シャワーを浴びても鱗の欠片が残る夜、明るい声だけではもう続かなかった
閉店後のスーパーで、
鮮魚カウンターの水槽のポンプ音だけが残っていました。
まな板を洗って、包丁を片づけて、
ショーケースの氷をならしても、
指先にはまだ魚の匂いが残っていました。
家に帰ってシャワーを浴びても、
腕に小さな鱗の欠片がついている。
その白い欠片を見た瞬間、
胸の奥が、少し重くなりました。
お客様には、明るく声をかけます。
「今日はこちらがおすすめです」
「三枚おろしにしましょうか」
でも、最後に見られるのは、
魚をきれいに扱ったことより、声の明るさと売れ残りの数でした。
副業を調べても、
「顔出し」「毎日投稿」「明るく発信しましょう」ばかり。
また、明るい私を作るのか。
また、誰かの反応に合わせて声を張るのか。
そう思うと、スマホを閉じてしまいました。
あなたが弱いわけじゃないと思います。
接客が苦手なわけでも、努力が足りないわけでもない。
ただ、今の疲れ方に合わない副業の形を、
選ぼうとしていただけかもしれません。
もう一つ明るい声を増やす前に、
まず見直すべきことがあります。
