雨が降っていた。

前日から東京入りした

父と母と姉とそして私は

鳥居坂の宿舎から

タクシーで会場に向かった。

40年前の今日私は結婚した。


3姉妹の末っ子だった私は

大学を出ると東京の会社に

就職し、2年後に結婚したのだった。


当時まだJune brideはそれほど

もてはやされてなく、式場は

この時期、お手頃挙式パックを

展開させていて、それを選んだ。

憧れの"赤プリ"を。


式は神式。打ち掛けで三々九度の

さかずきをあげ、披露宴のお色直しで

ピンクのウェディングドレスに

着替えた。ケーキカット、キャンドル

サービス、夫の同僚のシャネルズの

余興、つつがなく終わった。


招待客がひけ、全て終わった時 

父が

“これからはもう

  うちの子やないんやから

   しっかりやりなさい"

   と、言った。

     悲しかった。


40年頑張ってやってきた。

そのご褒美にここクラシック

ハウスの隣りに建つビルの35階の

レストランに和食のアフタヌーンティー

を食べに来た。


日がさしていて、昨日の雨が

木々を鮮やかにしてとても

くっきりみえている。

スカイツリーや遠くのお台場

あたりまで見渡せる。


思い出と清々しさと美味しさで

実に幸せなひとときだった。