僕には昔から不思議なエピソードがいくつかあるのだが、そんな中でも特に不思議な分岐点だったかもしれない出来事を1つご紹介しようと思う。僕が大手進学塾に勤めていた頃。

塾の中には喫煙所がなかったので、近くのビジネスホテル玄関まえの喫煙所に、毎回喫煙しに行っていた。ある日の夕暮れ。いつものように喫煙していると、僕の背中をトントンと叩く女の子にでくわした。

ビジネスホテル側の人で、注意されるのかな?と思い振り返ると、タイの民族衣装をまとった10代の少女が僕に金の小判を渡そうとするのだ。僕は、そんなことあるわけがないと思い、疲れてるのかなと思い少女を二度見するが現実に確実に、その少女は、存在しているのだ。

そしてその小判はどう考えても本物の金なのだ2、3グラムもある直径8センチ横3センチほどの小判だ。文字は、何が書かれているか、そこまではわからない。

言葉を喋っているが、そのことも聞き取れないが、日本語でないのは明らかだ。

僕は英語でノーと言った。何かの宗教の勧誘かもしれないと思ったからだ。でも夢ではない。紛れもない現実だ。ノーと言うと、彼女は悲しそうな顔をした。僕は踵を返して、タバコの灰を灰皿にトントンと落とした。そして振り返ると一瞬にして彼女はいなくなっていた。ビジネスホテル一階には、おそらく出入り口は1つしかない。玄関のみだ。裏口から入っていったのかもしれないが、裏口の距離はほんの1秒2秒では到底行けない距離だ。

この不思議な話には、後日談があって、東京で売れたアイドルが、何人かこの小判の少女に出くわしているらしい。ロケの進行役のタレントはそんな話聞いたことないよーと言っていたが、僕は心の中であーやっぱりあったんだ。と思った。そして僕だけじゃなく経験した人がいることに安堵がした。

そして、今、



あの時その小判を受け取っていれば、今1グラム23,000円の金が69,000円になっていたかと思うと惜しいことをしたかなぁと思う。(まぁ、これは、冗談ではあるが)