翌朝

会社の前で同期の櫻井くんに会った


「大野くん、お帰り。広報部だって?」


「…あ〜櫻井くん。
そうなんだよ。向こうにいる時は支社長が営業になるかも。って言ってたのに…
なんでだろうね?」

「…実はさ、先月、二宮くんが営業二課に来たんだ。他の海外組より一足早い帰国だ。ロンドンで大きな契約が取れたとか…多分、それで、呼び戻したんだよ」


「えっ、そうなの?」


「やり手だって噂」


「へ〜。因みに、僕の噂は?」


「えっ?特に何も…」


「チッ 僕だって、いい仕事してたのに…

でも、櫻井くんはいいよな〜。どこも行かず本社勤務だもん

エリートなんだな〜。やっぱり」


「そんな事ないよ。
今日昼飯一緒にどう?」


「ごめん。僕、弁当なんだよ」


「じゃあ、俺コンビニで弁当買うからテラスで一緒に食べよう?」


「あ〜いいよ」


「じゃあ、後で…」


櫻井くんは先にエレベーターから降りた



櫻井くん。フルネームは櫻井翔。23才。僕と同期
入社後、海外や地方には配属されず、本社勤務。しかも営業一課。花形部署だ

櫻井くんとは仲がいい。会社の説明会、面接、インターンシップ、…何かと一緒だった。二宮くんとも。



今、1年ぶりに会ったけど、相変わらず格好いい

寧ろ、増した感じ

ふふ…


あの人とまだ続いてるのかな?
昼に聞いてみよう


「あっ、相葉さん、おはようございます」


「おはよう。早速やるか!

昨日言った通り、朝から会議だから
この資料、一緒にコピーするよ」


「僕やりますよ」


「それダメダメ。コピーは下っ端の仕事ってなりがちつけど、ここではみんな平等。わかった?」


「はい!」


「よし、じゃあ、20部ずつね」


「はい」


コピー機4台使ってコピーは終わった


「じゃあ、ホチキスで止めよう
出来たらこのケースに入れてね」


「はい」


「ねえ、オーストラリアでカンガルー見た?」


「はい」


「知ってる?カンガルーのしっぽってすげーんだよ。あと、ボクサーみたいにパンチもするんだから…」


「はい。知ってます。強さをアピールしてるんです。あと、メスを自分の物にする為に戦うんです」


「お〜、よく知ってるね〜
じゃあさ…コアラ
「相葉さん、終わりました」


「…お、早いね…
じゃあ、これを会議室に置こう」


「はい」



会議は1時間で終わった


「大野君、それじゃあね、打ち込むよ

えーっとね…ここ開いてみて?
あっ、違う…ここだ…」


「はい」


「パスワードはね…」


「💻カチャカチャカチャカチャ
これですよね?」


「そうそう…もう覚えたの?」


「はい」


「優秀だな…」





昼を知らせるチャイムが鳴った

丁度、打ち込みも終わった


「大野君、昼は?」


「弁当持って来ました」


「そう。じゃあ、俺、社食行って来るよ」



僕は弁当を持ってテラスに向かった