The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記 スピンオフ

 

 

 

スピンオフ:ノクターン・セレナーデは、

キャンディが21〜22才頃を設定とした妄想日記です。

その当時、ラジオは黎明期でありまだ一部の人しか聴くことは出来なかったようですが、

裕福な家庭や、カフェなど限定された場所で聴くことは出来ました。

 

登場人物

 ○キャンディ(セシリー)

  :学院を去った後、アメリカに戻り手に職をつけるため、シカゴの仕立て屋で

   見習いをしながら、夜間の洋裁学校に通っていた。

   テリィが劇団の役者になったことを知り、劇団のテリィ宛てに手紙を出すが、

   全く返事が来ない。何年も手紙を送っていたが、返事が来なかったため、

   テリィからはもう相手にされていないと思い込むようになる。

   しかし、テリィを忘れることは出来なかった。

   いつの日か、舞台の衣裳を担当したいと思い、今年ニューヨークにうつり、

   仕立て屋の工房で働き始める。

   その工房の娘が、人気ラジオアナウンサーであるショーンの妻であり、

   キャンディの天真爛漫さが気に入られ、ラジオ番組ノクターン・セレナーデの

   アシスタントに抜擢される。

   今も、昼間は仕立て屋の工房で働いている。日本の着物にも興味を持っている。

 

        

 ○テリィ  

  :学院を去り、ニューヨークのザ・オーロラ・ステージ・ギルドに所属、役者になる。

   実力と人気を兼ね備えた稀有の役者になっていたが、テリィの心の中には

   いつもキャンディがいた。

   キャンディの消息をつかめぬまま、時だけが過ぎていった。

   テリィの元にはキャンディが出した手紙が届いていないため、キャンディから

   忘れられた存在になってしまったのかと思い始めている。

 

 

 ○ルーサー 

  :劇団の照明担当。テリィを尊敬し、テリィからも信頼されている貴重な存在。

   ノクターン・セレナーデのリスナーのリスナーで、セシリーのファン。

   自宅にラジオがないため、行きつけのカフェで聴いている。

 

 ○ショーン

  :ラジオ番組ノクターン・セレナーデを担当する人気アナウンサー。

   妻は、キャンディ(セシリー)が昼間働いている工房の娘。

 

 ○スザナ

  :劇団の看板女優。

   テリィに恋をしているが、距離を埋めることが出来ない。

 

 

 

 

 

スピンオフ:ノクターン・セレナーデ 前編

 

 

 

 

ニューヨークの12月は冷え込むが、ブロードウェイは熱気に包まれる時期だ。

今夜も20時30分に幕が開ける。

公演の2時間前、テリィは紅茶で一息つくために、グリーンルームにやってきた。

紅茶で喉を潤したら、楽屋で髪を整えて衣装に着替える。

テリィの美しい顔は、メイクはほとんど必要なくポイント的に加える程度で充分だった。

そして本番30分前までは、ゆっくりと楽屋で舞台のイメージトレーニングをしたり

読書をしたりして過ごすのが日課だった。

 

グリーンルームにはコーヒーを飲みながら、手紙を書いている照明担当のルーサーがいた。

 

 

 

『テリィさん、今日も客入りが良さそうですね。

流石だなぁ〜、テリィさんの人気と実力は。』

 

と、ペンを止めてルーサーはテリィに言った。

 

テリィは、ルーサーが書いていた手紙が気になった。

 

 

『ラブレターでも書いているのかい?』

 

 

『あっ、セシリーちゃんに手紙を書いていたんです。』

 

 

『セシリー? 君の彼女か?』

 

 

『ノクターン・セレナーデのセシリーちゃんですよ。』

 

 

『ノクターン・セレナーデ?』

 

 

と、テリィが怪訝そうに聞いたため、

 

 

『テリィさんは、ラジオは聴きませんか?』

 

 

と、ルーサーが確認した。

 

 

『ラジオか … 朝、ラジオをつけるぐらいかな。』

 

 

『夜は、聴かないんですね?』

 

 

『そうだなぁ、夜はあまりつけないな。』

 

 

『そうでしたか。

23時30分から30分枠で放送している″ノクターン・セレナーデ″って言う番組がある

んです。

僕は家にラジオがないんで、行きつけのカフェで聴いて帰るんですけどね。

アシスタントのセシリーちゃんが、お便りを紹介するコーナーがあるんですよ。

セシリーちゃんの甘酸っぱい声が、いいんですよ。

何度も手紙を書いているんですが、僕はまだ一度も読んでもらえたことがないんです。』

 

 

『ルーサー、だいぶ熱心だな。』

 

 

と、テリィは冷やかすように笑いながら言った。

 

 

『テリィさんも、″ノクターン・セレナーデを聴いてみてください。

セシリーちゃんの甘酸っぱい声に、舞台の疲れも吹っ飛びますよ!』

 

 

『声が気に入っているのはわかったけどさ、可愛い子なのかい?』

 

 

『顔は、ラジオなんで見たことはないですよ。

でも、彼女は自分のチャームポイントは、金髪とそばかすと、緑の目って言ってましたからね。可愛い子なんだろうなぁ〜。』

 

 

と、ルーサーはニヤつきながら言った。

 

 

 

———  金髪とそばかすと、緑の目!?  それに甘酸っぱい声か ……  ———

 

 

テリィは、キャンディは想い浮かべた。

そして、紅茶を飲みながらキャンディの消息がつかめないことを悔やんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

今夜は、いつも以上にカーテンコールが多かった。

テリィは、舞台 As You Like It  お気に召すままのオーランド役を演じきった充足感に、

静かな微笑みを浮かべていた。

しかし、疲れもあったために待ち構えるファンを避けて、スタッフが使用する裏口からそっと劇場の外に出た。

12月の夜空には、小雪が舞い散っていた。

そして、愛車のパッカードで自宅に着いたのは24時近かった。

テリィはふと、ルーサーが言っていたラジオ番組のことを思い出して、

”ノクターン ・セレナーデ″をつけた。

 

 

 

『ウフフ、ウフフ、ウフフ。』

 

 

テリィの耳に、男性アナウンサーと笑っている女性の声が流れてきた。

 

 

———  この声 ……  !?  …   ———

 

 

テリィの胸は一気に鼓動した。

その声は、キャンディの声にとても似ているからだ。

もう何年も会っていない、声も聞いていないが、テリィの知っているキャンディの声だった。

昔は、もっと甲高い声だった。

少し大人びた声にはなっているが、キャンディの甘酸っぱい声 ——— 

ラジオの電波越しに聴く声は、生のキャンディの声とは少し趣も違うが、

間の取り方や、一つ一つの会話から感じられる雰囲気は、キャンディそのものだった。

テリィはキツネにつままれた気分になったが、セシリーの声を聞き漏らすまいと集中していた。

 

 

『もう、一つお便りを紹介しますね。』

 

 

と、セシリーは手紙を紹介した。

 

 

『ニューヨーク州ポプキシーにお住まいの、ドリームさんからのお手紙です。

ドリームさん、お手紙ありがとうございます。

 

僕は今、全寮制の学校に通っています。

消灯時間を過ぎると、友達の部屋にも行けず長い夜が辛いです。

セシリーは、全寮制の学校に通ったことはありますか?

 

と言うお手紙です。

 

ドリームさん、わたしね、全寮制の学校に通っていたの。』

 

 

すると、男性アナウンサーのショーンが、

 

『セシリー、全寮制にいたんだね。

僕はないんだよ。全寮制は、どんな感じだった?』

 

と、聞いた。

 

 

 

『それは、それは、厳しい学校だったの。』

 

と、セシリーは強調しながら続けた。

 

 

 

『夜は先生方が、ふいに見回りに来るの。

ドリームさんが書いているように、夜は長く感じたわ。

でもね、最初の頃は見回りをすり抜けて、親戚の男の子の部屋に忍び込んだわ。』

 

 

『それは、男子寮ってこと?』

 

 

『えぇ、そうよ。輪投げと、木登りが得意だから、役に立ったの。』

 

 

『輪投げ? 木登り?

ターザンか、サルのようだね。見つからなかったの?』

 

 

『ターザン? さる? バランス感覚が良いと言ってね、ショーン。

それは、先生に見つからなかったわ。でも、忍びこんだのは、入学したての頃だけよ。』

 

 

『それにしても、すごいなぁ。その度胸に感心するよ。

ドリームさんも、輪投げと木登りをマスターしようじゃないか、アハハハ、アハハハ。』

 

 

 

『ウフフ、ウフフフ。』

 

 

『あっ、セシリー効果で明日から全寮制の学校では、輪投げと木登りが流行りそうだね。』

 

 

『皆さん、怪我をしないようにね。無理しないで、ウフフ。』

 

 

『そんな、おてんばな女の子でも卒業したんだろ? すごいよ、セシリー。』

 

 

『ええ …… んっ…』

 

 

と、卒業の話には明らかに、動揺が感じられた。すると、セシリーは、

 

 

『ドリームさんのリクエスト、Let Me Call You Sweetheartをお送りします。』

 

 

と、ピアノの生演奏が始まった。

小雪が舞い散るニューヨークの夜へ、ピアノの音色が優しく溶けていった。

 

 

 

 

そして、曲が終わると、

男性アナウンサーのショーンが、

 

 

『リスナーのみなさん、今晩もありがとう。また明日もノクターン・セレナーデをお楽しみに。おやすみなさい。』

 

 

言うと、セシリーが続けて

 

『今日もノクターン・セレナーデを聴いてくださり、ありがとうございました。

明日も元気にここでお待ちしてますいます。

おやすみなさ〜い。』

 

 

セシリーの甘酸っぱい声が、ずっとテリィの耳から離れなかった。

 

 

 

 

 

全寮制、輪投げ、木登り、消灯後の男子寮無断訪問 は、まさにキャンディに当てはまっている。

卒業に関しては、動揺していた。それも、当てはまっている。

 

 

 

———   セシリーは、キャンディ …… だよな? キャンディしかいないだろ。

    キャンディでなかったら、誰だと言うのか!

 

 

 CandyとCecily … Cで始まり、yで終わるスペル、

 

 キャンディは、キミはこのニューヨークにいたのか!

 ずっとキミの居場所が知りたかった。

 ずっと探していた。会いたかった。

 

 それなのに、オレに連絡をしてくれないのか?

 オレが役者になったことを気づいていないのか?

 それとも、オレのことは 忘れてしまったのか? ———

 

 

 

テリィは、セシリーについてもっと知りたかった。

ルーサーに電話しようとも思ったが、こんな時間であるし、そもそもルーサーの電話番号を

知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、テリィはルーサーに自ら駆け寄った。

 

『ルーサー、あのセシリーって言うアシスタントの名前は、本名じゃないよな?』

 

 

『テリィさん、ノクターン・セレナーデを聴いてくれたんですね! 嬉しいなぁ。

セシリーちゃんの名前は、ステージネームですよ。』

 

 

と、ルーサーは言った。

 

 

『昨日は、最初から聴けなかったですからね。でも、セシリーちゃんのおやすみなさい

コールは聴けましたよ。』

 

 

と、ルーサーは嬉しそうに言った。

 

 

『あの番組は、いつからやっやっているんだ?』

 

 

『確か、夏ごろ … 7月ごろです。』

 

 

『あのセシリーって子は、他にも番組を担当しているのか?』

 

 

『テリィさん、セシリーちゃんのこと気に入ったんですね。良かったなぁ。

他の番組は、今のところ担当してないですよ。

ノクターン・セレナーデは、月曜日から土曜日まで放送してます。』

 

 

『日曜以外は毎日ってことか …  放送が終わって彼女が帰るのは、夜中だよなぁ。』

 

 

テリィは心配そうに言った。

 

『セシリーちゃんのことは、スタッフが家まで送っていってますよ。

出待ちしても無駄ですからね、テリィさん。抜け駆けはやめてくださいね。』

 

 

『抜け駆け? オレは別にその、セシリーを気に入ったわけじゃないんだ。

番組をちょっと、気になっただけだ。』

 

 

と、テリィにしては少し慌てながら無理矢理否定するように言った。

 

すると、ルーサーが先輩気取りで、

 

『テリィさんとはいえ、僕のほうがセシリーファン歴は長いんです。

抜け駆けはダメです。

ノクターン・セレナーデは人気ありますからね。

僕以外にも、この劇団に何人かリスナーがいますよ。』

 

 

『そんなに、人気がある番組なのか?』

 

 

『はい、元々は、人気男性アナウンサーのショーンの番組だったんです。

それが、セシリーちゃんがアシスタントに抜擢されて、番組名も変わったら、

前の番組以上に、人気が出てきたんですよ。』

 

 

と、ルーサーは言った。そして、

 

 

『でもテリィさん、そんなにセシリーちゃんのこと気に入ってくれたんですね。

セシリーちゃんの事なら、僕に何でも聞いてください。』

 

 

と、ルーサーは先輩気取りだった。そして、メモを取り出し何かを書いた。

 

 

『テリィさん、これが番組宛の連絡先です。手紙や曲のリクエストを送ってください。』

 

 

『なんだよ、ルーサー、番組のプロデューサーみたいだな。

仕方ないなぁ、まぁ貰ってやるよ。』

 

 

と、奪い取るようそのメモを受け取り、足早にその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

その日は、前日より少し早く幕が下りた。

テリィは、観客の喝采の余韻に浸る間もなく、帰り支度をしていると

スザナに呼び止められた。

スザナは、今回の舞台では、ヒロインのロザリンド役ではなくフィービー役だった。

当初スザナは、演出や配役の方向性で今回は外される予定だった。

しかし、テリィと同じ舞台に立ちたい一心で、フィービー役でもかまわないと、

監督に願い出たのだった。

 

 

『テリィ、ちょっと相談したいシーンがあるの。』

 

 

『急いでいるんだ。明日にしてくれないか。』

 

 

と、テリィは言った。そして、スザナが返事をする前に慌ただしく劇場を後にした。

 

 

 

——— いつもさっさと帰ってしまうのね。今日は、いつもより急いでいるわ …  ———

 

 

と、スザナは今日もテリィとの距離を埋めることは出来なかった。

スザナは主演、または主要な役所として、テリィと共演が多かった。

スザナは過去のテリィとの共演を思い出した。

演技中はあんなに役にのめり込んでくる、テリィ ……

本気で愛してくれているかのようなテリィの激しいキス ……

今まで相手役をつとめた役者は、スザナへの恋に落ちていた。

しかし、テリィだけは違っていた。

スザナは芝居中のテリィと、それ以外でのテリィの自分に対する対応の落差を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

テリィは愛車を運転し、アパートに戻った。

ノクターン・セレナーデの放送は始まっていたが、昨日よりは少し長く聴くことが出来た。

そして放送時間間際になると、セシリーが、

 

『みなさん、今日もノクターン・セレナーデを聴いていただき、ありがとうございます。

明日は雪が降りそうですね。あたたかくして、おやすみなさ〜い。』

 

と、おやすみなさいコールで締めくくった。

テリィはまるで近くに、キャンディがいるようで懐かしさとあたたかさで満たされた。

しかし、どうしても同じ思いに囚われてしまう。

 

 

———オレのことをキャンディは気づいてくれてはいないのだろうか?

   ラジオ番組を担当しているなら、少しはブロードウェイの情報は入るだろ?

   

   それとも、他に付き合っている男でもいるのか?

   オレのことは過去の記憶に過ぎないのか?

 

   オレは、ずっと探していたんだ、キミのことを! ———

 

 

芝居から離れると、そのことが頭から離れない。

テリィはセシリーに会い、キャンディ本人であるのか確かめたいが、勇気が出なかった。

自宅の住所はわからなくとも、せめて劇団にテリィ宛てに手紙さえも寄こさない

キャンディ。

そんな彼女に会いに行き、冷たくあしらわれるとも限らない。

テリィはルーサーから貰ったメモを頼りに、セシリー宛ての手紙を書いた。

キャンディはテリィの文字を知らないだろうから、気づいてはもらえないことはわかっていた。

かえってその方が、テリィには都合が良いと感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テリィは、ノクターン・セレナーデの放送に夢中になった。

毎日終演すると、一目散で帰宅し、ラジオから流れるセシリーの声に耳を傾けた。

日曜日に公演がある場合もあったが、日曜日、月曜日と休演の場合が多かった。

その週の日曜日と月曜日は休演日だった。

日曜日はノクターン・セレナーデの放送も休止なため、テリィはとても物足りない1日を

過ごした。

 

 

 

そして月曜日になった。

キャンディは、今晩の放送で読む手紙を選んでいた。

丁寧に一通、一通、目を通していたキャンディの目に留まった文字があった。

 

 

———  セオドラ  ———

 

 

忘れるはずがない、テリィの愛馬の名前だった。

キャンディがセオドラをペンネームとするリスナーからの手紙を読んでみると、

その内容と同じ経験をキャンディもしていた。

キャンディは、このセオドラからの手紙を本番で読むことに決めた。

 

キャンディはテリィの字をよく知らなかったため、テリィからの手紙だとは

全く気づかなかった。

偶然にも、セオドラというペンネームの人物が経験したエピソードが、

キャンディのエピソードと同じだったのだ  —— としか、思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

23時30分

 

夜も深まる時間帯であったが、窓の外のニューヨークはまだエネルギッシュだった。

リースやクリスマスツリーで装飾されたラジオスタジオ内。

ショーンと、セシリーはカーボン・ボタン型マイクの前に立った。

隣の部屋には、生演奏用のピアノが置かれている。

本番前の一瞬、静かに張りつめた空気があったが、ショーンの渋みの中の朗らかな声で

明るい空気に変わっていった。

 

 

『みなさん、こんばんは。今夜もノクターン・セレナーデの時間がやってきました。

音楽と詩、今宵も素敵な一時をお届けします。

司会のショーンです。』

 

 

『みなさん、こんばんは。みなさんはどんな週末でしたか?

わたしは現在メトロポリタン美術館で開催されている、日本のKimono展に

行ってきました。色とりどりの着物が美しく、目を閉じても美しい着物が心に残っています。

アシスタントのセシリーです。』

 

 

『セシリー、日本のkimono展に行ってきたの?

僕も行こうと思っているんだ。』

 

 

『ええ、昨日行ってきたの。日曜日だから、混んでいたわ。

どれも素敵だったけれど、深い緑地に深紅の薔薇の柄の着物が1番気に入ったの。』

 

 

『ほう、特に女性には人気がありそうだね。』

 

 

『えぇ、ショーンも奥様と一緒に是非行ってみてね。』

 

 

と、キャンディの明るい声がスタジオ内に響いた。

 

 

そして、ショーンのおすすめ曲の紹介があり、

次にキャンディの手紙・リクエスト曲コーナーに移った。

二通目の手紙だった。

 

 

『次のお手紙は、マンハッタンにお住まいのセオドラさんからのお手紙です。

セオドラさん、お手紙ありがとうございます。』

 

 

———  来た! ——

 

 

と、テリィは笑みがこぼれた。

芝居ではいつも冷静だったが、テリィの鼓動は激しくなっていた。

 

 

『セシリー、こんばんは。初めて番組に手紙を書きます。

 

僕は、好きな女の子から使用中のハーモニカを貰ったことがあります。

セシリーは、男の子に使用したハーモニカをあげたことはありますか?』

 

 

 

 

テリィの心の扉を開けるように、キャンディの少し落ち着きを秘めた甘酸っぱい声が、

広がってきた。

 

 

 

 

 

  

              スピンオフ:ノクターン・セレナーデ 後編に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

覚書⑦ AI画像 キャンディ生誕祭🍭🍬

 

 

 

 

もうすぐ、キャンディの誕生赤薔薇音譜バースデーケーキですねニコニコ

予定では、5月7日のキャンディの誕生日ピンク薔薇に、

キャンディとテリィの長男が生まれる妄想日記を投稿するつもりでした。

しかし、まだまだ先になりそうです。

2人には5人の子どもが生まれ、誕生日や名前、目の色、髪の毛の色、性格など、

わたしの中では決まっています。

そして、妄想日記の中にもあるように、テリィは俳優をから写真家カメラに転身するために、

写真学校に進みます。

キャンディは子育てが落ち着いたら、テリィの写真家のアシスタントを始めます。

 

 

以前にも書きましたが、ブログを始めた時は書き溜めていた妄想日記があったので、投稿間隔が短かく、その調子で考えていたのですが、

妄想を文字起こしするのは大変な作業だと、あらためてわかりました。

 

しかし、この妄想日記のおかげで新しい楽しみが増えて、毎日が楽しいです。

わたしはカレンダー通りの休みでは無いのですが、5月7日は休みを取っており、

本編とはまた違う世界線の、スピンオフ妄想日記を投稿しますウインク

 

 

 

 

キャンディ誕生を祝ってバースデーケーキプレゼントAI画像です

 

     ChatGPTにて生成。

     学院時代のキャンディ風とテリィ風をイメージしています赤薔薇ラブ

     そばかすを何回も調整しましたが、上手くいきません。

 

    

 

 

 

 

    

 

     背景が、バラ赤薔薇ピンク薔薇バージョンですラブラブ

 

 

     

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

     キャンディのために、ピアノを弾くテリィ風🎹

 

     ChatGPTにて生成。

  

     左のテリィ風は、優しく知的でミステリアスピンク薔薇

     右のテリィ風は、包容力と穏やかな強さ赤薔薇

 

 

     

 

 

 

     

     

    

    

 

      

 

     2人のそれぞれのサインカメラ

 

     ChatGPTにて生成。

 

     わたしは筆記体派ですが、今は学校で筆記体を教えていないのですね。

     筆記体の方がなめらかな感じや、流れにのって書けるので好きです。

 

     

 

    

 

 

 

 

 

 

      

 

 

      妄想日記で登場する、キャンディのウェディングドレス宝石緑赤薔薇

 

       Grokにて生成。

 

      バラ赤薔薇のモチーフがポイントです。

 

      

 

 

 

 

     

 

 

      

 

 

      

 

      この画像は、一昨年の夏、

      AI画像を始めた時に生成依頼した

      キャンディのシカゴのアパートです。

      以前のブログカバーにも使用。

 

      ChatGPTにて生成。

 

      かなり、現代寄り爆  笑

    

    

 

      

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

      キャンディ🍬🍭お誕生日おめでとうピンク薔薇

                       テリィとお幸せにラブラブドキドキラブラブドキドキラブラブ

 

      ChatGPTにて生成。

 

 

      

 

     

 

 

    

 

 

 

     

    

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

 

㉟時の人(1)

 

 

 

 

日の出前の窓のカーテンから差し込む光は、木漏れ日のようなあたたかい光だった。

その光に包まれるように、キャンディは目を覚ました。

肌と肌が触れ合っているすぐ隣に眠るテリィは、寝息をたてて夢の中。

テリィと一緒に眠りについたのは、午前0時を過ぎていたので、

テリィがまだ深い眠りの中にいても不思議ではないが、キャンディは眠気を感じなかった。

 

キャンディの心には、昨日の結婚式の余韻がそっと残っていた。

—— 緊張したキャンディを『オレがいるから。』と、リラックスさせてくれたテリィ。

        そして、誓いのキス。

        出席者の祝福に包まれる中、テリィがカメラマンとなっての写真撮影。

        ハーバー・ビスケットでのパーティでの慶びにあふれた会食。

        キャンディが紅茶を淹れ、その紅茶をテリィがテーブルへ運んだ。

        そして、衝撃のアルバートの結婚報告。

        キャンディへの愛を秘め、アルバートへの祝福と、出席者への感謝をこめて、

         テリィはピアノを演奏した ——

それらの一つ一つが、キャンディの心に大切に刻まれていた。

キャンディはテリィと刻んでいく新しい日々に心躍っていた。

 

 

 

キャンディは、テリィを起こさないように、静かにそっとベッドから、起き出した。

ネグリジェに着替え、ガウンを羽織り、静かに階段を降りた。そして庭に出た。

風はなかったが、時折港からの潮風が優しくバラを揺らしていた。

庭のバラはまだ蕾が多かったが、オールドローズやダマスクローズが咲き始め、

甘く優美な香りが優しく広がっていた。

アルバ・ローズやティーローズはまだ蕾で、ほころび始めるのを待っているようだった。

そんな咲き始めのバラと蕾、甘く優美な香りに包まれたキャンディは、

昨日の結婚式の幸せな余韻がまた一層、蘇ってきた。

 

 

キャンディはゆっくりと歩き、広い庭を一周した。

新緑が、広い庭を包んでいたのだ。

庭の四方を囲むようにアメリカン・エルムやホーリー(セイヨウヒイラギ)が、やわらかな

新緑をまとっていた。

木登りが好きなキャンディは、アメリカン・エルムの横に広がった太い枝から庭を眺めるのも好きだった。

ドッグウッド(ハナミズキ)は、白い花が新緑の中で映えていた。

主役は、バラに移り変わっていたが、チューリップやアイリスも美しい姿を魅せていた。

1カ月前に、キャンディとテリィが初めてこの新居と庭を訪れた時とは、咲いている花の種類も移り変わっていた。

春から初夏への移り変わりを、キャンディは実感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庭を一周したキャンディは、新聞を取りに正門にある新聞専用ボックスまで行った。

テリィは新聞を2紙、定期購読していた。

一つは一般紙、もう一つは大衆紙。

テリィは自分の劇評や評価を気にすることはなかった。

評論家の数だけ、ファンの数だけ評価がつきまとうのは当然のことであり、

劇評や評価に振り回されず、自分自身の芝居に集中したいと考えて芝居をしてきた。

一般紙はテリィにとって、政治や経済、音楽や文学など芸能以外の文化について理解を深めるツールであり、

大衆紙は世間の熱を知り俯瞰するためのものだった。

しかし、それらはテリィにとっては情報の一部に過ぎず、テリィの芝居に影響を与える

ものではなかった。

キャンディはテリィと一緒に暮らし始めてまだ1カ月足らずであるが、テリィのそんな想いを感じとっていた。

 

 

 

 

キャンディは、塀に取り付けてある専用ボックスの内側(新居側)から新聞を2紙取り出した。

すると、大衆紙のトップページから一気に飛び出してきた大きな文字があった。

 

 

 

 

 

——  TERRY  ——

 

 

 

 

 

 

 

『 えっ!? TERRY!? 』

 

 

 

 

 

 

 

そのTERRYのすぐ下には、

 

 

 

——  MARRIAGE  SHOCKS  BROADWAY! ——

 

 

結婚、ブロードウェイに衝撃!

 

 

 

 

 

 

 

キャンディは無意識に正門が施錠されていることを確認し、

食い入るように、記事を読んだ。

 

 

 

 

 

5月7日 ニューヨーク発

 

オーロラ劇団の人気俳優であるテリュース・G・グランチェスター氏が

私的な式で結婚したと見られる。

 

式は近親者および、ごく親しい関係者のみ参列し、静かに執り行われたとされている。

 

花嫁の名前や身元は、公表されていない。

 

同氏は、舞台上の圧倒的な存在感と気品ある演技で知られ、人気、実力ともにオーロラ劇団の随一の俳優と認められている。

 

かつて、元女優と婚約していたが、元女優は病により他界している。

 

秘密の花嫁と新たな幸せを手にすることは出来るのか?

世間の関心が高まることは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読み終えたキャンディは、しばらく呆然とした。

先程の結婚式の余韻も飛んでいった。

 

 

キャンディは、昨日のことがすでに外部に漏れるとは思っていなかった。

テリィは今日の午前中に、所属する劇団のザ・オーロラ・ステージ・ギルドを通して、

新聞社へ結婚報告をする予定だ。

キャンディは、今日の夕刊に載ることや、午後以降はマスコミのターゲットになることは覚悟はしていた。

しかし、結婚報告をする前に外部に漏れるとは ……  

 

 

すると、高い塀の外側から何やら人の声が聞こえてきた。

男性の声のようだ。

数名いるようだが、はっきりはわからない。

 

 

 

『ここが、最近、若い男女が引っ越してきた家らしいぞ。』

 

『相当、広いなぁ。』

 

『ここで間違いないだろう。』

 

 

 

男性たちの会話が聞こえてきた。

 

キャンディはそっと塀から離れ、その後は駆け足で、しかも足音を立てないように注意を

はらいながら、新居に戻った。

そして、新聞2紙を握りしめて一気に階段を上った。

3階の寝室に行くと、テリィはまだ夢の中だった。

キャンディはテリィを揺り起こした。

 

 

 

『テリィ、テリィ! 起きてよ。起きて。』

 

『ねぇ、起きてよ。』

 

 

 

 

テリィは一向に起きる様子はなかったが、キャンディに揺り起こされて、やっと眠そうに目を開けた。

キャンディはテリィが目を開ける度に、テリィの長い睫毛が孔雀の羽のように広がっていくのを見るのが好きだったが、今はそれを楽しむ余裕はなかった。

 

 

 

 

『なんだい、キャンディ。

 

昨日の夜もあんなに愛し合ったのに、まだ足りないのか?』

 

 

 

と、テリィは少しからかうようにキャンディに言った。

 

 

 

 

 

『ふざけないでよ。これを読んで、テリィ。』

 

 

 

キャンディは顔を赤らめながら、新聞を見せた。

テリィはキャンディが差し出した2紙の新聞のうち、大衆紙のトップページを見ると

険しい表情になり、目を走らせた。

そして、もう一つの一般紙の文化欄にも、テリィの結婚記事が取り上げられていることを

確認した。

 

 

 

 

 

 

 

『想定内だ。』

 

 

 

と、テリィは一言、キャンディに言った。

 

 

 

 

『想定内?』

 

 

 

『あぁ、今日の午前中に劇団を通して結婚報告をする。

 

その前にマスコミには知られてしまったが、想定内の範囲だ。

 

オレがキミを守るから、心配するな。』

 

 

 

と、テリィは冷静だった。

 

 

 

 

『テリィ ……  

 

エレノアさんのことは書いてないわね。そこは知られていないのだわ。』

 

 

 

と、キャンディが言うとテリィは黙って頷いた。

 

 

 

 

 

『塀の外で見えなかったけれど、男の人の声が聞こえてきたの。

 

新聞記者かしら?』

 

 

 

キャンディは、男性たちの会話の内容をテリィに伝えた。

 

 

 

 

 

『記者だな。こんな朝早くから、来やがって。近所迷惑もいいところだ。』

 

と、テリィは言った。

 

 

 

 

しかし、内密に進めてきたのにどこから漏れたのだろ ……… と、テリィは考えた。

結婚を事前に伝えていたのは、監督と照明担当のルーサーの2人だけだ。

2人とも他言するような人柄ではない。

ただし、テリィがアパートを引き払い、ニューヨーク港近くに転居したことは、

一部の役者やスタッフには知れ渡っていた。

その辺から漏れたのだろうか?

それとも、ニールが?

 

まぁ、それ以上考えても仕方ないだろう。

遅かれ早かれ、マスコミのターゲットにはなっていた。

日常を1日も早く取り戻すことが、キャンディのためにも必要だと、テリィは考えた。

 

 

 

 

 

 

『キャンディは今日は、アルバイトは休みだったな。』

 

 

と、キャンディに確認した。

 

 

 

 

 

『えぇ、今日はお休みをもらっているの。

 

明日からは出勤だけれど、うちの庭からお店の裏口に入ればいいから問題ないわ。

 

あなたは、どうやってお稽古に行ったらいいのかしら?

 

新聞を見たら、ますます記者やファンが押しかけるわね。』

 

 

 

 

 

『それなら、大丈夫だよ。ルーサーに迎えに来てもらうことになっているんだ。』

 

 

 

『ルーサーって?』

 

 

 

『照明担当の野郎さ。』

 

 

 

と、テリィは言い、話を続けた。

 

 

 

 

 

『劇団に小道具なんかを運搬する小さなトラックがあるんだ。

 

ハーバービスケット側の裏路地から横にそれると、車が通行できる道につづくだろ。

 

そこまで、ルーサーがそのトラックで迎えに来てくれるのさ。

 

オレは、その小さなトラックの荷台に乗って、劇団の裏口の出入り口で降りるんだ。

 

帰りも、同じだよ。しばらく … 何日間かは、ルーサーの世話になるつもりだ。』

 

 

 

と、テリィは楽しそうに言った。

 

 

 

 

『えっ? あなたが荷台に乗るの?』

 

 

 

と、キャンディは驚いて言った。

 

 

 

 

 

『あぁ、小道具や雑貨に紛れて布をかければ、記者やファンもオレが荷台に乗ってるなんて

 

思わないだろ?

 

そのトラックが出入りするのは、裏口だしな。

 

その裏口は、記者たちの死角の場所でもあるんだ。』

 

 

 

 

キャンディは、テリィがこのマスコミ騒動を逆手に取り、楽しんでいるようにも見えた。

 

そして、普段は劇団の俳優や女優、裏方のスタッフの名前や話題などは

テリィの口から聞いたことはない。

ルーサーと言う照明担当のスタッフは、テリィが信頼する数少ない人物なのだろう。

そして、こんな大役を引き受けるルーサーもテリィを慕っているのだろう。

と、キャンディは思った。

 

 

 

 

 

『確かに、あなたがトラックの荷台に乗っているなんて、誰も思わないわ。

 

なかなかのアイディアよ。』

 

 

 

 

 

と、キャンディは笑いながら言った。

 

 

 

先ほどまで心配そうだったキャンディの表情が急に明るくなり、テリィも嬉しくなった。

 

 

 

 

『ねぇ、テリィ、これでは買い物に行けないわ。

 

今日は午前中に、食材を買いに行くつもりだったの。

 

あなたが、結婚報告をしたら家から出られないでしょ。だから、午前中に買い物を済ませるはずだったのだけれど …… 』

 

 

と、テリィを見つめながらキャンディは続けた。

 

 

 

『キャベツと、玉ねぎとじゃがいもなら、しこたまあるの。

 

この間、お安かったからたくさん買っちゃって。ウフフ。

 

しばらくは、キャベツと玉ねぎとじゃがいもの料理でいいかしら?』

 

 

 

 

『オレはかまわないよ。それだけあれば、充分だ。

 

ただ、じゃがいもは毎日は勘弁してくれ。』

 

 

 

と、じゃがいもがあまり好きではないテリィは苦笑いしながら言った。

 

 

 

 

『良かったわ。

 

あなた、じゃがいもは、あまり好きじゃないのよね。』

 

 

『毎日でなければ、いいよ。』

 

 

 

『わかったわ。いちごもあるし … あっ! エレノアさんから頂いたオレンジもあるわ。

 

あなたが好きなグレープフルーツはないけれど、

 

オレンジジュースも好きでしょ。』

 

 

 

『あぁ。キミが搾ったオレンジジュースなら、何杯でもいけるよ。

 

しばらくは、なんとかなりそうかな奥さん?』

 

 

と、テリィがおどけて言うと、

 

 

 

 

『えぇ、なんとかなるわ。』

 

 

 

と、キャンディは笑顔で答えた。

 

 

 

 

 

 

すると、テリィが言った。

 

『キャンディ、色々と不便をかけてすまないな …… 』

 

 

 

 

 

 

『今更、何よ … テリィ … わかりきっていたことよ。

 

ただ、まさかこんなに早くとは思っていなかったから驚いただけよ。

 

誰のせいでもないわ。』

 

 

 

キャンディは優しい微笑みで答えた。

 

 

 

 

——— 誰のせいでもないわ ———

 

 

 

そのキャンディの一言で、テリィは心がほどけていくようだった。

 

そして、テリィはベッド脇のチェストの引き出しから、一枚の書類を

取り出して、キャンディに見せた。

それは、結婚報告書でタイプライターで打ち込まれ、テリィの直筆のサインがあった。

 

 

 

 

 

 

1925年5月8日

ニューヨーク

 

 

関係各位

 

 

この度、私ことザ・オーロラ・ステージ・ギルド所属俳優

テリュース・G・グランチェスターは、

1925年5月7日、ニューヨーク市内において一般女性と結婚の儀を執り行いましたことを、

ここに正式にご報告申し上げます。

 

妻は一般人でございますため、氏名およびその他の詳細につきましては非公開とさせていただきます。

何卒、静かに見守っていただきますようお願い申し上げます。

妻の生活がこれまでと変わりなく穏やかであることを、私は何より望んでいます。

それが守られない場合は、今後、いかなる取材や写真撮影に応じるつもりはありません。

 

次回作ローズマリーの舞台に専念し、皆さまにご満足いただける演技をお届け出来るよう精進してまいります。

 

 

 

 

                    Very truly yours,

                                                                                    テリュース・G・グランチェスター

 

 

 

 

 

 

 

『これを発表するのね?』

 

 

『あぁ。そうだよ。これほど伝えても、ゴシップ紙にはあまり意味がないかもしれないが、

 

オレの願いは世間には、伝えておきたいんだ。』

 

 

 

『あなたの気持ち …… とても嬉しいわ。ありがとう。

 

ただ、取材や写真撮影に応じなかったら、あなたに不利益はないの?』

 

 

 

『不利益? 自分自身の信念を曲げることなんて出来ないよ。

 

キャンディだってそうだろ?』

 

 

 

『ええ、もちろんよ、テリィ。

 

大切なものを守るためなら、迷ったりしないわ。

 

わたしは、お芝居や、あなたがこれから進む写真の世界もわからないことばかりだけれど。

 

あなたがやりたいこと、好きなことに集中出来るように見守っていくわね。』

 

 

と、キャンディは穏やかな微笑みをテリィに向けた。

テリィも優しい眼差しでキャンディに言った。

 

 

 

 

 

『ありがとう。

 

キミにも、やりたいこと、好きなことを楽しんでほしいんだ。

 

キミがオレと結婚して、マスコミに追われるだけの生活だけにはしたくないよ。

 

今はこんな調子だが、報道も少しずつ落ち着いてくると思うから。

 

少しだけ、辛抱してくれ。』

 

 

 

 

キャンディはテリィの優しい眼差しを見つめながら、2人の心深くに繋がれるものを感じていた。

そして日の出となり、明るい光が部屋に差し込んだ。

2人は窓辺に寄り添って、バラが少しずつ咲き始めた庭を見下ろした。

その時、1階から

 

 

 

『ジリリリ』

 

 

 

と、電話が響く音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のブログカバーです。

ChatGPTにて生成。

 

新聞社に対して結婚報告をする前に、朝刊に載ってしまいます。

街角で売られている大衆紙の、テリィ結婚の記事。

 

 

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

 

覚書⑥ AI画像 時を刻んだ魅力と美しさ

 

 

 

 

先月から、この妄想日記ブログのヘッダーに設定している

ピアノ🎹を弾くテリィ風のAI画像ですドキドキおねがい

 

ChatGPT、 Grokにて生成。

 

ヘッダーに設定しているのは、20才代後半のテリィ風ですが

時を刻んだ魅力あふれる年代別のテリィ風も生成してありますピンク薔薇

 

 

 

 

まずは、ヘッダーと今回のカバー画像の20才代後半のテリィ風ですドキドキ

髪型は少しイメージとは違いますが、顔の雰囲気は今まで生成したテリィ風の中では、

わたしのイメージに1番近いです。

 

 

 

 

知的で魅惑的な雰囲気ラブラブブーケ1🎹ブーケ1ラブラブ

新居のセカンドリビングでピアノを弾きながら、キャンディを見つめているシーンですが、ピアノに映る指が正解に反映されていないのが、AI画像の課題です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に30代後半バージョン

 

 

 

20代と大きな変化はありませんが、口元に小さなシワ。

全体的には、落ち着いた男性の雰囲気おねがいラブラブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、40代後半バージョン

 

 

髪の色は栗色から、少しだけカラーの色を落としてあります。

顔のハリも以前とは違いますが、

成熟した大人の雰囲気ドキドキラブラブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、50代後半バージョン

 

 

 

 

前髪付近が白髪にチェンジニコニコ

ちょいワルオヤジ風が、魅力的恋の矢ラブラブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして60代後半バージョン

 

 

白髪が全体的に増えていますが、ダンディな雰囲気は変わりませんウインクピンク薔薇

キャンディと一緒に、孫に囲まれて幸せな毎日音譜

 

 

 

 

 

 

 

70代以降はまだ生成していませんが、シワの増えたテリィ風も見たいですね。

 

動画も載せようと思っていたのですが、アプリがないと投稿出来ない?ようなので

今回は諦めます。

自己満足の世界ですが、他のSNSで短い動画を投稿していますウインク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、こちらはアードレー家をイメージしています。

帰郷の回で生成しましたが、カバー画像には別な画像を使いました。

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、こちらは春の使者ロビン。

ロビンは新居の訪問者の回に登場します。

キャンディが、アンソニーとステアのお墓参りに行くシーンです。

アンソニーとステアがロビンに姿を変えて…… 現れた? と言う含みを持たせています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

 

 

 

㉞ローズと紅茶の祝宴(3)  

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕は …… 婚約しました。』

 

 

 

と、キャンディとテリィの結婚式後の祝宴の場で、アルバートは告白した。

キャンディはアルバートから、キャンディとテリィの祝宴が行われるティールームの

ハーバー・ビスケットで、アルバート自身の報告をさせてもらえないかと相談されていた。

断る理由はないため、キャンディは承諾していた。

テリィにもそのことは伝えておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、まさか、アルバートの婚約の報告だとは、思いもしないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんやく?

 

 

 

 

 

 

 

『えっ? アルバートさん、”こんやく”って、婚約のこと ……?』

 

 

 

 

 

と、キャンディは叫んだ。

 

 

 

アルバートは穏やかな表情でうなづいた。

 

 

 

 

キャンディとテリィは、顔を見合わせた。

アニーとアーチーも、顔を見合わせた。

エレノアもアルバートの衝撃の報告に、思わずハンカチーフを口元にあてた。

ジョルジュだけは、表情を変えなかった。アルバートが婚約したことを知っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

すでに窓の外は青みがかり暗くなっていたが、満月に近い月がやわらかく浮かんでいた。

 

 

 

 

衝撃の報告に全員が、祝いの言葉を贈るのも忘れてしばらくの沈黙があった。

最初に口を開いたのはアーチーだった。

 

 

 

 

 

 

『いやぁ、とんだサプライズだなぁ、アルバートさん。

 

キャンディとテリィの結婚式の日に、こんなサプライズがあるなんて思いもしなかったよ。

 

お、おめでとうございます。』

 

 

 

と、言い興奮気味に続けた。

 

 

 

 

『花嫁は、どんな人なの?』

 

 

 

 

 

 

キャンディもアルバートに言った。

 

 

『アルバートさん、婚約おめでとうございます。

 

わたしたち、とっても驚いていて、とにかく、おめでとうとしか言葉が出てこないわ。』

 

 

 

と、キャンディはアルバートを祝福しながらも、驚きのあまり言葉につまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ありがとう。驚かせてしまったね。

 

いつ君たちに、話そうと考えてはいたんだけどね。

 

ごく親しい身内が集まる、今日のこの場所が1番いいと思ったんだ。

 

あぁ、彼女のことを話す前に … 』

 

 

 

と、アルバートは言った後、エレノアを見ながら続けた。

 

 

 

 

『ご子息の祝宴の場で、僕自身のプライベートな報告をさせていただき感謝しています。』

 

 

 

 

『ミスター・ウィリアム・アードレー、心よりお祝い申し上げます。

 

息子の門出の席で、こんな慶びのお話を聞かせていただいて、わたしもとても嬉しいですわ。』

 

 

 

と、エレノアもアルバートを笑顔で祝福した。

 

 

 

テリィは、エレノアの”息子の門出の席”と言う表現が照れ臭く、エレノアと視線を

合わせないようにした。

 

 

 

 

『そう言っていただき、僕も嬉しいです。ありがとうございます。

 

エレノアさん、僕のことはアルバートと呼んでください。』

 

 

 

 

と、アルバートがエレノアに伝えると、エレノアは

 

 

 

 

『では、アルバートとお呼びいたしますわ。』

 

 

 

と、嬉しそうに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

アルバートは、話し始めた。

 

 

 

『みんな、ありがとう。

 

彼女、ラヴィニアとはシカゴの動物保護施設で出会ったんだ。』

 

 

 

 

 

———    シカゴの動物保護施設 ……   ———

 

 

 

 

キャンディはその施設に行ったことはないが、以前勤務していた病院で入院患者から

その施設のことを聞いたことはあった。

 

 

 

 

『ラヴィニアは、主に馬を担当しているんだけどね、傷口の手当てや身の回りの世話を

 

しているんだよ。

 

簡単に言うと、動物を手当てするナースなんだ。』

 

 

 

と、”ナース”と言う言葉ではキャンディを見て伝えた。

 

 

 

 

『シングルマザーでね、6才と4才の男の子がいるんだ。ご主人は、3年前に病気で  ……  …

 

彼女は結婚前にも、その動物保護施設で働いていたから、ご主人の亡き後、復帰したんだよ。

 

僕はね、その施設には時々行っていてね、復帰したラヴィニアと出会ったんだ。』

 

 

 

 

『シングルマザー …… じゃあ、アルバートさんは男の子2人のパパになるのね?』

 

 

と、キャンディは少し興奮気味に確認した。

 

 

 

 

『そうなんだよ。』

 

 

と、アルバートのやや緊張していた顔がほころんだ。

 

 

 

 

 

 

『子どもたちも、僕になついていてくれているんだ。

 

特に、下の男の子は赤ん坊の時に父親を亡くしているから、父親の記憶がないんだ。

 

僕を本当の父親のように、慕ってくれるんだよ。

 

子どもたちも動物が大好きでね、家でペキニーズとアメリカン・ショートヘアを

 

可愛がっているよ。

 

休みの日には4人で乗馬をしたり、牧場に行ったりしているんだ。』

 

 

 

 

 

と、アルバートが子どもたちの様子を語る姿を見てテリィは

 

 

『すっかり、父親の顔だな。』

 

 

 

と、キャンディにささやいた。

 

 

 

 

『そうね、こんな表情をするアルバートさんを見るのは、初めてだわ。』

 

 

 

 

と、キャンディも驚きが増すばかりだった。

愛する大切な家族が出来たことは、こんなにも表情を豊かにするのかと言うことを

実感した。

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、アルバートさん。今度、その動物保護施設を訪ねたいわ。

 

テリィも馬が好きだし、乗馬も好きなんです。

 

その … ラヴィニアさんも優しい素敵な女性なのでしょうね。

 

結婚したら仕事は … やめてしまうの?』

 

 

 

 

 

と、キャンディはアルバートに聞いた。

 

 

 

 

 

『あぁ、君たちに、早く彼女を紹介したいなぁ。』

 

 

と、アルバートは目を輝かせた。

 

 

 

『僕はラヴィニアに、今の仕事を続けて欲しいと思っているよ。

 

彼女もそのつもりだけど、僕の仕事も少し手伝いたいと言うんだ。

 

だからね、少し前から週に1〜2回、ジョルジュについて秘書の補佐的な役割を勉強している

 

ところなんだ。

 

いずれ …… 新規の事業で、動物保護に関した事業を立ち上げるつもりでいるから、

 

その時には、彼女に任せたいと思っているよ。

 

先月、キャンディがシカゴに来た時は、彼女は出勤日じゃなかったからなぁ。』

 

 

 

 

と、最後は独り言のように言った。

 

 

 

キャンディは驚きの連続だったが、嬉しさに満ちていた。

アルバートが、家柄や社会的地位、職業、容姿などの見た目で人を判断しないことは

わかっていたが、まだ会ったことがないラヴィニアに好感が持てた。

また、アルバートの立場上、妻となる人物にはかなりハードルが高いことが予想されるが、

そんな周囲の壁も乗り越えて、一緒になるアルバートとラヴィニアとの深い結びつきを感じた。

 

 

 

 

 

キャンディがジョルジュを見ると、ジョルジュは冷静に淡々としていた。

 

 

キャンディは、テリィにささやいた。

 

 

『シカゴに行った時に、ジョルジュは何も言ってなかったわ。

 

もぉ … 抜かりがないわね。』

 

 

 

テリィもジョルジュの表情を確認しながら、キャンディにささやいた。

 

 

『あぁ、秘書のエキスパートだな。』

 

 

 

 

 

 

そして、

 

『彼女は、おいくつなの?』

 

 

と、キャンディはアルバートに聞いた。

 

 

 

 

『ラヴィニアは、僕より7つ年下なんだ。キャンディたちよりは、年上だけどね。

 

君と同じブロンドの髪をしているよ。

 

そして、青い目なんだ。』

 

 

 

と、アルバートは説明した。

 

 

 

 

 

『アルバートさん、ところで、式はどうするのかな?

 

アルバートさんの結婚式となったら、かなりのスケールになるよね?』

 

 

と、アーチーが尋ねた。

 

 

 

 

 

 

 

『あぁ、そのことなんだけどね、ラヴィニアも僕も派手なことは嫌いだし、

 

形式的なことにも興味がないんだ。

 

でも、僕の立場上、何もしないわけにもいかなくてね。

 

とりあえずはシカゴで花嫁のお披露目を形式的に済ませて、

 

別の日にごく親しい身内や友人だけを招いて祝宴を開く予定なんだ。』

 

 

 

とアルバートは言った。そして、

 

 

 

 

『10月ラヴィニアの誕生日に、彼女の地元のサンフランシスコで祝宴を開くよ。

 

キャンディ、テリィ、アーチー、アニー、アーリーン、アレック、

 

そして、エレノアさん、みんなサンフランシスコまで来てもらえるかい?

 

もちろん、旅費や宿泊の心配はいらないよ。

 

僕の大切な人たちを招待したいんだ。』

 

 

 

 

と、キャンディたちを見渡しながら伝えた。

 

 

 

 

ニューヨークからサンフランシスコまでは、東京から那覇までの距離の約2.5倍に相当する。

当時、ニューヨークからサンフランシスコまでは列車では、3〜4日を要し、

シカゴで乗り継ぐのが主流であった。

車なら1〜2週間を要した。舗装道路が少なく、テリィの愛車のパッカードでさえも、

平均速度が30〜50kmが現実的だった。

 

 

 

『サンフランシスコかぁ …… 遠いなぁ。でも、アルバートさんのためなら

 

なんとか仕事を調整して行きますよ。なぁ、アニー。』

 

 

 

 

『えぇ、長旅になるけれど、子どもたちもアルバートさんにが大好きだし、喜ぶわ。

 

アーリーンとアレックも、2人の男の子と仲良くなれるといいわね。

 

アルバートさん、婚約おめでとうございます。』

 

 

 

と、アーチーとアニーは出席することを伝え、祝福した。

 

 

 

『アーチー、アニーありがとう。

 

子どもたちは、アーリーンとアレックと同じくらいの年だからね。

 

すぐに打ち解けるよ。』

 

 

 

と、アルバートは言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サンフランシスコ ……?  10月  ……  』

 

 

 

キャンディは咄嗟にテリィの舞台について想いを巡らした。

テリィは夏に、『ローズマリー』の地方公演があり、9月から本公演がある。

サンフランシスコまで行けるはずがない。

キャンディ1人で行くしかないだろう。

 

 

 

 

 

そう考えながらテリィを見ると、テリィがアルバートに言った。

 

 

 

 

『アルバートさん、婚約おめでとうございます。

 

僕たちの大切な記念の日に、アルバートさんの大切な報告を受けて

 

今日と言う日は、一生忘れられないでしょう。

 

 

ただ、僕は舞台があるために、サンフランシスコまでは行くことは出来ません。

 

キャンディはアルバイトを調整すれば、行けると思いますが、ただ …… 』

 

 

 

 

『ただ?』

 

 

 

と、アルバートは聞き返した。

 

テリィのヴァイオリンのような低く深い声が響く中、キャンディは息をのんだ。

 

 

 

 

『シカゴのおぼっちゃまも出席するのなら、キャンディを行かせることは出来ません。』

 

 

 

 

 

と、テリィは穏やかな表情から険しい表情に変わり、アルバートに伝えた。

 

 

 

 

 

『 … シカゴの、おぼっちゃま?  あぁ、ニールのことだね。

 

サンフランシスコにはニールや、イライザは招待はしないよ。

 

そこに招待するのは、ごく親しい身内や、気心知れた友人だけだから、心配しないでくれ、

 

テリィ。』

 

 

 

と、アルバートがにこやかに言うと、

 

 

 

『それなら、良かった。

 

僕の分まで、キャンディは祝ってくれますよ。』

 

 

 

と、安堵の様子を見せ、キャンディを見つめた。

 

 

 

その時、アーチーが

 

 

『なんだい、テリィ、ニールのことなんて気にすることないじゃないか?』

 

 

 

 

と言ったが、テリィはチラッとアーチーを見ただけで、返答しなかった。

 

 

険悪な雰囲気になるのを防ぎたいキャンディは、アーチーに説明した。

—— キャンディがシカゴに帰郷した時、アードレー家からニューヨークのテリィに電話を

していると、たまたま仕事の打ち合わせで来ていたニールが、キャンディをからかってきたこと。

ニールは電話の相手がテリィだとは知らずに、キャンディから受話器を奪いテリィと会話するも、テリィに気づくことなく、最後にテリィが

 

『君は、ロンドンに居た時も、僕の妻に酷いことをしていたなぁ。

1人では何も出来ない、おぼっちゃま君よ。』

 

と、言った時点でやっとテリィに気づき、慌てたニールが一方的に電話を切ってしまったこと、

 

その後、異変に気づき駆けつけたジョルジュがキャンディから事情を聞き、アルバートに報告。

アルバートからの指示により、ニールにはキャンディとテリィの関係は、公表されるまでは

他言しないようお灸を据えたこと ——

 

 

 

キャンディから、説明を聞いたアーチーは、テリィに

 

 

 

『そんなことがあったなんて、余計なことを言ってしまったな。悪かったよ。

 

全くニールの奴! キャンディにちょっかいを出すなんて!』

 

 

と謝ると、テリィは

 

 

 

 

『気にすんなよ。』

 

 

 

と、少し苦笑いしながら答えた。

 

 

 

 

 

 

アニーとエレノアも、キャンディのシカゴ行きでそんな出来事があったとは知らなかったため、驚いていた。

 

 

 

すると、エレノアが、

 

 

『ねぇ、キャンディ。わたしと一緒にサンフランシスコへ行きましょうよ。』

 

 

 

 

 

『えっ? エレノアさんと一緒に? いいんですか? 

 

嬉しくて、でも緊張しちゃって、眠れないかもしれません。

 

あっ、それよりお休みは取れるのですか?』

 

 

 

 

 

『ええ、ここ数年は、過密なスケジュールは入れないようにしているの。

 

10月なら今から調整しておけば大丈夫だと思うわ。』

 

 

 

 

と、エレノアはキャンディとの長旅を楽しみにしている様子だった。

 

 

 

 

『それなら、心強いです。』

 

 

 

と、キャンディは言った。

 

アニーもアーチーも、エレノアが出席すると聞いて嬉しかった。

しかし、アーチーはテリィの手前、表情には出さなかった。

 

 

そんなキャンディとエレノアの様子をテリィも嬉しく思うのだが、

努めて平然としていた。

そして、テリィはキャンディに言った。

 

 

 

『オレが居ないからって、羽目を外すなよ。』

 

 

 

『何よ、それはこっちの台詞よぉ。わたしが居ないからって、

 

羽目を外さないでね。』

 

 

 

と、言い合うキャンディとテリィを見ながら

アルバートが、エレノアに

 

 

『エレノアさんも、出席していただけるとは、彼女も喜ぶと思います。』

 

 

 

と、伝えた。

 

エレノアは静かに微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、キャンディはアルバートにたずねた。

 

 

『わたしがあのまま、ロンドンに行っていたら …… 

 

このことはロンドンで知ることになっていたのかしら?』

 

 

 

 

『そうだね。実は、僕も悩んだんだ。

 

君がロンドンに行く前に伝えるべきか? …… と。

 

でもね、君が僕に気を遣ってロンドン行きに支障が出るとも限らないし、

 

こういう結果になったんだ。』

 

 

 

と、話すアルバートに対してキャンディは、

 

『アルバートさん、もう一つ気になることがあるの。

 

わたしが先月、シカゴに行った時、アルバートさんはサンフランシスコから戻ってきた

 

でしょ。

 

それは、もしかしたら仕事ではなくて … 彼女のことでサンフランシスコへ行っていたの?』

 

 

 

 

 

と、聞いた。

 

 

 

 

『キャンディ、よく覚えているね。そうだよ。

 

あの時、ラヴィニアと僕はサンフランシスコへ行き、彼女のご両親に会って来たんだ。

 

と言っても、彼女も僕も忙しくてね、とんぼ返りだったけどさ。

 

それが、どうかしたのかい?』

 

 

 

 

 

『あの時、アルバートさんの事情を知らなくて、気づけなくて、

 

わたしはわたしのことばっかり、アルバートさんに話してしまったわね。

 

アルバートさんも祝福を受ける立場だったのに。』

 

 

 

と、キャンディは申し訳無さそうに言った。

 

 

 

 

 

『僕はそんなこと、全く気にしていないし、君も気にしなくていいんだよ。

 

君は、君の幸せを掴んだんだから。

 

そして僕は、君たちの結婚報告が聞けて心から嬉しく感じたよ。

 

それにね、君たちを見ていると、なんだかパワーが湧いてくるんだ。』

 

 

 

 

『えっ、パワー?』

 

 

 

 

『そう、パワーが湧いて来るんだ。

 

君たちはいろいろな試練があったけれど、それさえも2人を離す理由にはならなかったと

 

思うんだ。

 

愛の形には色々な形があることを教えてもらったよ。

 

一緒に過ごす時間は愛の深さに比例しないってことも、わかったんだ。

 

そして、さっきも言ったけど、君たちの阿吽の呼吸が最高だね。』

 

 

 

 

と、アルバートの瞳は優しさに溢れていた。

 

 

 

 

 

 

——— 君たちにはいろいろな試練があったけれど、

 

   それさえも2人を離す理由にはならなかったと思うんだ ———

 

 

 

 

 

 

その言葉が、キャンディと隣に座るテリィに深く響いた。

 

 

 

 

 

『 アルバートさん ……… 』

 

 

 

 

 

キャンディの目は、そっと潤んだ。

本来なら祝福を受ける側であるはずのアルバートが、

キャンディとテリィの幸せを何よりも先に願ってくれた ———

その深い想いに、胸が静かに満たされた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、キャンディはアルバートに言った。

 

 

『アルバートさん、これからは、ご自分とラヴィニアさんと、お子さんたちの幸せを

 

優先してくださいね。

 

わたしに何か出来ることがあれば、言ってください。』

 

 

 

 

『ありがとう、キャンディ。

 

君とアニーに、ちょっとお願いがあるんだ。』

 

 

 

『わたしと、アニーに?』

 

 

と、キャンディが言うと、アニーもアルバートの話に耳を傾けた。

 

 

 

 

『君たちには、ラヴィニアの話し相手と言うか、相談相手になってほしいんだ。

 

今までの彼女の生活スタイルを出来るだけ崩したくないとは思っているけれど、

 

環境の変化はどうしてもついてくる。

 

男の僕ではわからない事もあるから、女性の立場として彼女をサポートしてほしいんだ。

 

もちろん、無理のない程度にね。』

 

 

 

 

『それなら、喜んで引き受けます。ねぇ、アニー。』

 

 

 

『えぇ、わたしもキャンディの他に近しい女性が出来て、嬉しいです。』

 

 

と、キャンディとアニーは言った。

 

 

 

 

 

『キャンディ、アニー、ありがとう。

 

彼女もキャンディと同じで筆まめだから、キャンディとは手紙でやり取りも出来ると思うんだ。』

 

 

 

 

『それなら、わたしも手紙を書きます。

 

女同士で、お互いの夫の愚痴になってしまうかもね。ウフフ。』

 

 

 

『そうね … 』

 

 

と、アニーはアーチーの方をチラッと見て続けた。

 

 

 

『愚痴も、褒め言葉も、含めていろいろお話ししたいです。』

 

 

 

 

『まぁ、アニーったら、アーチーに優しいのね。』

 

 

 

 

『愚痴でも、褒め言葉でも、何でも、いいよ。

 

女性同士で楽しくやってくれれば、彼女も発散出来るだろうからね。』

 

 

 

と、アルバートは清々しい表情になった。

 

 

 

 

”夫の愚痴”と言う言葉に、テリィもアーチーも内心少しハラハラしたが、

和やかな雰囲気に心は落ち着いていった。

 

 

エレノアもテリィとキャンディの結婚、そしてアルバートの婚約と言う二重の慶びに

心から嬉しさが満ちてゆくようだった。

 

ジョルジュだけは、傍観者のように冷静に祝宴を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、テリィはキャンディに言った。

 

 

『キミが紅茶を淹れてくれたから、僕はピアノを弾くよ。』

 

 

 

『それは、いいわね! あなたのピアノをみんなにも聴かせて。』

 

 

 

 

シェリーとヘレンと人形遊びをしていたアーリーンは、アーチーの隣の席に戻ってきた。

アレックは、アニーの腕の中でスヤスヤと夢の中だった。

シェリーとヘレンも席に着いた。

 

 

 

 

テリィはスッと立ち上がり、窓辺においてあるピアノへ移動した。

 

ピアノは室内のすみに置かれているため、照明は充分に行き届いていなかったが、

キャンドルの灯りと、窓越しの月明かりがやわらかい明かりとなって幻想的な空間を

創り出していた。

 

 

 

テリィは、『サリュ・ダムール 愛の挨拶』を弾き始めた。

タイトルはフランス語だが、イギリス人の作曲家の作品だ。

鍵盤の上を優雅に滑るテリィの長い指は、キャンドルの灯りと月明かりをやわらかく

受けていた。

そして、磨き上げられた黒いピアノの艶には、明日に満月を迎える月が静かに映りこんでいた。

テリィの長く美しい指から、やわらかい旋律が広がっていく。

優しく、軽やかに。

二重の慶びにあふれる今日と言う日に相応しいテリィの選曲だった。

キャンディは、涙がこみ上げてきた。

 

 

みんなが一心にテリィの演奏を見つめる中、テリィは一瞬振り向いてキャンディを見た。

一瞬のことだったが、キャンディはドキッとした。

テリィはキャンディの顔を見ると、安心したかのように視線を鍵盤に戻した。

 

 

静かにやわらかい光を照らす月と、バラのほのかな香りと共に

旋律はほどけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、㉞ローズと紅茶の祝宴(3)の画像カバーです🎹

AI画像 chat GPTとGrokにて生成。

 

 

 

 

 

 

 

テリィが、結婚式後の祝宴場所のティールームのハーバー・ビスケットで

ピアノを弾いているシーンです音譜ラブラブ

 

史実上、翌日の5月8日は満月のため、満月に近い月と、月がピアノに反射している

のがポイントですおねがい

 

 

 

 

1月28日のテリィの誕生日ドキドキラブラブブーケ1から、キャンディとの結婚式を5回に渡り、

妄想日記に綴りました。

なかなか妄想日記に向き合う時間が取れず、結婚式編が4月まで桜持ちこむとは思っていませんでしたが、お付き合いいただきありがとうございますピンク薔薇赤薔薇

 

次回からは、新居での新婚生活編を綴ります。

2年前から、AIによる画像生成を始めたので記録として残していきたいと思います照れ

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

㉝ローズと紅茶の祝宴(2)

 

 

 

 

キャンディの誕生日に、チャペル・オブ・ローズライトで結婚式を挙げた

キャンディとテリィ。

式のあと2人は、キャンディのアルバイト先のティールームである、ハーバー・ビスケットでパーティーを開いていた。

窓の外は、すっかり淡いピンクと淡い紫のグラデーションに変わり、

そんなやわらかな光の中で、祝宴に満たされたひとときがハーバー・ビスケットに優しく

広がっていた。

 

そして、パーティーが和やかにすすむ中、紅茶を淹れるためにキャンディとテリィは、

ティーポットやティーカップを温めた。

キャンディは、温まったティーポットに、ディンブラを入れ蒸らした。

蒸らしている間、温まったカップにキャンディお手製のいちごジャムを入れた。

ジャムの瓶からティーカップに移された苺ジャムは、この祝宴の日を待っていたかのように甘酸っぱい香りを放っていた。

キャンディはそこへ、丁寧に抽出された熱いディンブラを注いだ。

ディンブラのクセのない穏やかな芳香が、みずみずしい苺の甘酸っぱい香りをより

引き立たせてくれた。

アーリーンとアレックには、ホットミルクを用意し、苺ジャムを入れた。

 

そしてテリィが、キャンディが淹れた香り立つ紅茶を一杯ずつ、ウェイターのように手慣れた様子で出席者の元へ運んでいく。

テーブル席は、一気に甘酸っぱく芳醇な香りに包まれた。

 

 

 

 

 

『わたし、好きだわ。甘酸っぱさで紅茶の渋みがなくなって飲みやすいわね。

 

キャンディお手製の苺ジャムが優しい味だわ。』

 

 

 

と、香り立つ湯気と優しい甘酸っぱさに魅了されたアニーが言った。

 

 

 

 

『そうだね、苺が紅茶をまろやかにしているなぁ。美味しいよ。』

 

 

 

と、アーチーが頷きながら言ったあと、続けて

 

 

 

『アーリーンと、アレックも黙ってゴクゴク飲んでるな。』

 

 

『おとなしい時は、美味しくって夢中の合図ね。』

 

 

 

と、アニーが答えた。

 

 

すると、自分たちが話題にのぼっていると悟ったアーリーンとアレックは

夢中で飲んでいた苺ミルクのマグカップから口を離して、

 

 

『おいしぃ〜!』

 

 

『オイチ—!』

 

 

と、笑顔で言った。

 

 

 

 

そこへ、キャンディとテリィは席に戻ってきた。

 

 

 

 

『喜んでもらえて嬉しいわ。ねぇ、テリィ。』

 

 

と、キャンディはアーリーン、アレック、アニーやアーチーの顔を見渡した後、

テリィの顔を見つめた。

テリィは黙っていたが、笑顔がこぼれていた。

 

そんな幸せなキャンディとテリィを間近で見たエレノアは、感激で涙をこらえていた。

 

 

 

 

 

『キャンディ、僕はコーヒー派なんだけど、この紅茶は思ったよりくどくなくて爽やかだね。』

 

 

と、アルバートが言った。

 

 

 

『そうなんです。苺ジャムの量にもよるけれど、後味が爽やかなの。

 

あっ、隠し味にレモンも少し入っているんですよ。』

 

 

 

 

『へぇ……    君が”イギリスで紅茶の勉強もしたい”と言っていたのは、本気だったんだね。』

 

 

 

と、アルバートが少し驚いたように言った。

 

 

 

 

『あら、アルバートさんったら、わたしが本気じゃないと思っていたの?』

 

 

 

 

『いや、そんなんじゃないんだ。』

 

 

と、アルバートは一呼吸おいて言った。

 

 

 

 

『君が決心したことだから、中途半端なことではないと思っていたよ。』

 

 

 

 

と、アルバートが言うと、テリィが

 

 

 

 

『キャンディは、紅茶の本を買って色々と、勉強しているんです。』

 

 

 

と、説明した。

 

 

 

 

 

『紅茶の本? なんだか本格的なんだね、キャンディ。

 

結婚が決まったから、しばらくは主婦に専念すると思ったら、アルバイトにも紅茶の店を選ぶとはね。』

 

 

 

 

『わたしも、その本を見ましたわ。先週、すぐ後ろの2人の新居に来た時に、テーブルの上に紅茶の本が2冊あったのですよ。一冊は、日本人が書いた本だったわね。

 

キャンディは勉強家なのね。苺ジャムも、美味しいわ。』

 

 

 

と、アルバートの言葉に対してエレノアが先週、新居を訪問した時のことを話した。

エレノアは、岡倉天心の本を覚えていたのだ。

 

 

 

 

『はい、シカゴで買った紅茶の本なんです。でも、なかなか読む暇がなくて、

 

イギリスに持って行くはずだったんですけど、まぁ… こう言う形になったので、

 

家で読んでます。

 

このJapan式ロシアンティーは、今日からここでも新メニューとしてお客さんに

 

出しているんですよ。』

 

 

と、キャンディは目をキラキラと輝かせながら言った。

 

 

 

 

『Japan式ロシアンティーって?』

 

 

と、今度はアーチーと、アニーが質問した。

 

 

 

 

すると、テリィが本場のロシアンティーと、日本式のロシアンティーについて説明した。

すると、アーチーは、

 

 

 

『いやぁ、新郎も紅茶に詳しいんだね。』

 

 

 

と、少し皮肉っぽく言った。

 

 

 

 

 

『だって、テリィは紅茶派ですもの。わたしより、紅茶歴は長いわ。

 

それにテリィは、物知りなのよ。読書家で色んなことを知ってるわ。』

 

 

と、キャンディが少し誇らしげに言ったので、テリィは少し恥ずかしくもあり嬉しくもあった。

 

 

 

 

 

『なんだい、なんだい、お熱いね。』

 

 

 

と、反発することもあるが、お互いをリスペクトしているキャンディとテリィの関係を

アーチーは好感を持った。

しかし、照れくさいため冷やかすようにしか言えなかった。

 

アニーも同じようなことを感じた。

 

 

 

 

 

すると、アルバートが

 

 

『キャンディ、アルバイトは先週から始まったんだろう?

 

もう、新メニューを考えて提供してるなんて意欲的だなぁ。感心するよ。』

 

 

 

 

と、言った。

 

 

エレノアも笑顔でうなづいていた。

 

 

 

 

『わたし、食べることが好きなんです。だから、みんなにも、お客さんにも美味しい紅茶や

 

スイーツを食べてほしくて、色々考えが浮かんじゃうの。ウフフ。』

 

 

と、嬉しそうに言った。

 

 

 

 

そして、ジョルジュを見ると、Japan式ロシアンティーを口にするもあまり飲んでいないことに気がついた。

 

 

 

 

『ジョルジュ、もしかしたら、甘い物が苦手なの?

 

テリィも甘い物が苦手だけれど、このJapan式ロシアンティーは後味がさっぱりしてて

 

飲みやすいの。

 

でも、人それぞれ好みがあるから、無理に飲まなくてもいいわよ。』

 

 

 

 

『キャンディスさま……  甘い物はほどほどに食べられるのですが ……  』

 

 

 

 

『甘いものは大丈夫なのね? じゃあ、紅茶が苦手? コーヒーを淹れましょうか?』

 

 

 

 

『いいえ、わたくしは … …  ”苺のつぶつぶ”が苦手なのです。』

 

 

 

と、ジョルジュは少し顔をしかめて言った。

 

 

 

 

”苺のつぶつぶ”が苦手と言う予想外の告白に、一斉にみんながジョルジュの顔を見た。

 

 

 

 

『苺のつぶつぶ? そうだったのね … 食べ物の好みは、色々あるわね。

 

わかったわ。苺ジャムの汁だけいれてみようかしら?

 

それだけでも、苺の甘酸っぱさは伝わると思うわ。』

 

 

 

と、キャンディは提案した。

 

すると、ジョルジュは

 

 

 

 

『キャンディスさま、ありがとうございます。』

 

 

と、静かな微笑みが戻ってきた。

 

 

 

 

 

キャンディがジョルジュ用に、紅茶の準備をしていると

テリィが、

 

 

 

 

『その気持ちわかります。』

 

 

と、ジョルジュに伝えた。

 

 

 

 

『… テリュースさまも、”苺のつぶつぶ”が苦手なのですか?』

 

 

 

と、ジョルジュが驚いたようにたずねると、

 

 

 

 

 

『いいえ、苺では無いんです。』

 

と言ったあと、テリィは話を続けた。

 

 

 

 

『この間、キャンディが市場の知り合いから日本の食べ物をもらってきたんです。

 

米が真っ黒なペーストに包まれていて、すごく甘いんですよ。

 

僕は、その見た目がどうも慣れなくて、それでなくても甘いのが苦手で、とにかく少しだけしか食べなかったんですが、

 

その食べ物はつぶつぶがあるのと、つぶつぶが無いのがあって … 』

 

 

 

 

と、言いかけるとジョルジュの紅茶を淹れなおして、席へ戻ってきたキャンディが言った。

 

 

 

 

『粒あんと、こし餡でしょ。 ”おはぎ”って言うのよ。

 

つぶつぶは、豆よ。豆を甘く煮て、米を包んでいるの。

 

粒あんは豆の食感があって、こし餡は豆をこしているから、なめらかなの。

 

わたしは、断然、粒あん派よ。

 

こし餡もいいけど、粒あんの方が食感があって得した気分だわ。』

 

 

 

 

 

 

『そうだったな、粒あんと、こし餡だ。

 

オレは、どちらかを選べと言われたら、こし餡をえらぶよ。究極の選択だな。

 

まだ、こし餡の方が上品だ。粒あんは、野生的だ。』

 

 

 

 

 

『何言ってるのよ。つぶつぶのない餡なんて、具のないカレーのようだわ。』

 

 

 

『それなら、オレは具のないカレーでいいよ。カレーそのもので勝負さ。』

 

 

 

 

『テリィは、具のないカレーでいいの?

 

豆の美味しさを感じられる粒あんの方がいいわ。』

 

 

 

 

『それだけじゃないさ、どうも … あの見た目に抵抗があるんだ。

 

キャンディだって、今、ジョルジュに食べ物の好みは人それぞれあるって言っただろう。

 

あんなに甘いの、よく食べられるよな。

 

米にあんな、甘いのを …   Good  Lord …… 』

 

 

 

と、少し呆れたようにテリィはキャンディに言った。

 

すると、キャンディは

 

 

 

『確かに、食べ物の好みは人それぞれよ。

 

でもね、あの”おはぎ”は引っ越し祝いにつくってくれたの。

 

日本では、大切な人のために”おはぎ”を作るらしいわ。

 

わたしが甘いのが好きで、岡倉天心の本で茶道や日本に興味を感じていることを

 

話したら、縁が出来た人なの。

 

もう、あの市場にはなかなか行くこともないだろうけれど …… …

 

 

そしてね、あの甘さがあるから、抹茶の渋みがより引き立つのよ。』

 

 

 

と、言った。

 

 

 

 

 

『… なるほどなぁ …… そう言うことだったのか。』

 

 

 

 

 

とテリィは、キャンディが”おはぎ”にこだわる理由がわかった。

単に甘い好みの食べ物としてではなく、人としての情をキャンディは感じていたのだ。

そして、おはぎと抹茶の渋みの調和に妙に納得させられた。

 

 

 

キャンディとテリィの2人の世界に、他の招待客は入る隙間がなく、

また、”おはぎ”や”抹茶”を食べたり飲んだりした事もないため未知の食べ物だったが、

きっとキャンディとテリィのような関係性の食べ物であることに間違いないと感じたのだった。

そして、アーリーンとアレックは、キャンディとテリィのやり取りにポカンと口を開けて、

呆気にとられていたが、話が一段楽すると、苺ミルクのおかわりをキャンディにねだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会食は続いた。

テリィは、ポケットからコダックを取り、再び写真を撮った。

テリィが席を立ったので、空いたテリィの席にエレノアが座り、

キャンディを挟んで両端にエレノアとアニーが座って、お喋りを始めた。

テリィは静かに3人にレンズを向けた。

テリィがカメラを構える姿も颯爽としていて、キャンディはチラチラとテリィを見てしまう。

テリィがファインダーをのぞく眼差しは真剣で優しく、目を細めるとテリィの長いまつ毛がファインダーに着きそうになる。

そして、タイミングを見逃すまいと、長い人差し指でシャッターを押した。

 

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

と、心地よい音が室内に響いた。

 

 

 

 

キャンディ、そしてエレノア、アニーの笑顔が、テリィの脳裏にいつまでも焼き付いていた。

 

 

 

アルバートとアーチーは、シェリーとヘレンを交えて、話が盛り上がっていた。

キャンディの働きぶりやハーバー・ビスケットについて、

キャンディとテリィの新居である、元ウィテカー邸について、

ニューヨークの地理についてなど話のネタは尽きなかった。

 

 

ジョルジュは、アーリーンとアレックに

『ヒゲのおじちゃん』と呼ばれて、かくれんぼの相手をしていた。

 

それぞれの一瞬をテリィは、カメラにおさめた。

また、古民家であるハーバー・ビスケットの室内も丁寧に回りながら、カメラにおさめた。

 

 

すると、キャンディは思い出した。

 

 

 

『アルバートさん、そう言えば、この席で何か … 報告があるんでしたよね?』

 

 

 

 

キャンディがそう言うと、テリィもキャンディがシカゴから帰ってきたとに、

そんなことを言っていたのを思い出した。

 

 

 

『そうなんだ。キャンディ、覚えていてくれてありがとう。

 

そろそろ、時間をもらってもいいかな?』

 

 

 

と、アルバートは、キャンディとテリィを見た。

 

 

 

『はい。もちろんです。』

 

 

 

と、2人は答えた。

 

 

 

何かアルバートから報告があることを知った他の出席者も、それぞれ自分の席へ戻った。

アーリーンは、シェリーとヘレンを相手にキッチン近くで人形遊びを始めた。

今日は昼寝をしていないアレックは、アニーの腕の中でウトウト眠りについていた。

 

 

 

 

 

 

アルバートは起立して言った。

 

 

 

『キャンディ、テリィ、君たちの祝宴で、僕に時間をとってくれてありがとう。』

 

 

 

 

2人は、静かにうなづいた。

 

 

 

 

 

 

『今日はごく限られた身内に報告したいことがあり、キャンディとテリィに時間を

 

つくってもらいました。

 

 

 

 

 

 

『僕は …… 婚約しました。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんやく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えっ? アルバートさん、”こんやく”って、婚約のこと ……?』

 

 

 

と、キャンディは叫んだ。

 

 

 

アルバートは穏やかな表情でうなづいた。

 

 

 

キャンディとテリィは、顔を見合わせた。

アニーとアーチーも、顔を見合わせた。

エレノアもアルバートの衝撃の報告に、思わずハンカチーフを口元にあてた。

ジョルジュだけは、表情を変えなかった。アルバートが婚約した事を知っていたのだ。

 

 

 

 

すでに窓の外は青みがかり暗くなっていが、満月に近い月がやわらかく浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の妄想日記の画像カバーは、AI画像の苺ジャムです。

 

ChatGPTにて生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat    妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

 

 

覚書⑤ AI画像結婚祝い

 

 

 

 

 

キャンディとテリィの結婚式後のパーティーが

ティールームのハーバー・ビスケットで盛り上がっている最中ですが、

パーティーの続きの前に、結婚祝いの品々を紹介します。

全てAI画像です。

 

 

 

 

 

まずは、アルバートさんからの贈り物ベル

 

☆マホガニーの机

キャンディは手紙をポニーの家やアニー、アルバートへ書くために、

テリィは読書や、これから進学する写真学校の勉強のために使います。

 

Grokにて生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレノアからの贈り物ベル

 

 

☆アルバムとティーカップ&ソーサー10客

 

 

どちらもChatGPTにて生成。

 

 

 

アルバムは、㉙新居の訪問者の後半に登場。

カーフレザーのダークバーガンディ(赤褐色)のアルバムをイメージして生成して

もらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティーカップは、バラ柄です。

 

 

キャンディとテリィへ

愛と祝福を込めて

 エレノア

 

のメッセージがラブレター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コーンウェル夫妻、アーチーとアニーからは、

☆キッチン用品ベル

 

銅製のケトルや、アイアン製の深鍋、ベーグル用品、木製のパンボックスなど

ChatGPTにて生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、結婚式とパーティーには欠席でしたが、

グランチェスター公と、パティからの結婚お祝い品です。

 

 

 

グランチェスター公からは、

☆マホガニーのロッキングチェア2脚ベル

 

ChatGPTにて生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、パティからは、

☆クッションと、詩集3冊→シェリー、キーツ、ブラウニングの革装丁ベル

 

 

クッションはキャンディは淡いピンク、テリィは薄いブルー

どちらも薔薇の刺繍あり。

 

 

 

パティからのお祝いの手紙には、

 

「テリィなら、シェリー、キーツ、ブラウニングの詩集は持っているかもしれないけれど、

それならキャンディが読んでね。」

 

と、書いてあります。

 

 

 

テリィは少し笑いながら、

 

「持ってるけどさ、一緒に読むよ。

新しいページをめくるのも、良いもんさ。」

 

 

と、キャンディに言います。

 

するとキャンディは、

 

 

 

「わたしには、ちょっと難しそうだけど、あなたに解説してもらうわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去ブログを少し読み返したら、

誤字脱字がありました。

 

コダックが少ダック

 

アーチーがアーチ  等

 

 

 

 

とりあえず、このままいきます笑い泣き

気が変わったら、修正するかもしれませんが。

 

 

 

 

 

 

 

ブログを立ち上げた去年から、

インスタでもAI画像やAI動画を投稿しています。

 

自己満足の世界ですが、最新動画の投稿では

テリィ風がキャンディに

 

I  Love  you

 

と、ささやく動画になっていますドキドキラブラブドキドキラブラブドキドキ

 

 

 

 

 

 

 

 

☆パーティー用の衣装

そして、こちらは、

結婚式のウェディングドレスとテイルコートから、パーティー用のドレスと礼服に

着替えたキャンディとテリィの衣装赤薔薇ドキドキラブラブラブラブ赤薔薇

 

ChatGPTにて生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追記です。

今朝、出勤前に投稿したのですが、ポニーの家の子どもたちからのお祝いメッセージを

忘れてしまいました。

 

 

 

 

子どもたちの笑顔を思い浮かべながら、

キャンディはテリィと一緒に、メッセージを読んでいます。

まだ字が書けない子は、ポニー先生とレイン先生が代筆しています。

 

ChatGPTにて生成,

 

 

 

 

次回は、パーティーの後半の妄想日記です

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

 

 

 

 

 

 

㉜ローズと紅茶の祝宴 (1)

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンディとテリィは結婚式の後、チャペル・オブ・ローズライトの庭で、

アルバートやエレノアなどの出席者とともに祝福のスナップを撮った。

テリィが持参した三脚を使い、教会関係者に撮影してもらったのだ。

 

 

そして、キャンディのアルバイト先であるハーバー・ビスケットでのパーティーのために、

2人は出席者より一足先に教会を後にした。

テリィはキャンディのロングトレーンが汚れないように、キャンディを抱きかかえ、

愛車のパッカードまで歩いて行った。

新居までは、車でほんの数分だった。

キャンディはハーバー・ビスケットのシェリーとヘレンに、ウェディングドレス姿を見せたいとテリィに伝えた。

テリィは再度キャンディを抱きかかえ、新居と敷地内にあるハーバー・ビスケットの間を往復した。

 

 

そして、着替えのために新居に戻ったキャンディはウェディングからイブニングドレスに、

テリィは白のテイルコートから、礼装に着替えた。

キャンディのイブニングドレスは、ダスティローズ。

胸元に薔薇の刺繍があり、袖はシフォン素材。全体的に控えめな華やかさと、軽やかさがありキャンディに似合っていた。

テリィは、白いシャツと白いネクタイ、白薔薇のブートニアが映え、黒のディナージャケットをより気品高く魅せていた。ベストはシルバーで黒のジャケットに軽やかさを添えていた。

テリィは、キャンディのイブニングドレス姿をカメラに収めたかったが、時間がなかったためあとで撮影することにした。

2人は手をとり、急ぎ足で敷地内のハーバー・ビスケットに向かった。

 

 

 

 

 

 

キャンディとテリィは、ハーバー・ビスケットの裏口から入った。

店内は、スープの温かな香りやクッキーの香ばしい香りで満たされ、

ティールーム入り口近くの窓辺には、キャンディが結婚式で使用したブーケが飾られていた。

すでに7人の出席者は到着し、シェリーからウェルカムドリンクのレモネードがふるまわれていた。

そして。古民家風のティールームの雰囲気をそれぞれに楽しんでいた。

 

 

 

その時、

 

『コラッ、ダメじゃないか。ケーキが台無しだ。』

 

 

と、アーチーのたしなめるような声がした。

 

 

 

 

『キャンディ、ごめんなさい。アーリーンと、アレックがケーキをつまみ食いしてしまった

 

ようだわ。』

 

 

と、すかさずアニーが申し訳無さそうに言った。

アーチーも、キャンディとテリィの方を向き、謝った。

 

 

 

キャンディとテリィが様子を確認すると、アーリーンはケーキの装飾の砂糖菓子の薔薇を食べかけていたが、アーチーに注意され動きが止まっていた。

アレックの口のまわりや指にはケーキのクリームがついていて、アーチーに注意されながらも、指をなめていた。

 

 

 

 

『こんな時間ですもの、アーリーンも、アレックもお腹が空くわよね。美味しい香りもしているし、

 

わたしもお腹がペコペコよ。テリィ、早く始めましょう。』

 

 

『あぁ、そうだな。オレも、腹が減ったよ。』

 

 

 

と、キャンディは優しく微笑みながらアーリーンとアレックに言った後、テリィを見つめた。

テリィも優しくアーリーンとアレックに微笑みかけ、その後キャンディにうなずいた。

そして、素早くコダックのヴェスト・ポケットを取り出し、

 

 

 

『カシャ。』

 

 

と、アーリーンとアレックのつまみ食いの様子を撮影した。

キャンディは、テリィのカメラを持つ指、カメラを構える姿にセクシーさを感じていた。

キャンディ自身が被写体でなくても、テリィのこの姿を見ると胸がキュンとなった。

 

 

まさか写真を撮られるとは思いもしていなかったアーリーンとアレックは、恥ずかしさで

照れ笑いしながら、アーチーとアニーに甘えていた。

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、出席者は席についた。

キャンディとテリィは、並んで立ち、テリィは感謝のスピーチを述べた。

 

 

 

『みなさん、今日はキャンディと僕のために出席いただき、ありがとうございます。

 

みなさんの温かいお祝いに包まれて、キャンディも僕も幸せです。

 

これからも、僕たちを宜しくお願いします。

 

ここハーバー・ビスケットは、キャンディがお世話になっているティールームです。』

 

 

 

と低音のヴァイオリンのような深く響き渡る声で言った後、

キャンディがハンドベルのような明るい声で続けた。

 

 

 

『ご紹介します。シェリーとヘレンです。シェリー、ヘレンありがとうございます。』

 

 

キャンディが紹介すると、シェリーとヘレンは調理している手を休めて、軽く会釈した。

そして、キャンディはシェリーとヘレンに、出席者7人を紹介したが、エレノアがテリィの母親であったことは2人にとっても衝撃だった。

 

 

 

『このティールームは、テリィもわたしもお気に入りの場所です。

 

そんな素敵な場所でみなさんと幸せなひと時を過ごせることに感謝します。

 

みなさんも、美味しい紅茶やクッキー、お料理を楽しんでくださいね。

 

今日はわたし達を祝福してくださり、ありがとうございます。

 

言葉で言いつくせませんが、みなさんに愛と幸せが届きますように。』

 

 

 

と、言った後に出席者から拍手がわいた。

キャンディとテリィは、しばらく幸せそうに見つめ合った。

 

 

そして、乾杯の時間に移るが、この時代1920年〜1933年まではアメリカにおける禁酒法で

アルコールの製造・販売・流通が禁止されていた。

ただし、アルコールを飲むと言う行為自体は禁止されていなかったのだが、入手は困難であった。

また、宗教や医療目的の使用は一部認められていた。

そのため、祝宴の場での乾杯は、ジンジャーエールや、スパークリング・サイダー、

グレープフルーツジュースなどが一般的であった。

 

 

キャンディとテリィ、そして出席者はジンジャーエールを、

アーリーンとアレックは、りんごジュースを乾杯のドリンクとした。

 

 

アルバートが、

 

 

 

 

『To  Love  and  happiness, always』

 

  これからもずっと、愛と幸せを

 

 

 

 

と、祝宴の言葉を述べた後、ジンジャーエールのグラスを軽く持ち上げた。

それに続き、キャンディとテリィ、出席者もジンジャーエールを軽く持ち上げ、乾杯が交わされた。

アーリーンとアレックもアーチーとアニーに促され、大人たちを真似しながらりんごジュースを持ち上げていた。

静かであたたかな乾杯だった。

 

 

そして、グラスがおろされるとやわらかい拍手が広がった。

キャンディとテリィは指を絡め、寄り添い、出席者に向かって微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

拍手が落ち着くと、会食が始まった。

すでに午後6時になっており、会食にはちょうど良い時間だった。

テーブルには、温かなアスパラガスのスープ、鶏のロースト、レモンとハーブのポーチド・サーモン、フィンガーサンドイッチ、小さなパン、季節の苺、野菜サラダ、

そして、祝福を象徴するウェディングケーキが並び、目にも胃にも魅惑的だった。

 

ニューヨークの空はまだ明るく、港近くの路地裏にも優しい光が届いていたが、

空は少しずつ、淡いピンクと淡い紫のグラデーションになろうとしていた。

路地裏とは反対側の、新居の敷地の一角にあたる庭がティールームの窓から眺めることができた。

美しい薔薇が咲き、樹木がまるで森のように生い茂る光景は、都会の喧騒からかけ離れた安らぎを感じることができた。

 

 

 

キャンディとテリィは、アスパラガスのクリームスープを口にした。

アスパラガスの緑が深緑を感じさせ、スープが喉越し良く胃の中に吸い込まれていくようだった。

 

 

 

『新鮮で、うまいアスパラガスだな。クリームスープもコクがある。』

 

 

と、テリィは空腹を満たされご機嫌だった。

 

 

 

『そうでしょ! このクリーム・オブ・アスパラガスは、季節限定なの。

 

旬の今しか食べられない、人気メニューよ。』

 

 

と、キャンディは言った。

 

 

 

『玉ねぎはわたしが切ったの。味付けも、ヘレンと一緒に。』

 

 

 

『そうか。今度、家でも作ってもらおうか。』

 

 

と、テリィが言うと、

 

 

 

『えぇ、もちろんよ。美味しいアスパラガスが手に入った時に作るわね。』

 

 

と、満足げなテリィを見て、キャンディは嬉しかった。

 

 

 

 

 

そして、アニーに

 

 

『味はどう?』

 

 

と、たずねた。

 

 

するとアニーは、まだ上手にスープを飲めないアレックを見守りながら、

 

 

『とても美味しいわ。子どもたちは、フィンガーサンドイッチも美味しいって。

 

お楽しみのケーキは食事の後でね、って言ってあるの。』

 

 

 

と、最後はアーチーを見つめながら言った。

 

 

 

 

アーチーも頷きながら、

 

『スープもいい味だけど、僕は鶏のローストが気に入ったなぁ。重たくなくて、いくらでも

 

食べられるよ。』

 

 

と、満足した様子だった。

 

 

 

『良かったわ。ウフフ。』

 

 

 

と、キャンディは自分が褒められたように、嬉しかった。

 

 

 

『キャンディ、こんないい店をどうやって見つけたんだい? ニューヨークに来たばかりだよね。』

 

 

と、アーチーがキャンディに尋ねた。

 

 

 

『えぇ、最初はイギリスに行く予定だったでしょ。

 

船に乗る前の日ニューヨークに着いて、その日にここを見つけたの。

 

紅茶もクッキーも美味しくって、お店の雰囲気も良かったから、気に入ったのよ。』

 

 

 

『そうか。ニューヨークに着いた日に、見つけてたんだね。

 

いいところに、巡り会ったね。』

 

 

 

『わたし、紅茶に関わる仕事がしたくて ……  そしたらテリィが、女性スタッフだけのお店か、

 

男性スタッフが少ない店にしろって言うから、ここを思い出したの。

 

テリィがそんなこと言わなくても、ここが気に入っていたから、ここしか選択肢はなかった

 

と、思っているわ。』

 

 

 

と、キャンディは言った後に、余計な事を喋り過ぎたか?と、テリィの様子を見た。

案の定、テリィの表情が少し鋭くなっていた。

しかし、もう話してしまったから仕方ないと開き直ったキャンディだったが、アーチーが、

 

 

 

『女性スタッフだけの店にしろ?だとは、キャンディを縛りつけるのはよくないよ、テリィ。』

 

 

 

と、アーチーはややきつい口調で、テリィに言った。

 

 

 

『いや、縛りつけてはいないさ。キャンディは色々と逸話があるからね。

 

羽目を外さないための制約だよ。』

 

 

 

『逸話? なんだい、それ?』

 

 

 

『まぁ、なかなかモテるんだよな。』

 

 

と、テリィはキャンディの顔をニヤリとしながら覗きこんだ。

 

 

 

『もう、言いたいこと言って、調子いいんだから。』

 

 

と、キャンディは呆れ顔で言った。

 

 

 

 

『アーチー、アニー、聞いてくれる?

 

この間、シカゴに行った帰りにペンシルベニア駅までテリィが迎えに来てくれたの。

 

わたしはね、テリィが″寂しかったよ″とか、言ってくれるのかと思ったら、何と言ったと思う?』

 

 

 

アーチーもアニーも想像がつかず、考えこんだ。

 

 

 

 

 

『″メスザル、一匹、捕獲″って、言ったのよ。』

 

 

 

 

と、キャンディは少し苦々しい様子で話した。

 

 

 

 

 

『メスザル、一匹、捕獲⁈ 』

 

 

 

アーチーとアニーは同時に声をあげたが、その後フッと、吹き出した。

 

 

 

 

『もぅ、そんなにメスザルが恋しいなら、動物園に行って、メスザルを眺めてたらいいじゃない。』

 

 

と、キャンディはそう言いながらジンジャーエールを一気飲みした。

 

 

 

 

『いや、オレはこっちのおてんばサルのほうが、いいんだなぁ。』

 

 

と、テリィがサラリと言うと、

 

 

 

『テリィ、惚気るのか? 俳優って言う奴は、こんな時にサラリというもんだな。』

 

 

 

 

アーチーが言った。

アニーも、アルバートも、ジョルジュも同じことを感じていたようだった。

アーリーンとアレックは、幼児用にほぐされたポーチド・サーモンを食べるのに夢中だった。

そしてエレノアは、テリィが長年心を閉ざした表情しか見せていなかったのに、こんなに嬉しく幸せそうな表情をみせることにあらためて驚いていた。

 

 

 

 

 

 

恥ずかしさで紅潮したキャンディだったが、

アスパラガスのスープをお代わりし、鶏のローストをテリィの分と一緒に取り分けた。

 

 

 

『キミは、いつも美味しそうに食べるね。』

 

 

と、テリィはキャンディに言った。

 

 

 

『だって、美味しいのよ。』

 

 

 

キャンディは、緑色の虹彩をキラキラさせながら話した。

いつの間にか、全身の紅潮はなくなり、リラックスしていた。

 

 

 

 

そんな二人のやり取りを、アルバートとエレノアは微笑みながら見ていたが、

アルバートが、

 

 

 

『君たちは、何年も会っていなかったようには見えないね。

 

まるで熟年の夫婦のように、息があっているし、愉快な夫婦だね。』

 

 

 

『熟年の夫婦⁈ 』

 

 

とキャンディは、テリィの顔を見ながら言った。

 

 

 

『君たちは、反発しているようで、阿吽の呼吸を感じるんだ。』

 

 

と、アルバートは言った。

 

 

 

 

『熟年の夫婦か ……  そうなりたいですね。これからも、ずっと一緒に … 』

 

 

 

と、テリィは最後は少し照れながら、呟くように言った。

そして、テリィは、テーブルクロスの下で、キャンディの手を握った。

キャンディもテリィの手を握り返した。

 

 

 

『えぇ。』

 

 

 

と、キャンディは照れながら一言だけ答えた。

 

 

 

そして、

 

『今度、動物園に行きましょうよ。』

 

 

 

『動物園? 可愛いおてんばサルに会いにかい?』

 

 

 

『そうよ。可愛いおてんばサルに会いに行きましょう。』

 

 

 

『いいね、そうしよう。可愛い子ザルもいるな。』

 

 

 

『ウフフ。楽しみだわ。』

 

 

 

2人は、昔、アルバートに会いに動物園に行ったことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとエレノアが、

 

『ねぇ、キャンディ、あなた達の新居は部屋数があって、お掃除も大変でしょ。

 

わたしの家に来ているメイドを一人、週一回、あなた達の家に来てもらう事にしたら

 

どうかしら?』

 

 

 

 

突然のエレノアの提案にキャンディは驚いた。

 

 

『あっ、ありがとうございます。エレノアさんのお気持ちが嬉しいです。

 

ただ … メイドさんは必要ないです。

 

使っていない部屋は、週に2回くらい掃除すればいいかなと … テリィと話したんです。

 

わたしのティールームの仕事は週4回ですし、寝室とリビングくらいなら、なんとか掃除も

 

出来ます。

 

庭のお手入れも、定期的に庭師に入ってもらうので … 』

 

 

 

 

と、テリィをチラッと見た。

 

 

 

 

すると、テリィが

 

 

『キャンディ、そうしてもらったら?』

 

 

と、言い出した。

 

 

 

 

『えっ? メイドはいらないと、あなたも言ってたわよね?』

 

 

と、キャンディはテリィに小声で確認した。

 

 

 

『あぁ、そう思ってたけど、キミも仕事をしながらだと大変だろ。

 

オレも休みの日は手伝うが、公演が始まるとキミに負担をかけるかも知れない。

 

子どもが産まれたら、もっと大変だぞ。』

 

 

と、テリィも小声でキャンディに言った。

 

 

 

 

キャンディは、テリィがエレノアの提案を受け入れる姿勢が意外であったが、

嬉しくもあった。

 

 

 

 

『あの、メイドさんをお願いします。

 

二人で何とかしようと思っていましたが、今後の事を考えるとお願いしたいです。』

 

 

 

『わかったわ。』

 

 

と、エレノアはニコリと微笑んだ。

 

 

 

『週一回なら、あなたも気兼ねなく頼めると思うの。』

 

 

 

『ありがとうございます。そうですね、本音を言うと、週一回来てもらえると助かります。』

 

 

 

 

『ねぇ、それと、テリィが地方公演の時は、あなたはあの広い新居で1人になるのでしょ。

 

1ヶ月も大変よ。

 

あなたの仕事が休みの時は、うちに泊まりに来てもいいのよ。』

 

 

 

と、エレノアは優しい母のように、キャンディに言った。

 

 

 

 

『ありがとうございます。はい、その時は泊まりに行きますね。』

 

 

と、キャンディは言ったが、エレノアの家に泊まりに行くのは緊張すると思った。

テリィは表情を変えずに、照れ隠しのようにも見えた。

 

 

 

 

『テリィの地方公演の時は、テリィとは別行動で、初日と千秋楽を観に行こうと思っているん

 

です。別行動なら、テリィにも迷惑をかけないで、お芝居を観てこれます。

 

ボストン、ニューヘブン、フィラデルフィアなら日帰りでもいいのですが、

 

出来るなら、泊まりがけでゆっくり行こうと思っています。』

 

 

 

と、ローズマリーの初日を観劇した気分に酔いしれ、嬉しそうに言った。

 

 

 

 

『キャンディ、あなた、テリィの地方公演を観に行ってくれるの? 嬉しいわ。

 

地方公演の初日は、ある意味、本公演の初日より緊張するの。

 

あなたが観に来てくれるなんて … 心強いわね。』

 

 

 

 

と、エレノアはキャンディに言ったあと、テリィを見つめた。

 

テリィは嬉しさを噛みしめていた。

 

 

 

隣で聞いていたアニーが、

 

 

 

『エレノアさんって、気遣いがあるけれど、嫌味がないわね。』

 

 

と、キャンディに囁いた。

 

 

 

 

『えぇ、そうなの。素敵な方よ。』

 

 

 

と、言った後、アニーに

 

 

 

 

『コーンウェル家はどうなの?』

 

 

 

と、尋ねた。

 

 

 

 

『うちは、中東にいるから滅多に会えないわ。でも、気さくでわたしの事を大事にしてくれるわ。』

 

 

 

と、言い、続けた。

 

 

 

『キャンディ、テリィが地方公演の時、一ヶ月も1人ぼっちなの?

 

ねぇ、子どもたちと泊まりに行ってもいい?』

 

 

 

『もちろんよ‼︎  アニーが来てくれるなんて、それも、アーリーンとアレックも‼︎

 

嬉しいわ。』

 

 

 

『アーチーは仕事だから、わたしとアーリーンとアレックだけになるけれど、

 

子どもたちも喜ぶわ。』

 

 

 

 

『アニー、僕を置いてキャンディの所に泊まりに行くの? いやぁ、寂しいなぁ。』

 

 

 

 

と、アーチーはアーリーンとアレックを見つめ残念そうだったが、

 

 

 

『連休が取れたら、ニューヨークに迎えに行くからね。』

 

 

 

と、アニーに言った。

 

 

 

すると、テリィが、

 

 

 

『なんだい、オレが一ヶ月も居ない間、楽しそうじゃないか?』

 

 

 

 

と、わざと皮肉っぽくキャンディに言った。

 

 

 

『あなたが一ヶ月も居なくて、わたしが寂しいだろうって、みんなが心配してくれているのよ。

 

1ヶ月 … どうしていようか?と思っていたけれど、あなたのお芝居を観に行ったり、

 

エレノアさんの家に泊まりに行ったり、アニーたちが泊まりに来たり、

 

ここでのアルバイトもあるし、けっこうあっという間に過ごせそうだわ。』

 

 

と、キャンディは言った。そして、

 

 

 

『だから、安心して。お芝居に集中してね。』

 

 

と、テリィに囁いた。

 

 

テリィは微笑みながら、黙って頷いた。

テリィも地方公演の時のキャンディを心配していたが安心感に満たされ、心が和んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『キャンディ、そろそろキミのおすすめの紅茶を淹れようか?

 

オレが運ぶよ。』

 

 

『そうね、わたしもJapan式ロシアンティーが飲みたくなったわ。

 

みんなに飲んでもらいましょう。』

 

 

 

 

キャンディとテリィは、ティーカップを温めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat    妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

覚書④   AI画像

 

 

 

テリィの誕生日、1月28日にキャンディとテリィの結婚式ドキドキブーケ1妄想日記を投稿したく、

ブログ立ち上げ後、駆け足で投稿してきました。

 

もっと丁寧に描けばよかったかしら……と、思わないわけではありませんが、

これはこれで大切なわたしの妄想日記です

 

今は、キャンディとテリィの結婚式後のパーティーを描いていますが、今月はなかなか

妄想日記に集中する時間がありません汗うさぎ

そして、頭にあるストーリーを文字起こしするのは、予想以上に大変なこともわかりました。

3行の文章を完成させるのに、1時間ほどかかることもあります。

でもね、キャンディとテリィの幸せな日々を想うと時間が経つのも忘れてしまいます。

 

 

 

今日は、AI画像を残したいと思います。

カバー写真に使用したものもあります。

AI動画も投稿したいのですが、再生出来ないと困るので、画像のみとします。

 

 

 

 

アトリエ・エタニテの回のカバー写真。

キャンディのウェディングドレス。

立体ローズのモチーフが、特徴的。

 

AI画像 Grokで生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新居に引っ越す前のテリィのアパートにて、タバコを吸うテリィ。

妄想日記では、テリィは自宅ではほとんど喫煙はしない→稽古場の休憩時間や、

外出先では喫煙する設定にしているので、貴重な一枚ビックリマーク

 

 

AI画像 Grokで生成。

 

 

 

 

       

 

 

 

 

 

 

 

 

少し節目がちのテリィ。

 

AI画像 Grokで生成。

 

 

 

 

       

 

 

 

 

 

 

 

 

ローズウィンドウのステンドグラスの教会での、結婚式ドキドキブーケ1ドキドキブーケ1ドキドキ

 

ちょっとアルバートさん寄り?ですが、

キャンディに向かって歩いてくる幸せいっぱいのラブラブラブラブ音譜音譜テリィ。

 

 

AI画像 Grokで生成。

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じく、キャンディに微笑むテリィブーケ1ドキドキブーケ1ドキドキブーケ1

 

 

AI画像 Grokで生成。

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

キャンディとテリィの新居宝石緑ブーケ1カメラコーヒーラブラブ

奥の小さく見える建物が、キャンディのアルバイト先のハーバー・ビスケット。

向かって、左側→ハーバー・ビスケットとは反対側に、ガレージと正門があります。

正門側は車の通行が可能ですが、ハーバー・ビスケット前の路地裏は車の通行は不可。

 

結婚式を挙げた教会、チャペル・オブ・ローズライトは、向かって右上付近にあります。

教会は、正門側からでも、ハーバー・ビスケット前の路地裏からでも行くことができます。

 

AI画像   ChatGPTで生成。

 

 

 

 

 

 

 

    

      

 

 

新居のセカンドリビングのイメージ。

 

 

AI画像  Grokで生成。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンディとテリィの新しい未来は、愛にあふれていますドキドキラブラブドキドキラブラブドキドキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Tomboy and the Rebel Aristocrat  妄想日記

おてんばちゃんとヤンチャ貴族

 

 

 

 

㉛祝福のスナップ

 

 

 

チャペル・オブ・ローズライトで祝福を受けたキャンディとテリィは、教会の外に出た。

キャンディのロングトレーンが汚れないように、テリィはキャンディを抱き抱え、

ローズウィンドウのステンドグラスが写真に収まる位置にキャンディをおろした。

 

17時過ぎ、太陽は西に傾きかけていたが、光はまだ午後の明るい光だった。

港から吹くやわらかな風が、教会とその周辺を包み込んでいた。

そしてローズウィンドウのステンドグラスは、黄昏前の光に照らされ、赤や金色に輝いていた。

キャンディとテリィは、まだ結婚式の余韻に浸っていた。

やわらかな風があたると、キャンディのウェディングドレスのローズモチーフも優しく揺れ、ヴェールも微かに揺れた。

ロングトレーンも優しくなびき、キャンディはさらに優しい幸福感に包まれた。

そんな中、テリィは相棒のカメラである小ダックのヴェスト・ポケットを取り出した。

 

 

 

 

『キャンディ、いいよ、その笑顔!』

 

 

 

テリィの声かけにキャンディは、結婚式の余韻に浸る笑顔で、テリィを見つめた。

キャンディはテリィがカメラを構える姿、カメラを大切に扱う仕草が好きだ。

テリィがカメラを構え、シャッターを押す指を見ると、キャンディの胸はトキメキが溢れ出しそうになるのだ。

それに反応するかのように、テリィのシャッターを押す指も弾んでいた。

 

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

と、シャッターを切る音がやわらかい風に溶け込んでいった。

 

 

 

 

『キャンディ、とっても綺麗だ。』

 

 

 

 

と、テリィは再びシャッターを押す。

 

 

 

 

 

『ねぇ、テリィ、あなたも一緒に。』

 

 

 

 

『あぁ。』

 

 

 

と、テリィは嬉しそうにキャンディに微笑んだ。

ちょうどフィルムが切れたため、新しいフィルムに交換した。

そして、アルバートに撮影を依頼した。

テリィは、首元のプラストロンを少し整えながら、キャンディの隣に立った。

見つめ合う2人。

真上から降り注いでいた光も、少しずつ横から差し込むようになっていた。

キャンディのロングトレーンが、石畳の上に静かに広がる。

立体ローズのモチーフが風に撫でられ、花びらが微かに揺れていた。

テリィはそっと、キャンディの手を取り指をからめた。

 

その瞬間、アルバートはシャッターを切った。

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

そして、もう一枚、

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

シャッターを切る音が、心地よく空に響いた。

 

 

 

 

『2人とも、良い表情だよ。モデルが良いから、僕でも綺麗に撮れたと思うんだ。』

 

 

と、アルバートが言うと、

 

 

 

『アルバートさん、カメラマンが似合ってるわ。

 

エスコートも、ありがとうございました。わたし、緊張しちゃって …… 。』

 

 

 

 

『緊張したっていいじゃないか。素敵だったよ、キャンディ。』

 

 

 

 

と、優しいアルバートの言葉にキャンディは安らいだ。

 

 

 

 

『アルバートさん、キャンディのエスコートをありがとうございました。』

 

 

 

『素敵だったよ。キャンディも、テリィも。』

 

 

 

『アルバートさんが撮った写真も、楽しみですよ。』

 

 

 

『迷カメラマンだけど、一応お役に立てたかな?』

 

 

 

と、テリィとアルバートが笑いながら話しているところに、

アーリーンと手をつないだアーチーと、アレックを抱いたアニーがやってきた。

 

 

 

『キャンディ、テリィ、素敵な式だったわ。おめでとう。

 

キャンディのウェディングドレス姿も見惚れるほど綺麗だし、

 

ローズウィンドウのステンドグラスが、美しくて感動したわ。』

 

 

と、アニーが祝福した。

 

 

 

『ありがとう、アニー。このステンドグラスが気に入って、ここに決めたのよ。』

 

 

 

『ステンドグラスの光が、床や壁に落ちている美しさが、子どもたちにも伝わったみたいで、言葉を失ってたわ。

 

 

キャンディ、指輪はエメラルドなの? 』

 

 

 

『そうなの。5月の誕生石のエメラルドよ。

 

エメラルドの石言葉には、″幸運″ ″幸福″ ″希望″ ″愛″なんかがあるらしいわ。

 

テリィが言ってたの。』

 

 

 

『テリィが? 』

 

 

 

『えぇ、彼は物知りなのよ。ウフフ ……   そしてね、お互いの指輪に、お互いの髪の毛を

 

封入しているの。』

 

 

 

『えっ? それも、テリィのアイデアなの? 』

 

 

 

『うぅん、それはわたしが考えたの。』

 

 

 

『キャンディが考えたの? すごいアイデアね。

 

このウェディングドレスも、素敵ね。ローズのモチーフが立体感あるようにできるなんて。』

 

 

 

 

『指輪がローズカットでしょ。だから、ウェディングドレスにもローズを入れたかったの。

 

そしたら、立体的なローズモチーフを作れるブライダル・クチュリエールさんだったから、

 

お願いしたわ。』

 

 

 

『結婚式まで、一か月 … くらいしかなかったのに、よく準備できたわね。

 

きっと神様が、キャンディとテリィに味方したのね。』

 

 

 

と、キャンディとアニーは、教会のローズウィンドウのステンドグラスや、

指輪、ウェディングドレスの話題で盛り上がっていた。

 

 

 

 

 

 

一方、アーチーは、

 

 

『なんだよテリィ、母親のことには驚いたよ! 』

 

 

『アニキが知ったら、もっと驚いていただろうな。』

 

 

 

と、アーチーは興奮してテリィに言った。

そして、テリィとキャンディの顔を交互に見ていた。

テリィはすましていたが、キャンディは苦笑いするしかなかった。

エレノアとテリィの母子関係については、アルバート以外は知らせておらず、

アーチーにとっての衝撃は計り知れなかった。

しばらくすると、アーチーは取り乱していた自分を封じ込めるようにして、テリィに声をかけた。

 

 

 

『やぁ、テリィ、キャンディを泣かせるようなことをしたら、どうなるかわかってるよね?』

 

 

 

『キャンディを泣かせる? いや、それはないね。キャンディが僕を泣かせる事があったとしても。』

 

 

 

と、言ったので、すかさず横からキャンディが、

 

 

 

『何ょ、わたしがあなたを泣かせる? 可愛い花嫁に向かって失礼ね。』

 

 

 

 

と、テリィの戯けた言葉に対して、キャンディも戯けて返した。

テリィは、アーチーが恥ずかしくて、″おめでとう″と言えないことや、

キャンディを大切に想っていることを感じていた。

テリィとキャンディの雰囲気が、固くなっていたアーチーの心を少しほぐした。

 

 

 

 

 

アニーも、テリィに祝福を伝えた。

 

 

 

『テリィ、おめでとう。キャンディをもう、離さないでね。

 

キャンディも心の奥底では、ずっとあなたのことを想っていたのよ。』

 

 

 

 

『あぁ、ありがとう。そうするよ。君もイカした彼と幸せに。』

 

 

 

と、テリィはアニーに伝えた。

 

 

 

『ありがとう。 … わたしも、あなたのママのことは驚いたわ。

 

キャンディは、何も言ってなかったし……  素敵なママと、お茶目で可愛い花嫁さんがいて

 

あなたは幸せね。』

 

 

 

と、アニーは言った。

 

 

 

 

その言葉を聞いたテリィは、絡めていたキャンディの指を握った。

 

 

 

 

 

『花嫁たぁん、おめでと。』

 

 

『天使さんみたい。』

 

 

と、アーリーンがキャンディに駆け寄ってきた。

アレックは、アニーに抱かれたまま、キャンディを見ていた。

 

 

 

『ありがとう。アーリーン、アレック。』

 

 

アーリーンは、ウェディングドレスのローズモチーフが気になるらしく、

手に触れたローズモチーフを引っ張ったため、アーチーに優しく諭された。

そして、今度はロングトレーンを拾い上げるような仕草をして、アニーに諭された。

 

 

 

『いいわよ、触らせてあげて、アニー。』

 

 

 

『キャンディがバージンロードを歩いている時に、あの子ったら、

 

ロングトレーンをずっと見ていたのよ。童話のお姫様みたいって。』

 

 

 

『アーリーンに、トレーンガールを頼めば良かったかしら?』

 

 

と、キャンディはアニーに言った。

 

 

 

『そうね。でも、アーリーンにはまだちょっと早いかも。』

 

 

と、アニーは答えた。

 

 

 

 

 

キャンディに許可をもらったアーリーンは、ロングトレーンを目を輝かせながら

拾い上げ、嬉しそうにしていた。

 

 

 

そして、テリィの方を見たアーリーンは、

 

 

 

『かっちょいい!』

 

 

と、言った。すると、テリィはアーリーンの頭を優しく撫でた。

頭を撫でられたアーリーンは、嬉しくてたまらない様子だったため、アーチーは少し嫉妬を

感じた。

テリィは、アニーに抱かれたアレックの頭も優しく撫でた。

アレックは恥ずかしそうに、テリィを見つめていた。

 

 

 

 

『あなたは、子どもにもモテモテね。』

 

 

 

と、キャンディはテリィにささやいた。

 

 

 

 

『キミにモテるだけで、十分だよ。』

 

 

 

と、テリィもキャンディにささやいた。

 

 

 

 

 

すると、

 

『グランチェスターさま、キャンディスさまとのご結婚おめでとうございます。』

 

 

 

と、ジョルジュがテリィに挨拶をした。

 

 

 

『ありがとうございます。あなたが、キャンディに僕の手紙を届けてくださったそうですね。

 

そのおかげで、キャンディと僕は一緒になることができました。』

 

 

 

 

 

と、アルバートはジョルジュに頭を下げた。

 

 

 

 

『グランチェスターさま、わたしはウィリアムさまの仰つけに従ったまででございます。

 

お二人のお幸せを祈っています。』

 

 

と、静かに祝福した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、エレノアが2人に声をかけた。

 

 

 

『素敵な結婚式だわ。温かい人たちに恵まれて、あなたたちは幸せね。』

 

 

 

『ありがとうございます。わたしは孤児だけれど、こんなに祝福してくれる人が

 

いて、そして … 愛する人がいて幸せです。』

 

 

 

と、キャンディはテリィの顔を見た。

テリィは、静かに微笑んでいた。

すると、キャンディは、

 

 

『ねぇ、テリィ、エレノアさんと写真を撮りましょうよ。わたしがカメラマンになるわ。』

 

 

 

『いや、いいよ。これから、集合写真を撮るし、キャンディのドレスが汚れるだろ。』

 

 

 

『集合写真と、エレノアさんと2人で撮る写真は別よ。それに、ドレスが少し汚れるくらい、気にしないわ。』

 

 

 

『撮らなくていいよ。』

 

 

 

と、キャンディとテリィは、揉め出した。

 

 

 

すると、アルバートが

 

 

『どうかしたの?』

 

 

 

と、そばに来たため、キャンディは事情を伝えた。

 

 

 

『それなら、僕が撮るよ。それならいいだろう、テリィ?』

 

 

と、アルバートがテリィに確認した。

 

 

 

 

『…… はい、キャンディも一緒なら。』

 

 

 

 

『えっ? わたしも? 』

 

 

 

 

『それは、いいね。キャンディも、一緒にね。』

 

 

 

『でも ……    … 』

 

 

 

と、キャンディは言葉を濁した。

キャンディは、テリィとエレノアが2人で撮影する写真を撮りたかったのだ。

それを理解しているアルバートだったが、テリィを妥協させるにはテリィの言う通りに

した方がいいと思った。

返事を渋るキャンディに対して、エレノアが

 

 

 

『キャンディ、お願い。一緒に ……  』

 

 

 

と、頼み込んできた。

 

 

 

 

『… はい、わかりました。』

 

 

 

と、キャンディは承諾した。

 

 

 

 

そして、エレノアを真ん中にして両端に、キャンディとテリィは並んだ。

エレノアは青みを帯びた淡いすみれ色のシルクサテンのイブニングドレスを着ていた。

ストレートラインだったが、ヒップラインにはドレープがあり、エレノアが歩くたびに

静かに揺れて、さりげないセクシーさを感じた。

派手ではないが、キャンディは自分には出来ない着こなしだと思った。

胸元はボートネックで、エレノアの鎖骨が美しく強調されていた。

肩から胸にかけてのビーズの刺繍は、西に傾いていた午後の光を受けて、星屑のように

美しく輝いていた。

大女優の風格を、キャンディは感じた。

 

3人が静かに並んだところで、アルバートはシャッターを切った。

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

 

『う…ん? テリィ、少しかたいよ。もう少しリラックスして。』

 

 

 

と、アルバートはテリィに声をかけた。

 

それを聞いたキャンディは、テリィに変顔をして見せた。

 

 

 

『クククククッ ……  』

 

 

 

と、テリィは喉の奥で笑った。

そして、もう一枚。

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

アルバートはシャッターを切った。

 

 

 

『今度は、良かったよ。』

 

 

 

と、アルバートは満足気に言った。

 

 

 

 

『アルバートさんったら、本物のカメラマンみたいね。』

 

 

と、キャンディは笑いながら言った。

 

 

 

 

『キャンディ、こんな機会を与えてくれてありがとう。』

 

 

 

と、エレノアは清々しい表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

テリィは、キャンディに言った。

 

『そろそろ、集合写真を撮らなくちゃな。』

 

 

 

『そうね。シェリーも、ヘレンもお料理を準備して待ってるわ。』

 

 

 

 

 

テリィは、愛車に積んできた木製の三脚を出した。

革ベルトを外し、構図の中にローズウィンドウのステンドグラスが入るように位置を調整した。そして、

 

 

 

『僕が合図をしたら、このレバーを押してください。』

 

と、教会の関係者に頼んだ。

 

 

 

 

『なんだ、テリィは本格的だな。三脚も自分で持って来たのか。

 

プロの写真家みたいだなぁ。』

 

 

と、アーチーが言った。

 

 

 

 

『アーチーは、写真は撮らないの?』

 

 

と、キャンディが聞くとアーチーは、

 

 

 

 

『一応、カメラは持ってるよ。でもさ、記念写真は、専属の写真館に頼んでいるからね。

 

自分でこんなに、本格的に撮るなんてやったことないよ。』

 

 

と、答えた。

アニーもうなずいていた。

 

 

 

 

アーチーもアニーも …… キャンディ以外は誰も、テリィが来年には劇団を退団し、

写真学校へ進むことはまだ知らない 。

 

 

 

 

テリィが写真家に転向すると知った時、今日のこの瞬間をそれぞれが

思い出すのだろうと、キャンディは思った。

 

 

 

 

 

優しい風がキャンディのヴェールを撫で、立体ローズのモチーフの花びらも揺れた。

テリィはプラストロンを直し、キャンディの隣に立つとキャンディの指をからめた。

キャンディとテリィは一瞬見つめあった。

そして、9人はそれぞれ微笑みながら、カメラに目線を向けた。

 

 

 

 

『カシャ。』

 

 

 

心地よいシャッター音が空に響いた。

 

 

 

 

 

キャンディは、ここにはいないが、

ポニー先生、レイン先生、グランチェスター公爵、パティ、アンソニー、ステア

シェリー、ヘレンたちの祝福を感じ取っていた。