「その人は、不思議な人でした」「ピアノのレッスンに出掛けた帰り道、近くの土手を通る度にいつも姿を見かけました」「いったい、なぜなのでしょう」「その人は、広い河原のあちこちを、一生懸命に掘り返してるのです」
少女「お兄ちゃん、なんでこんな所を掘ってんの?」
少年「円盤を探してるんだよ」「つまりUFO」「宇宙人の乗り物」
少女の母「あの人に近づいちゃダメよ」「あの人、なんでも宇宙人だって噂よ」「昔、仲間と一緒にこの辺りに住んでたんですって」「怖いわね 宇宙人だなんて」
少女「宇宙人だと、どうして怖いの?」「ねぇ、どうして?」
2006年作品「ウルトラマンメビウス」  第32話「怪獣使いの遺産」
GUYSスペーシーの防衛網を抜け、ひとつの未確認飛行物体がタクマ山中に着陸した
GUYSは、直ちに出動  その未確認飛行物体は、内部に怪獣を積み込み武装してることも分かった
リュウは、直ぐに攻撃許可をというが、サコミズ隊長からの許可は下りず  宇宙船側の目的が分からない限りうかつなことはできないと  侵略目的に決まってるとリュウは思う
宇宙船からミライ=ウルトラマンメビウスにテレパシーで話しかけてくる者があった
「違う!」「我らに侵略の意思は無い」「私はメイツ星人ビオだ」
ミライの前に現れるメイツ星人ビオ  ビオは地球と友好を結ぶために来たと言う  地球人と仲良くしたいんだと  怪獣を積み込んでるのは万が一のため  地球人には君=ミライ=ウルトラマンメビウスという武器があるからだと  ビオは無益な争いは望んではいないと言う  メビウスが介入しなければ、積み込んである怪獣、ゾアムルチを覚醒させることはないと
ビオは地球人と握手する前に、どうしても解決しておかなければならない問題があると言う  その交渉のために来たのだと  約30数年前に、ひとりのメイツ星人が気象観測のために地球を訪れたことがあったらしい  しかし地球の大気汚染が予想値をはるかに越えてために、彼は深刻な病に犯されたとか
彼は体力の消耗が激しく隠してた宇宙船を起動させる力すら失ってしまってた  やむを得ず彼は地球人の姿になって身を潜めて体力を回復させようと試みたが、彼を宇宙人だと知った一部の地球人は、恐怖のあまり彼を殺害してしまったらしい
無断で地球に入ったメイツ星人にも確かに非はあるけど、命を奪われるほどの何を彼がしたと言うのか?  これはメイツ星と地球との問題だとビオは言う
ミライは、ビオが怪獣を暴れさせず平和的に地球人と話し合うというのなら介入はしないと約束する  ミライとビオは握手しようとしたが、ビオをひと目みたリュウが撃ってしまう
ビオ「見たまえメビウス」「地球人は自分たちと異なる者を、すぐに敵と考える」
そもそも、30数年前にそんな事件が本当にあったのか?  GUYSのデータベースにある″ドキュメントMAT″の巨大魚怪獣ムルチの所に補足説明があった  メイツ星人が地球人の少年と生活してた小屋に地域住民が押し掛け、同行した警官がメイツ星人に発砲したんだと  なんと悲劇的な
テッペイ「何となく分かりますよ」「いや、普通目の前に宇宙人が現れたら、誰だって怖いと思うんですよ」「良い宇宙人か悪い宇宙人かなんて見ただけじゃ分からないわけだし」
サコミズ隊長「だから、勇気を持って話し合うことが大切なんだ」「話しあって、お互い知ろうとしなければ」  
ビオ「こんな野蛮な連中に、まともな話し合いなどできるものか!」
ビオは宇宙船を起動させる
ビオ「地球人の諸君、我々は改めて命を奪われた同胞の賠償を要求する」「地球の大陸部の20%を我らに割譲せよ」
できないならば、ビオのやり方でやるだと
ビオは地球人に対する攻撃を始めるが、リュウに撃たれた傷が痛み座込み、人間の姿に変わる
そこを遠足の保育園児たちと先生たちが通りかかる  ビオの宇宙船による攻撃から避難してるのだが
保育園児たちと先生たちは、緑の血を流してる男を目撃してしまう
みーこちゃん「先生、あのおじさん怪我してる」
先生「この人、人間じゃない、きっと宇宙人だわ」
みーこちゃん「でも先生、宇宙人でも怪我をしたら痛いよ」
先生「みーこちゃん、やめなさい」
「はい、おじさん」とビオにハンカチを差し出すみーこちゃん  更には他の園児たちもみーこちゃんに続きハンカチを差し出し、ビオは子供たちに包囲されてしまう
「みーこちゃん立派よ」「本当にあなたの言った通り」「宇宙人だって怪我をしたら痛いのよ」と園長先生がビオを手当てするのであった
ビオが操る宇宙船に全く刃が立たないGUYS
ビオの所に登場するミライとリュウ
ミライ「ビオさん!もうやめて下さい」「地球人とメイツ星人は、きっと仲良くすることができます」「お互いに武器を捨て、何度でも話し合いましょう」「今すぐ宇宙船を止めて下さい!」
しかし全く聞く耳を持たないビオ
「我らの痛みを知るが良い!」「地球人どもめ!」
ミライ「これは、地球とメイツ星との問題」「僕はどうすれば良いんだ」
リュウ「ミライ、何やってる!」「町が大変な事になってんだぞ!」
リュウに押されたミライはメビウスに  「ウルトラマンメビウス」では第29&30話で、ミライがウルトラマンメビウスであることが他の仲間たちにバレてしまってる
邪魔しようとするメビウスに対してビオもゾアムルチを覚醒させてしまう
リュウ「怪獣を止めろ!」
ビオ「撃てば良い!野蛮で暴力的な地球人め!」「ゾアムルチは私の脳波と同調している」「私の怒りと憎しみが有る限り、決して破壊と戦いをやめないぞ」
リュウ「仲間の復讐か」
ビオ「仲間以上だ」「殺されたメイツ星人は、私の父だ」
 30数年前に殺されたメイツ星人はビオの父ちゃんだったんだと
すると、突然に入ってくる園長
園長「あなた、メイツ星の人?」「30(数)年前に地球にいたのは、あなたのお父様?」
ビオ「それがどうかしたのか?」
園長「わぁーっ!お会いしたかったわ!」
ビオ「会いたかった?」
園長「お兄さんが言ってたわ!メイツ星の人は本当に心が優しいって」
ビオ「いったい、何の話をしてるんだ!」「お兄さんというのは誰のことだ!」
園長「ご存じ無いの?」「あなたのお父様は、こちらにいる間、地球人の少年と二人で暮らしてたの」「身寄りを無くして、独りぼっちだった少年と」
園長「私が出会った頃、その少年は少し大きなお兄さんになってた」「そのお兄さんに聞いたのよ」「二人でとても楽しい時間を過ごしていたことを」
園長「たぶんお父様は、もう自分の星に帰れないことを覚悟なさっていたのね」「だから、きっとあなたの面影をお兄さんに見て過ごしていたのよ」
少女(園長)「円盤が出てきたらどうするの?」
お兄さん「メイツ星に行くんだよ」「おじさんは言ってたんだ」「いつかメイツ星人と地球人が手を取り合って仲良くできる日が必ず来るって」「だから俺、一足先にメイツ星に行ってみたいんだ」「そして、おじさんの仲間のたちと握手するんだよ」
園長は、お兄さんの言葉にとても感銘を受けたんだと
違う星の人間同士でも心を通わせる事ができるのだと、お兄さんから教わったんだと  いつからか、その言葉を他の人に伝えたいと思うようになり保育園の園長になってしまった
園長「あなたのお父様が地球人の少年に残した愛情と言う遺産は、私の園の子供たちが、しっかり受け継いでいます」「この子たちが大きくなる頃は、この星はきっと今よりも優しくなってるでしょう」
ビオ「この星が今よりも優しくなるだって?」
リュウ「なぁ、俺が言えたギリじゃねぇのは分かってる」「けど、もういっぺんだけ、地球を信じてみてくんねぇーか」
ビオ「私の父の遺産」
突然降りだす雨の中、メビウスとゾアムルチのバトルは続いてる
リュウ「やっぱり、ダメなのかよ」
ビオ「ダメなんだ!」「もう一度、地球人を信じてみようという気持ちが起こってるのに」「すぐに憎しみが止められないんだ!」「父の事を思うと、どうしても!」
「お願いだ!俺の憎しみを消し去ってくれ!」
「ウルトラマンメビウス!」

ビオ「なかなか美しいものだな」「私は、そろそろ戻ることにするよ」
リュウ「そうか、じゃあ」
リュウはビオに握手を求めるが
ビオ「握手は、父の遺産が咲かせた花を見届けてからにしよう」

園長「その人の姿は、いつの間にか見えなくなっていました」「病気で亡くなったとも、永い旅に出たとも聞きましたが、はっきりしたことは分かりません」「けれど私の中には、燃え上がる夕焼けの中で、どこか楽しそうに穴を掘り続けてるあの人の姿が消えずに残っているのです」

そうです  2006年作品「ウルトラマンメビウス」第32話「怪獣使いの遺産」は、今月の1日にアップした1971年(昭和46年)作品「帰ってきたウルトラマン」第33話「怪獣使いと少年」の続編  35年後に新たに作られた後日談となってる  無理矢理に作った続編と考えてもかまわない(笑)  そうやってシリーズは築かれる  まぁ「怪獣使いと少年」に後日談があるかないかはファンそれぞれに考え方は自由  「帰マン」第33話の脚本は、円谷作品や東映作品でも数々の脚本を手掛けた上原正三で、「メビウス」第32話の脚本は朱川湊人という小説家  朱川氏は上原氏から「どうぞ自由にアレンジして、あくまで朱川さんの作品として完成させて下さい」という言葉を貰ってたとか  映像作品での回想シーンは、「帰マン」オリジナルの映像を挿入せずに新たに別の俳優を使って撮られてた

「帰マン」第33話に登場したこのメイツ星人には、35年後に続編となる後日談が作られたために息子がいたという設定になってしまった  一緒に住んでた少年(佐久間良)に自分のメイツ星の息子の面影を重ねてたのでは?という設定が、後日談が作られたためにできてしまった  泣けるね
そして、ずっと穴を掘り続けてた佐久間良  続編となる後日談が35年後に作られて、彼は少し大きく成長した頃まで穴を掘り続けてたという設定ができてしまった  結局は、メイツ星の宇宙船を掘り出すことなく、病気で亡くなったとか永い旅に出たとかいう噂を残して姿を消したという設定ができてしまったのか  どこか楽しげに穴を掘り続けてたんだと(笑)  それも泣けるね  いや!メイツ星の宇宙船を本当に掘り出してしまいどっかの星へ飛んでいってしまったとか

2006年の「ウルトラマンメビウス」は、平成ウルトラマンのTVシリーズでは初の昭和ウルトラシリーズの続編だった  「Q」「マン」「セブン」「帰マン」「A」「タロウ」「レオ」「80」と地繋りな世界観  ウルトラマン80が地球を去った日から25年と2週間ぶりに再び地球に怪獣頻出期が訪れて、若きウルトラマンメビウスが地球に派遣される  「ティガ」「ダイナ」「ガイア」「コスモス」「ネクサス」「マックス」は含まない世界観だった  「メビウス」は昭和ウルトラネタを絡めたエピソードが沢山だったし、今のところ放送期間が1年あったウルトラマンのTVシリーズは2006年の「メビウス」が最後になってる