ゼルフェシアが見守る中、ティディリアとともに剣の練習を始めるしどーかん。
本来の世界では剣を扱わないしどーかんに配慮し、レベルは低めに設定したものの、普段はウォーキングぐらいしか運動をしないため、
上半身だけの動きの練習が終わった時点で、しどーかんは腕と背中が筋肉痛に
しかし、すべては自分の体のため。そして、せっかくゼルフェシアが声をかけてくれたこともあり、その痛みを我慢しながらついて行きます。

その後、体全体を使った動きの練習、さらにはティディリアとの組手と、合計1時間半近く練習したしどーかん。
昨日の高知ほどではないものの、ヴェゼリアも日中の気温は高めに推移しており、練習を終えた頃には全身汗だくになっていましたが、彼は逆に涼しい顔を見せながら、クールダウンに入りました。





しどーかん、お疲れ様。レベルは低めだけれど、あそこまで動ければ上出来よ。
しかし全身汗だくなのに、涼しい顔をしてるわね。しんどくないの?


さすがに普段動かしていない箇所が多かっただけに、筋肉痛だらけですよ💦
でもかなりいい感じで汗をかくことができましたので、暑さの方はそれほどはありません


しどーかんの世界では、冷房に依存しすぎて体温調節機能がうまく働かず、汗をかかない人が多くなってると聞きます。
当然そうなると、熱中症になる危険は高くなりますから、日頃からしっかり汗をかくことも大事。今日はその点でもちょうどよかったかと


そうそう。俺もこれからの時期、練習でしっかり汗をかくことで、夏バテや熱中症を防ぐ努力をしてる





ティディリアたちと談笑しながら、クールダウンを続けるしどーかん。
とその時、ドレスの上に甲冑をつけた1人の女性が、「頼もう」の声とともに大修練場に乗り込んできました。





我が名はフィーメル=エシェルデ!
ここにオルストン学園から特待生で入門した女剣士がいると聞いた!お手合わせをお願いしたい!


おいおい、このタイミングで道場破りかよ・・・


この〈ゼクスヴィーレ剣術協会〉に勝手に乗り込み、門下生に手合わせを申し込むとは・・・無礼にもほどがあるわよ。
先にあなたの力量を確かめさせてもらうわ。ベガルタ、相手なさい



「はい!」





ゼルフェシアに指名され、すぐに対戦の準備をする門下生。
彼は先に攻撃を仕掛けますが、フィーメルは軽快なステップでそれをかわすと、背後に回り込んでから、延髄めがけて刀背打ちを浴びせ、門下生を気絶させました。

それを見て、別の門下生がフィーメルに挑みますが、剣を叩き落とされ、あっさりと敗れます。





どう?私の実力、おわかりいただけたかしら?


一般の門下生じゃ歯が立たないな。ここはいっちょ俺が・・・


その必要はないわ。しどーかんさん、次はあなたが相手して


なんで部外者の僕が?!


今の2試合だけで、彼女の弱点が見えた。しどーかん、あなたの戦い方ならまず負けることはないわ


この後【キッズ・ワンダーランド ファプレ】で仕事があるのに・・・しゃあないな💦


甲冑なしのブレザー姿、しかも腕が細い・・・こんなザコを差し向けるなんて、私も見下されたものだな


そのビッグマウス、後悔しても知りませんよ?参ります!





ティディリアの指名により、急遽フィーメルと手合わせすることになったしどーかん。クールダウン時のリラックスした表情から、練習時の真剣な眼差しに変わり、彼女と向き合います。

先に攻撃を仕掛けたのはフィーメル。上段の構えから斜めに剣を振りますが、しどーかんは剣とは反対の方向に体を逸らしてかわします。
その後も彼女は自分から攻撃を出し続け、しどーかんに反撃の隙を与えません。





しどーかんが押されている・・・ティディリア、大丈夫なのか?


大丈夫です。鍔迫り合いになれば、間違いなく形勢は逆転しますから





手合わせ開始から1分が経過したところで、2人は鍔迫り合いに。
フィーメルは両手で剣を握り、押し勝とうとしますが、しどーかんも両足を開き、重心を低くして剣を構えて応戦します。

フィーメルが歯をくいしばり、さらに押そうとした時、彼女の左膕(ひかがみ:ひざの裏側)めがけて右足を飛ばしたしどーかん。
体制を崩した彼女に左の肘で追い討ちをかけると、彼女はそれを避けようとして尻餅をつきます。





!!


なるほど、そういうことか


形勢は逆転しました。決着も時間の問題です


(反応の仕方がおかしい・・・そうか、そういうことか・・・)





尻餅から立ち上がり、剣を構え直すフィーメル。彼女の顔は、明らかに焦りの表情に変わっていました。
しばらくにらみ合った後、フィーメルは自ら近づいて攻撃を仕掛けますが、先ほどよりも剣が大振りになり、しどーかんに悉くかわされます。

すると今度は、しどーかんが剣から回し蹴りの連続技でフィーメルに反撃。彼女は剣撃こそかわしたものの、そこから近づこうとした時に回し蹴りを喰らい、持っていた剣を弾き飛ばされてしまいます。





しまった!剣が・・・


もらった!





剣を飛ばされ、動揺するフィーメルとの間合いを一気に詰めたしどーかん。
STOで彼女を倒すと、そのまま袈裟固めで動きを封じます。





くそっ、体重をかけられて動けない・・・降参だ


勝負あり。なるほど、攻撃を剣に頼りすぎて、足技への対応ができないことが弱点だったのか・・・


どんな武器の使い手でも、武器を失った時は自分の体を武器にするしかない
その修練を怠った彼女では、剣に頼らず、打撃技やつかみ技も組み合わせて非力をカバーしたしどーかんの相手ではなかった


(フィーメルを引き起こし)フィーメルさんと言いましたね?部外者がこんなことを言うのも失礼ですが
剣の腕前は悪くないものの、戦士としてのあなたは、まだ未熟です
剣士の武器は剣だけにあらず。今みたいに打撃やつかみ、投げ技もしっかり体得し、時に剣撃と組み合わせないと、戦いには勝てません


部外者に己の弱さを見抜かれた以上、あなたを特待生のティディリアと手合わせさせることはできません。どうぞお引き取りください


素人に敗れるとは、このフィーメル=エシェルデ、不覚を取った・・・
迷惑をかけて申し訳なかった。私はこれにて失礼する(協会を立ち去る)


道場破り?を追い返したはいいものの、何か変な気分ですね。いらぬ騒ぎに発展しなければいいのですが・・・


礼を言うわ、しどーかん。ランチは私が奢るから、改めてクールダウンなさい