「先を見て学べる。それが次男の特権や」
瀬尾まいこ著 戸村飯店青春100連発 作中の兄ヘイスケが弟のコウスケにむけて言ったセリフである。
ストーリーを1行でまとめると、
大阪の中華飯店の息子ヘイスケとコウスケが、学校生活や後継ぎ問題、時には恋に悩んだりする青春小説。
簡単に要約すると本当に何でもないストーリーなのだが、章ごとにヘイスケとコウスケとで主観が変わり、互いにもつ印象の微妙なずれを読者は感じることができ、兄弟のリアルな距離感を描いている。
私にも二つ離れた兄がいる。
高校生の頃の私たち兄弟の距離感も戸村飯店の兄弟と似ていると思った。しかし、戸村飯店の兄弟はあるきっかけによって微妙な距離感はそのままに向かい合うことが出来たが、私たちはどうだろう。きっかけなどなかった。互いに30歳を過ぎ、今更きっかけがあっても向かい合うことなど出来ないだろうし、今となっては、もう距離が離れすぎている。その距離を縮めるにはどれだけ速い乗り物が必要になるだろう。
戸村飯店の兄弟のように若い頃にきっかけが起きなかったことは残念なことだ。
「先を見て学べる」そんな気持ちで兄の事を見ていたら、互いをもっと知れたかもしれない。もっと干渉しあえたかもしれない。そうしたら、互いの距離感も微妙なままであったかもしれない。
こんな本に早く出会いたかった。少し遅すぎたようだ。