした?   ・・・・・お前の名はなんと言う?」


小さな子供の様な龍が、リオン様の周りを忙しく飛び回り、話しかけているのを見ながら  こちらも微笑ましくなってしまう


・・・・・・・トギを始めとして薬員達は固まっていますが


『僕ね、まだ名前がないの・・・リオンが付けて♡』

「そうか・・・  私で良いのか?」
『リオンがいいの〜〜〜♡』


「チャン侍医、この子に  ソンファというのはどうだろう?   聖華と書いて、ソンファ・・・」
「よろしいのでは?   龍は聖なるものですし、この方は明るく華やかな性格をされておる様ですから」

『ソンファ!  僕の名前はソンファだね!  うん、気に入ったよ!』

空中を飛び跳ねて喜ぶ様子は、まるで幼い子供の様で、トギや薬員達も・・・笑っております




寝台から椅子に座られたリオン様に、温かいお茶をお出ししました

ゆっくりと お飲みになられたリオン様の脈を診てみれば・・・・・健康な脈に戻られています


「ところで、姉上は?   無事なのか?」
『ウンスさんは大丈夫だよ!  今ね、隊長とこっちに来てるよ〜〜』

「分かるのか?」
『うん!  あのね、リオンの大事な人には僕にしか分からないマークを付けてるから!
どこに行っても、分かるよ〜〜』

「マークを?   誰に?」
『えーっと、ウンスさん、シン君、隊長、王様、王妃様、ムリョン、あといっぱい♡』

「どれだけマーキングしているんだ・・・」


まーく、とは何でございましょうか?

ああ、印という意味なのですか・・・



・・・・・・・私の名は、出てこないのですね

・・・・・・・少し、残念です



・・・・・・・すごく、残念です



『あとね!  特大のマークをチャン侍医に付けてあるよ!!!


だって、リオンが何回もキスしてた相手だから!

いずれリオンの番い(つがい)になるんでしょ?』


「ぶっ・・・・・げほ・・ごほ・・・・・」
「リオン様・・・・大丈夫ですか?」

私は噎せられたリオン様の背中をさすり、濡れた口元を拭くための布をお渡ししました




「・・・・・・キスを?   チャン侍医と?」

目を見開いて驚かれているリオン様が、本当かと尋ねる様に見つめてこられるので・・・


私は、正直に・・・・・・頷きました




驚きました・・・・・私の頷きを見たリオン様が、豪胆なあなた様が・・・・・・・・




《  ぱぁぁああ・・・・・・  》っと、瞬時に真っ赤になられたのですから・・・・・


潤みはじめた瞳を、きょろきょろと揺らして

首まで赤く、紅く、染められて・・・・・ああ、まるで花の様に色づいて


お可愛らしいです、リオン様・・・・・・



「あの様に真っ赤になって、可愛らしいな」
「天界の方は、何をされても美しいのですな」

ん? 背後から声がすると思えば、薬員達がざわざわと話している


「失礼いたします」
「え?」

私はリオン様を抱き上げて、この方の自室へと運んで行ったのでした



・・・・・・・この様な可愛らしい 御姿を、他の・・・薬員といえど男なのだから、見せたくなかった


私だけに、見せて下さい・・・・・


自室に連れてきたリオン様は、卓に突っ伏されたまま、じっとされている


「すまない、チャン侍医・・・少し1人にしてくれないか」

・・・・・私のような者と『キス』していたと知り、それほど・・・・お嫌だったのでしょうか?


・・・・・・後悔 されておられるのでしょう?



「・・・では、失礼いたします」

やはり、私などでは・・・お慕いすることも迷惑なのかもしれませんね・・・・・


私は静かに、部屋から出てきたのでした


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診察室に戻れば、ちょうど医仙殿が戻られてきました

「リオンは?  倒れたって聞いたの!   ・・・あれ?  いないわ・・・」
「お元気になられて、今はお部屋の方におられます」

「行ってくるわ!」
ぱたぱたと走って行かれる医仙殿の足音が、廊下に響きました




「リオン!   元気になったって聞いたけど・・・・どしたの?   熱でもあるの?  真っ赤よ、あなた」
「姉上・・・・・私は、もう・・・彼に合わせる顔がありません」


へ?  何のこと???  

キョトンとする私の顔の前に、何かが『ふよふよ』と浮かんできたの


『あのね、リオンね、今すっごく恥ずかしいんだって!』
「恥ずかしいって、何が?」

『リオンね、今まで何度もキスしてたんだけど、全部覚えてなかったんだ〜〜・・・僕ね、知ってると思ってたから 教えちゃったの!
だから恥ずかしくて、身の置き所がないんだって!』



・・・・・・・・・・・・・何これ?


・・・・・・・・・・・・・小さい龍?



あ・・あは・・・・あはははは・・・・・


私、きっと疲れてるのよ、そうよ、そうだわ

じゃなきゃ、何でこんなのが  目の前を浮かんでるの???

『ウンスさん、どうしたの〜〜〜?』

黒くて丸くて  キラキラしてる目が、私を見てる




「きゃああああああああああ〜〜〜・・・・

げほっ・・・・うぇ・・・・声が枯れた・・・」


もう、私のキャパシティ超えてるーーーーー!


「こんな時代に来るんじゃなかったぁぁーーー

・・・・げほっ・・・・おぇっ・・・・水 飲みたい・・・・・」


『はい、お茶だよ!  ぬるいから、どうぞ』
「ありがと・・・・・・ごくごくごく・・・ぷはぁっ!」


あ〜〜〜・・・生き返った!!!

今日は何度も悲鳴あげてるから、喉が乾く乾く・・・

「助かったわ、ありが・・・と・・・う!」
『どういたしまして♡』

ぬるくて飲みやすいお茶をくれたのは、『ふよふよ』  浮いてるこの子で・・・・・


『もう1杯のむ?』
「ああ、後でいいわ・・・って、なに普通に会話してるのよ、私ったら!」


『 あのね、僕ね、ソンファっていうの!
昔からリオンの中にいた龍なんだよ!』
「へぇ〜〜、昔からなの〜〜」

『・・・・・僕のこと、怖い?  何もしないよ?
リオンの大切な人だもん!  僕ね、悪いことしないよ?

・・・・・・・そばにいたら、ダメ?』


え?え?   それって私に言ってるの?

真っ黒で真ん丸な目が、涙を浮かべてるなんて・・・・・・・


あらやだ、私が苛めてるみたいじゃないの・・・


『リオンがね、嫌がると思うんだ・・・ウンスさんが怖がってたら・・・・・』


そりゃ、ね・・・初めて見る生き物って、やっぱり何となく不気味でしょ?


・・・・・でも この子、悪意なんて感じないし、喉が渇いてる私にお茶をくれたわ

今だって、私が怖がらないよう話してるし・・・


うん、この子・・・・・可愛いし、好きよ


「怖くないわよ!  で、リオンがこうなってる訳を教えてくれる?」
『うん!   あのね〜〜・・・・・・・』


そう、そんな事があったのね・・・

それにしてもリオンが、チャン侍医とキス・・・


「で?  リオンはいつまでそうしてるの?」
「・・・・・・できれば一生・・・・・」

「そんなに恥ずかしいの?   あなたキスなんて初めてじゃないじゃない!」
「ええ、そうです・・・」


「ですが・・・    いえ、もう大丈夫です」


そう・・・『今』は、こんな事に気を取られている時ではない


・・・・・・・ウンス、いや姉上、あなたの事が心配です


目の前で人が斬り殺された・・・・・現代では考えられない事を、あなたは見ていたのだから


「姉上・・・   あなたは大丈夫ですか?」
「あ・・・私・・・・・・」


リオンが優しく私を・・・・・・抱きしめてくれる

ああ・・・あなたの温かな腕の中は、すごく安心するの


『妹』・・・・・そうね、本当にそう思うわ


だから、だから・・・あのね・・・・・

少しだけ、ほんの少しだけ・・・・・・



泣かせて・・・・・・・




姉上は、私の腕の中で・・・静かに、泣かれた


私は・・・   姉上の背中をさすり続けた。。。


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現代の人間にとって、目の前で斬られて殺されるなんて・・・・ショックですよね・・・・・