数日後


「…ご苦労様でーす」


📦


「櫻井さん、何頼んだの?
…ふっ、お菓子の段ボールだ!


…えっ

これ…母ちゃんの名前…
何で?…教えてないのに…
櫻井さん?」


「俺が教えた」


「えっ…もしかして…
スマホ見たの?」


「ごめん。…だって、家に連絡しないし、帰りたがらないし…。智が風呂に入ってる時に、こっそり…

アドレスを教えて貰って、メールしてた。
したって言っても、まだ2回だけだよ。

…お母さん、心配してたよ。
最近、お姉さんとも話してないんだってね…



…せめて服だけでもって…それで送って来たんだよ。
優しいお母さんじゃないか…」


「・・・
父ちゃんの事、なんか言ってた?」


「うん。言ってた。

…でも、心配してると思う。智の部屋に入って、アルバムとか見てるって…」


「・・・
なんだよそれ…
出て行けって言ったくせに…」


「智、だから頑張って、活躍してる所をお父さんに見て貰おうよ。俺も責任もって、智に俺のもってる全てを教えるから。なっ…」


「あの頑固親父…

…見てろよ…」


「智…

…ほら、開けたら?」


「うん」


ガムテープを剥がし、開けた


シャツ、パーカー、ズボン、いろいろ入ってる

「…靴下、下着も…

ふっ、母ちゃん、値札取れよ…

…なんだこれ?✉️手紙?」


「…読んだら?」


「…うん」


✉️
智へ

元気にしてる?ライン送っても返ってこないから心配してたの。

…長野さんの所を辞めて、今、櫻井さんにお世話になってるんですって?知らせてくれても良かったのに。あの時はお母さんも反対したけど、今は、応援してるのよ。お姉ちゃんからいろいろ聞いてたから。

…写真、凄く綺麗に撮れてるね。
櫻井さんがパソコンに送ってくれたの。智の写真も。
嬉しくなっちゃったわ。


…お父さんに会いたくないなら、お父さんが仕事に行ってる間だけでも帰って来ない?お姉ちゃんも逢いたがってるわよ。無理は言わないけど



…身体に気を付けるのよ。風邪引かないようにね。すぐ熱を出すんだから。櫻井さんにご迷惑かけちゃダメよ。

じゃあね、頑張るよの


母より



「…シクッ…わかってるよ、そんなの…シクッ」


「ほら、荷物届いた事、ラインでいいからお礼しな」


「うん」

📱 
母ちゃん、服、届いたよ。ありがとう。
頑張ってるから、心配しないでね
そのうち、帰るよ


「送った?」


「うん」


「そう…

服、仕舞っておいで」


「うん」


…俺も暫く帰ってないな…
暇な時に、顔出すか…



智が戻って来た


「こっちおいで」

ソファに誘って、肩を抱いた


「智、無理にとは言わない。
お母さんに逢いに行ったら?」


「…櫻井さんが一緒なら…」


「うん、わかった。帰りたくなったら、言ってね」


「うん

ねぇ櫻井さん?」


「ん?」


「櫻井さんのお父さんとお母さん、どんな人?」


「ん…お袋とはよくケンカする。子どもの頃、家中追いかけられて、マウント取られて負けた。まあ、俺が悪かったから仕方ないけど…でも優しいよ。
親父は…厳しかったかな…フリーになるって言った時、やっぱ反対した。でも、俺の人生だ。って言って、好きにしろー。って…。今は応援してくれてる」


「ふ〜ん。どこの父ちゃんも頑固なんだね」


「それだけ、心配してるって事だよ」


「…そういうもの?」


「そういうものだよ」


「…櫻井さん、ありがとう」


「うん」


なんだか、母ちゃんの声が聞きたくなった
母ちゃんも、僕の声、聞きたいよな…
暇な時、電話かけてみようかな…