僕の名前は大野智。今年で24になる。



今、僕は飛行機に乗ってる

やっと日本に帰れる

って言うのは、大学卒業後、第一志望の企業に就職出来たのはいいけど、なんと、オーストラリア支店に配属になった
付き合ってる人を日本に置いて。1年で帰るから、待ってて。…凄い泣かれたのを覚えてる

頻繁に連絡のやり取りはしてた

が、段々、お互い感覚が空いて来て、半年後には、何の連絡もなくなった
これが、自然消滅ってやつなのか?
あの涙はなんだったんだ?
新しい相手でも見つかったのか?
僕は僕で、いろいろあれだけど…



日本に帰れる喜びで、昨日はなかなか眠れなかったけど、飛行機の中で寝れたから良かった

無事に帰国
会社に到着した事を連絡して、今日はこのまま家に帰る


「ただいま〜。母ちゃん?」


階段をバタバタ降りて来た


「智、おかえりなさい。元気だった?」


「うん。元気だよ
あ〜!やっぱ家はいいな〜」


「疲れたでしょ?お風呂沸いてるわよ」


「ありがとう。向こうはシャワーしかなかったから嬉しいよ。入って来るね」


🛀
あ…気持ちいい…
カラスの行水の僕でも、やっぱり風呂には浸かりたい
日本はいいな〜


「出たよ。さっぱりしたー!」


「そうでしょ!ビール冷蔵庫に入ってるからね!
お母さん、これから買い物に行って来るね。何が食べたい?」


「やっぱ母ちゃんのシチューでしょ!」


「ふふふっ…他には?」


「ん…母ちゃんが僕に食べさせたい物!」


「ふふっ、智の好きな物、作るね!」



シチュー、カキフライ、他にも…


父ちゃんと姉ちゃんも仕事から帰って来て、みんなで乾杯した

1年ぶりの母ちゃんのご飯は最高だった




翌日、オーストラリアのお土産を持って本社に出勤


人事担当の人に、大野君は広報部ね。って言われ、案内して貰った


大勢の人から拍手で迎えられた

ちょっと、恥ずかしい

僕の席、綺麗。パソコンも新型
椅子もいい感じ

早速パソコンを開くと隣から…


「大野君、僕、相葉っていいます。大野君の教育係。わからない事があったら何でも聞いて!よろしくね!」


「よろしくお願いします」


「俺もさ、1年目の時、海外に行かされたよ。カナダだったんだけどね、帰りたくてよく泣いたな〜」


「僕もです。ふふ…。次の日目が腫れて恥ずかしかったです」


「それもあるけど、俺、会社でも泣いてたよ。何10回慰められた事か…
でもさ、今思うと、1年ってあっという間だよね」


「そうですね」




定時


「大野君、ここまでにして帰ろう。残業は禁止なんだよ。よっぽどの事がない限り禁止なんだ」


「はい」


「あ、そうそう…
今年度から歓迎会とか、送別会とか、いろんな会はやらないって事になったから…
最近の特色ってやつ?俺はこの方がありがたいけどね

じゃあ、出口まで一緒に行こうか」


「はい」




「ねえ、付き合ってる人、いるの?」


「今はいません」


「そうなの?カッコいいのに…
あっ、ごめん。これ、ハラスメントになる?」


「ふふ、ならないですよ。向こうに行ってる間に自然消滅しました。ふふ…」


「そうなの?まあ、ありがちだな…

じゃあここで。俺これからデートなんだよ。営業の人と。じゃあ、明日ね、お疲れ〜」


「お疲れ様でした〜」


ふっ、面白い人だな…
良かった。話しやすい人で…


帰ろう