年配の看護師さんが点滴に麻酔を入れた。
眠くなるのかな?
目の前が暗くなってコトンと落ちるのかな?
私の麻酔のイメージってそんなふわんとした感じだった。
ちゃんとコトンと落ちた瞬間を見ててもらわないと、効いたかわかんないしなと思って、目を見開いてた。
みゅーたん、さよなら…
ともう一度言った。
そしたら。。。
目の前が逆にぱあっと明るくなって、
見ていた天井の映像ががぐにゃあって乱れた。
ぐにゃあって乱れた映像がぐるぐるーってなって、自分がちっちゃくなったような錯覚を覚えた。
そして、うーん…
なんていうんだろう?
イメージは…
進撃の巨人
筋肉の部屋みたいなとこにポトンと落とされた。
(わかりにくいかもしれないけど、私のイメージ)
そしたらガサガサって何かの音がして、
ちょっと自分の意識が戻ってきて、
ああ、先生が何かしゃべったなって思った。
(何を言ったかは聞き取れない)
そしたら、筋肉の部屋がぎゅいぎゅい動いてる感じがして、物凄く怖かった。。。
漠然とした恐怖感と、それから、ぎゅーっと小さな自分が何かに吸い出されるような感覚になった。
痛いわけじゃない。
痛みは全くない。
でも、不安感と恐怖感でいっぱいだった。
何か右側と左側に人の気配。
あっ、そうか、看護師さん。
意識が平常時とちょっと違うみたいで、認知するのにちょっとワンクッション必要みたいだ。
その間も、ぎゅいぎゅいと自分を引き出そうとする強い力が下から感じられた。
苦しくて、上の方を向うとする自分がいた。
そしたら上の方は、相変わらず筋肉みたいな壁がぐるんぐるんまわってて、やたら明るい。
あー、もうツライ
そう思った時、何かの手が離れた気がした。
離れて初めて、何かと手を繋いでいたことに気づいた。
はっ…
みゅーたん?
そうか。
みゅーたんが外に出て行ったんだ。
あぁ……
さよならしたんだ。
よくわかんない不安感と恐怖感はみゅーたんのものだったんた。
直感的にそう思ってた。
直後、先生が何かしゃべって、楽になった。
終わったんだ…。
出入口から先生が出て行った。
(目は開いてないから見てないけど、気配がした)
そして、看護師さん二人が何かしゃべってる。
内容は聞き取れないけど、二人がしゃべってるっていうのは、ちゃんとわかった。
あぁ……
みゅーたんは、もう私のお腹にいないんだ。
麻酔がまだまだかかっている頭だったけど、胸が締め付けられるような悲しみの感情だけはクリアだった。