ソーシャルワーカーさんが、一冊の文庫本を貸してくださいました。
東直子さんの『とりつくしま』
死者がこの世に未練を残したとき、
あの世の「とりつくしま係」さんから告げられます。
生き返ることや、動物や植物など命あるものにのりうつることはできませんが、モノになら一度だけ、のりうつることができますよ。何にのりうつりますか?のりうつったモノが、あなたの「とりつくしま」です。
妻の日記にのりうつった亡き夫、
軟式野球のピッチャーを務める息子が、マウンドで手につける白い粉にのりうつった40代の母親、
夫が愛用していたマグカップにのりうつった亡き妻
孫のために買ってあげた中古カメラにのりうつったおばあちゃん…
それぞれの「とりつくしま」が、死者の目線となり、家族や大切な人たちを見つめて物語を紡いでいきます。ホロっとしたり、ニヤッとしたり、心がほんわか温かくなります。自分なら、どんな「とりつくしま」を選ぶだろう…?
1日で、一気に読了。
お医者さんから辛い現実を告げられた後だったので、この本のおかげで、今日一日穏やかな気持ちを持ち続けられたような気がします。