翔くんにラインを送った

なかなか既読がつかない…運転中かな?


電車を降りてバスに乗り換えた


あ、既読が付いてる!


「あと30分くらいで着くから、そしたら話聞かせて」


短く「はい」って、返信した




玄関ドアを開けて
「ただいまー」


テーブルにパンの袋を置いて中を覗いた

ん〜いい匂い!美味しそ!

他のパンも美味しそうだったな…

椅子に座って調べてみた

この店有名なんだ…へ〜
カフェも凄い良かったな〜

えっ?鮫島ホテルのカフェなの?すげ〜
超高級ホテルじゃん!美味い筈だよな
へ〜すげ〜、鮫島ブレッド、すげ〜
買って良かった〜!
ここ、翔くん知ってるかな?


ガチャ 


「ただいまー」


「あ、おかえりなさーい」


「何?パンじゃん!」


「うん。帰りに買って来た!」


「美味そう!どこの店?
ハピネスベーカリー?何か聞いた事あるかも…
取り敢えず着替えて来る」


「はーい」


スーツからスウェットに着替えて来た


「それでどうだったのお姉さんと会ったんでしょ?」


「…うん…

父ちゃん元気ないって言うから…会って話そうってなって…

大好きな酒も飲まなくなったって…

どっか悪いんじゃないかって…
怖かった…死んじゃうんじゃないかって…
もし、死んじゃったら、僕のせいだ…って…
凄く怖かった…」


「…智…」


「…会って、話を聞くと…ふっ…全く…

寂しいのが限界って言うか、僕の事、ずっと想ってる

ポスターに書いてある僕の名前を、指でなぞってるって…

部屋も毎日掃除してるみたい…

姉ちゃんが言うには、もう僕の事、認めてるって…
だから、帰って来てって…」


「そっか…」


「だからさ…
今度の1人の仕事が終わったら…帰ろうかなって思って…

翔くん、一緒に来て?」


「…うん。俺もちゃんと挨拶したい」


「ありがとう」


「他に何話したの?」


「ふふ、姉ちゃんの彼氏の話とか、仕事の話とか…

そうだ!行った店が鮫島カフェってとこなの。ハピネスベーカリーって言うパン屋もあって…
翔くん、知ってる?」


「鮫島カフェ…ハピネスベーカリー
…俺、知ってる。行った事ないけど…
何かで見たな…何だっけな…
雑誌で見たのかな?超話題だったから覚えてる

最初はパン屋さんなんだよ。後からカフェが入ったんだっけな…確か…
高級ホテルのカフェがパン屋さんとコラボ。
ホテルの社長とパン屋さんのオーナー、深い繋がりがあるって…」


「へ〜 そうなんだ?凄いじゃん!

美味しそうでしょ!鮫島ブレッド、いちじくパン。カレーパンはラス1だったんだ!」


「鮫島ブレッドって…よく買えたな…
大人気で、すぐ完売するって書いてあるよ」


「まじ?じゃあラッキーだったんだ!

凄いふわふわなんだよ…
食べてみようか。コーヒー淹れるね」



ふわふわなパン

いい匂い

食べやすいように包丁でカットした