新型コロナ対策の指針

 

 新型コロナ対策で最も重要なことは、言うまでもなく死者や重症者を減らすことである。

 死者や重症者を減らすためには、次の3つの観点で対策をする必要がある。

 ① 感染を減らす

 ② 感染しても症状が出ないようにする

 ③ 感染して症状が出ても重症化しないようにする

 

1.感染を減らすための対策

 まず最初に、感染のメカニズムについて考える。

 感染の拡大・減少を表す指標である実効再生産数Rt(一人の感染者が平均何人に感染させているか)は、次に定義するA、Bを用いて、Rt=A×Bで表すことができる。

 A 一人の感染者が平均何人にウイルスを暴露させるか。

   ① 「人々の感染防止策」が強くなると減少する

   ② 「他者との接触の機会」が減ると減少する

 B ウイルスに暴露した人のうち平均何人に一人が感染するかの割合。

   ③ 「ウイルスの感染力」が強くなると増加する

   ④ 「集団の免疫力」が高くなると減少する

 したがって、①、②、③、④のすべてが実効再生産数Rtに影響する。

 例えば、A=10(一人の感染者が平均10人にウイルスを暴露させる)

      B=0.1(ウイルスに暴露した人の平均10人に一人が感染する)

とすると、Rt=A×B=1となって感染は増えも減りもしない。

 ここで、感染の波がなぜ起こるかを考えてみる。

 まず、それまでのウイルスよりも感染力の強くなった変異ウイルスが現れると、従来ウイルスが変異ウイルスに置き換わっていくにつれて③「ウイルスの感染力」が強くなってBが増加して行き、Rtが1よりもどんどん大きくなり、感染の波が急激に立ち上がって行く。

 そして、感染が広がって、殆ど変異ウイルスに置き換わると、③「ウイルスの感染力」は飽和状態となり、それ以上強くならなくなる。

 一方、感染が広がるにつれて既感染者が増えるため、④「集団の免疫力」が高くなり、あるところで③と④が釣り合い、その後は、既感染者が増えるにつれて③はあまり変わらないが④「集団の免疫力」がどんどん高くなるため、Bが減少していき、Rtが1よりも小さくなって、感染の波は収束していく。

このようにして、富士山型の感染の波が形作られる。これは、昔からの季節性コロナやインフルエンザでも同じで、新型コロナでも例外ではなく、ごく自然な現象である。

 以上の通り、感染の波の形はBすなわち③と④で決まる。

 一方、波の高さは、①、②、③、④のすべてが影響する。すなわち、感染の波の高さは、①「人々の感染防止策」が強くなると低くなり、②「他者との接触の機会」が減ると低くなり、③「ウイルスの感染力」が強くなると高くなり、④「集団の免疫力」が高くなると低くなる。

 感染の波の高さが医療のキャパシティーを超えると医療崩壊を起こすため、その危険がある場合は、感染の波の高さを抑える必要がある。

 感染の波の高さは、①、②、③、④で決まるが、③「ウイルスの感染力」を別にすれば、①「人々の感染防止策」と②「他者との接触の機会」と④「集団の免疫力」で決まる。

 政府は、このうち②「他者との接触の機会」の抑制に重点を置いているが、これは、効果の割には弊害が大きすぎる。

 ①「人々の感染防止策」を重要な順に列挙すると、「トイレの清掃」「手洗い」「換気」「マスクの着用」「食事時の会話抑制」がある。

 ④「集団の免疫力」については、普段から、運動やストレスのない生活などで鍛えられる「自然免疫」と、長年の風邪コロナ感染によって得られた「免疫記憶」と、今回のウイルス感染によって得られた「獲得免疫」とがあるが、「獲得免疫」は、前述の波の形に影響し、「自然免疫」と「免疫記憶」が波の高さに影響する。そして、波が収束した後は、「獲得免疫」は次の変異ウイルスによる波に備えての「免疫記憶」となる。

 このように、感染の波が繰り返されるごとに④「集団の免疫力」は高くなっていくが、一方、ウイルスの方も、それに打ち勝つように、③「ウイルスの感染力」をさらに強くしたものに変異することにより、感染の波が繰り返されて行く。

 ワクチンは、後で述べる発症予防効果は大きいが、ウイルスに暴露した場合の感染防止効果は少ない。

 以上、感染の波が続くことは不可抗力であるが、感染の波の高さは、「トイレの清掃」「手洗い」「換気」「マスクの着用」「食事時の会話抑制」とともに、運動やストレスのない生活によって「自然免疫」を鍛えることが重要である。

 ②「他者との接触の機会」を減らすための人流抑制は、それによる社会・経済に与えるダメージが大きいため、医療崩壊が避けられない場合だけにとどめ、それも、流行の波の急拡大期のみに限定するべきで、急拡大期が過ぎれば、あとは自然に収束していくため、人流抑制は直ちに解除すべきである。

 ところで、④「集団の免疫力」と言えば、「集団免疫」を思い浮かべ、「集団免疫」は国民の6割以上が感染しなければ達成できないが、過去の感染者の累計はまだ国民の1~2%に過ぎないため、「集団免疫」には程遠いという理由で、現在「集団免疫」という言葉がタブーになっている。しかし、これは、日本の国内が均一であることを前提とした誤解である。

 実際は、国内は無数の小さな集団の集まりであり、その一つひとつの集団では、一旦感染が広がると、多くの割合の人が感染して「集団免疫」に達し、そして収束していく。感染が広がらない集団も多くあるため、日本全体としては感染者の割合は少ないが、感染が広がった個々の集団の中では、「集団免疫」が達成されているのである。

 

2.感染しても症状が出ないようにするための対策

 感染しても症状が出ないようにするためには、次の方法がある。

  ① 運動やストレスのない生活により「自然免疫」を鍛える

  ② 新型コロナに感染することにより「免疫記憶」を得る

  ③ ワクチンにより「抗体」を得る

 この中で、一番効果的なのは、「免疫記憶」を得ることである。自然感染により得られた「免疫記憶」は、ワクチンにより得られた「抗体」よりも効果がはるかに長持ちする。

 そこで、普段から運動やストレスのない生活により「自然免疫」を鍛えておけば、新型ウイルスに感染してもほとんど無症状で「免疫記憶」を得ることができる。これがベストである。

 ワクチンは、発症を抑制し重症化を防ぐ有効な手段であるが、ADEや不妊症等の長期的なリスクがまだ解明されていないため、高齢者や重症化リスクの高い人にのみ接種し、重症化リスクの低い将来のある若い人には接種するべきではない。

 ただ、免疫抑制剤を使用している患者などで、重症化リスクが高くてもワクチン接種ができない人がいるため、そのような人達を感染から守るためには、限定的に若い医療関係者にもワクチンを接種することはやむを得ないかもしれない。

 

3.感染して症状が出ても重症化しないようにするための対策

 感染して症状が出ても重症化しないようにするための方策は次の2点である。

  ① 新型コロナの感染症指定を2類から5類に下げる。

  ② 新型コロナの治療薬の開発を急ぐ。

 まず、指定感染症については、新型コロナが出始めたころは、恐ろしい未知のウイルスということで、安全を見て、結核やSARSやMARSと同じ指定感染症2類に指定された。そして、感染者を見つけて隔離するという対策が取られた。そのために、感染者の窓口を保健所に限定し、治療もコロナ指定病院に限定された。

 その結果、感染が拡大するにつれて保健所の能力がパンクして対応が追い付かず、発症しているのに治療が受けられない状態が続いた。また、コロナ指定病院ではスタッフが極限状態で必死に治療にあたっているのに一般病院は暇という奇妙な状態が続いた。

 日本よりも感染者が数十倍多い欧米でも医療崩壊を起こしていないのに、人口当たりの病床数が世界一多い日本が医療崩壊を起こしそうになったのは、2類指定になっているからである。

 その後、だんだんウイルスの正体が明確になり、新型コロナは、従来のコロナウイルスの10倍の感染力を持った風邪ウイルスであることが判り、また、無症状感染者が多いため隔離政策は全く役に立たないことが明白になり、また、以前は風邪に対する治療薬が殆どなかったのに、新型コロナの流行により世界中で治療薬が研究された結果、治療が可能になってきたことから、2類指定にしておく必要が全くなくなったにもかかわらず、いまだに2類指定が続いている。

 マスコミによって新型コロナは怖いという考えが人々に植え付けられているため、2類を5類に緩めた場合の世論の反発を恐れて、政府は5類への変更をずっとためらっている。

次に治療薬の現状を述べる。

 重症者向けには、間質性肺炎に対するステロイド薬や、サイトカインストームを抑える抗炎症薬がある。中等症向けには、「レムデシビル」等の抗ウイルス薬がある。軽症者向けには、ウイルスが細胞内に侵入するのを防ぐ抗体カクテル薬がある。

 他に、効果は確定していないが、「アビガン」や「イベルメクチン」などが検討されている。

特に、抗体カクテルは、重症化を予防する治療薬として重視されているが、点滴薬であるため、医療施設や往診でしか使えない。

 これに対して、現在、塩野義製薬で開発中の抗ウイルス薬は経口薬で家庭での使用が可能となるため、感染初期の治療薬として期待されており、年内の申請に向けて開発が進められている。

以上の通り、新型コロナの治療薬の開発が進むにつれて、感染しても重症化しないようになって行く。

 

4.まとめ

 以上、新型コロナによる死者や重傷者を減らすために、3つの観点で対策を述べてきたが、今後の新型コロナ対策の重要な点をまとめると、次のようになる。

考え方

 ① 感染抑制から重症化抑制に比重を移す。

 ② 人流抑制は極力避け、免疫力の強化を図る。

 ③ 人々の感染予防策は維持する。

具体策

 ① 感染症指定を2類から5類に下げる。

 ② 治療薬の開発を加速する。