僕は先生の家を出て、櫻井さんのマンションに向かった


荷物は段ボールに詰めて送ってある。昨日の夜、届いたって連絡があった


地図を見ながら…

ここか?…そうだ、マンションの名前がそうだ

インターホンを鳴らした


「大野君、どうぞ!」


ウィーンって、ドアが開いた


エレベーターに乗り5階のボタンを押した


505…ここだ

インターホンを鳴らした


玄関が開き、スウェット姿の櫻井さんが目の前に…


「大野君、入って」


「お邪魔します」


「どうぞ、上がって」


「はい」


靴を脱いで上がった


リビングに通された


「ごめんね、散らかってて…適当に座って!
コーヒーでいい?」


「あっ、お構いなく…」


「んふ、いいから…砂糖とミルクは?」


「あ、お願いします」


僕は、ソファに座った


辺りを見回すと、本だの、新聞だの、床に置きっぱなし。靴下は脱ぎっぱなし…決して綺麗とは言えない
あれ?僕の荷物はどこだ?


「どうぞ!」


「あ、はい。いただきます」


「キョロキョロして…僕の荷物は?って思ったでしょう?」


「はい」


「ちゃんと置いてあるから心配しないで。

…大野君、君には、ここに住んでもらいます。
道具置きにしてた部屋を片したから、そこを使って貰うよ。…荷物だけ預けてネットカフェ生活なんておかしいしから…でも、タダでは住まわせない。」


「はい。ありがとうございます。少しなら貯金あるし、夜とか、休みの日とかはバイトします。でも、あまり高いと困ります」


「はっはっ…
案外、しっかりしてるんだね。
大丈夫だよ。お金は貰わないよ。
その代わり、俺の世話をしてもらうよ。あ、身体じゃないから安心して!この家の掃除、洗濯、食事の用意が出来たら尚嬉しい。どう?
それと、仕事の助手もして貰う。給料は……これ!
今までいくら貰ってたか知らないけど、住む家があって、食うに困らない。…どう?」


「はい。十分です。一生懸命働きます。
よろしくお願いします」

ソファから立ち上がり、お辞儀をした


「はい。…座って!

…そうだな…呼び方なんだけど、智くん…くん、いる?」


「いいえ、智でいいです。」


「だよね!俺の事は…どうしよう?櫻井さんじゃ、なんかな…翔…翔さん…翔くん…どうする?」


「これから、勉強させて貰うので、やっぱり櫻井さんです。」


「わかった。じゃあ、それでいいよ。
…あと、お願いがある。家では楽でいたいんだ。
だから、仕事以外の時は、敬語はなしね。」


「あ、はい。わかりました。」


「まあ、徐々にな

じゃあ、部屋案内するよ。こっち…」


櫻井さんの後をついて行った


「ここが風呂、隣がトイレ。ここが俺の部屋。」


ドアを開けて見せてくれた

「うわー、広ーい。ベット広ーい!」


「俺、寝相悪いんだ!

ここはゴチャゴチャいろいろ。納戸ってやつ?で、ここが智の部屋。ベットは来週届くから、それまで布団敷いて寝て!」


「はい。…凄い、テレビがある。ラグも敷いてあって、クッションもある。ふふ」


…普通の部屋なのに…ふっ…可愛いな


「荷物は、ゆっくり片しな…
早速、明日から仕事について貰うから」


「はい。よろしくお願いします」


僕の新しい生活が始まる