主人公の心を支配している「鬱屈」は、単なる体調不良や不機嫌を越えた、根深い絶望感です。
「鬱屈」の定義:単なる体調不良や、不機嫌を越えたもの。
人生や日常に対する、とてつもない倦怠感(だるさ)と、出口のない息苦しさ。
⇒ 「何をしても変化のない日々の暮らしや、自分の力ではどうしようもない運命につかれ果て、絶望している」状態。
作中の象徴(シンボル):
★ 少女 = 醜悪な、見たくない現実の象徴
★ トンネル = 大いなる閉塞感の象徴
2. 主人公をとりまく「憂鬱な現実」(マイナスだらけの人生の象徴)
主人公は、自分の周りにあるものすべてを「不可解」「下等」「退屈」と感じ、忘れ去りたいと願っています。
心境: 「だから巻煙草に火をつけた私は、一つにはこの小娘の存在を忘れたいと云う心もち、他には忘れたいものがある」
人生の象徴 = ① 隧道(トンネル)の中の汽車
ただただ進むだけで気が晴れない。
マイナスだらけの現実:記事から記事へ、ただ機械的に目を通した(特に頭に入れるわけでもなく、ただ見ているだけ)。
不可解(よくわからない)・下等(低いレベル)・退屈
② 田舎者の小娘 ⇒ 不潔な印象、何故か不快
③ 夕刊の平凡な記事 ⇒ 退屈な現実を思い出させる
3. 「この光景」がもたらしたカタルシス(浄化)
物語のクライマックスで、主人公の心は劇的に変化します。
★カタルシス(浄化)について
心の中の「モヤモヤ」を洗い流すこと。
焼き付けられた「この光景」:「が、私の心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。」
⇒ 少女が見送りに来た弟たちに向かい、汽車の中から蜜柑を投げた光景。
なぜ、この光景がカタルシスに?
「最初は、とにかく憂鬱だった。何もかもがイヤだった。」
⇒ このようすを見て、貧しい中でもおたがいを思いやる兄妹愛を見て心が癒やされた。


