今回の大停電において、北電の責任を求める声が上がっている。
停電において、北電から補償されるケースと言うのは、
北電に瑕疵や過失がある場合となる。
分かりやすい例で行くと、北電が間違ってスイッチを切ってしまったとか❓
というパターンで有る。
一方、北電の責任を問えないケースとしては、地震や台風などの自然災害が原因で有り、それらの原因で起こりうる停電に対して電気事業法などの停電にならない様な設備基準を満たしている場合で有る。
今回の大停電の原因は地震で有り、大停電を起こしたキッカケは、
北電の最大の発電所で有る苫東厚真火力発電所が3基とも停止した事による。
地震が原因なので、一見北電の責任は問えない様に思えるが、
以下私なりに検証してみたい。
苫東厚真火力発電所の2号機と4号機には地震の際に機器の破損を防ぐ為に耐震自動停止装置が備えて有り、
この装置が動作して自動停止したので、この点では問題ない。
1号機は古いタイプの発電機であった為、自動停止装置が付いてなかったが、これも法令上は問題が無い。
そして、苫東厚真火力発電所の地震を想定した耐震基準は震度5で有り、
東日本大地震の時に再チェックが国からも行われており、適合とされている。
なので、地震により苫東厚真火力発電所が3基とも止まった事自体による停電は、北電にとって不可抗力と言える。
しかし、問題は
ブラックアウトについてだ。
結論から言うと
負荷遮断【強制停電】の設定が適切で有ったかどうかが9月22日時点において問題視されている。
北電が設定していた最大の負荷遮断容量は146万キロワット。
ポイントはこの設定値で有る。
苫東厚真火力発電所の3基の合計最大発電容量は165万キロワット。
なので、適切で有ったかどうかについては、疑問が残る。
そして、次に問題として
北電の経営層はブラックアウトになる危険性を事前に認識していたか❓
どうかと言う点に有るが
NHKの記事によると認識はしており、それなりの対策は講じてた様だが
果たして、その対策は技術専門家からみて実効性のあるものだったのかどうが焦点になる。
明らかに実効性がないと言うものであれば、
対策を取って居なかったに等しいので
北電の責任は逃れられないで有ろう。
これに関連する話題として、
今、東日本大震災にて事前に大津波が来ることが想定され認識して居たにもかかわらず、防護壁を設置しなかった為に福島第一原発が過酷事故を起こしたとして、東電の元経営陣が起訴され裁判中で有る。
【投稿参考記事】
・北海道電力の負荷遮断の最大容量(146万キロワット)は適切だったか
・1回目の負荷遮断(130万キロワット)実施後、設定ミスで再送電された6万キロワットが全体の需給に与えた影響
今回の地震では、道内最大の火力発電所、苫東厚真火力発電所が運転を停止し、国内では初めてとなる「ブラックアウト」を引き起こしました。
こうしたトラブルについて、かつて各電力会社の供給力を検証した国の委員会が、北海道はほかの地域と比べて電力需給がひっ迫しやすいリスクを何度も指摘していたことがわかりました。
具体的には、出力が大きい苫東厚真火力発電所のトラブルは全体への影響が大きく、トラブルが起きた時に本州から融通してもらえる電力も60万キロワットと少ない点を上げています。
このあと北海道電力は、緊急時には大口の工場や店舗などに対して一時休止を要請し、需要を引き下げるなどの対策をまとめましたが、今回はこうした対策が十分に機能しない結果となりました。