1971年(昭和46年)作品「帰ってきたウルトラマン」  第33話「怪獣使いと少年」
さびれた工場地帯の河原で、ひたすらに黙々と穴を掘り続ける少年  この少年は、周囲から宇宙人だと噂されてるのであった
その少年の所に現れる中学生3人組  何で毎日穴を掘り続けるのかと質問しても、少年は邪魔だから帰れと言う
ムカついた中学生たちは、この少年の持ち物を調べたら正体が分かるかもと、少年が住んでる廃屋に立ち入る  すると何か得たいの知れない力によって、中学生の一人が宙に浮かされる  「助けてくれぇー!」
中学生たちは、この少年が宇宙人なら他にも何かできるだろうと、少年を地面に埋めて泥水をかけてイジメるのである
「おい 早く変身しろよ」
そして中学生は、チャリで少年の頭めがけ突進  しかし、そこに「こらっ!」と仲裁に入る者がいた
MATの隊員である郷秀樹(=ウルトラマンジャック あっ いや! 新マンにしておこう)
郷は、宇宙人と噂されてるこの少年を中学生たちからなんとか救う  MATだったらこの少年をやっつけてくれと中学生は言う
郷は、いつも穴を掘ってる理由を問うと、それを聞くために助け出すのならほっといてくれと少年は言う  君が答えなくても、調査は続けるよと郷は言う
「ありがとう」
「僕は宇宙人なんかじゃないよ」
「僕の生れた所は、北海道の江差さ」
「僕は日本人さ」
少年に対する中学生たちの陰湿な攻撃は続く  少年が廃屋でお粥の支度をしてると中学生たちが現れ、お粥をぶち撒いてしまう
ぶち撒かれたお粥を少年が悲しげに手ですくい上げるシーンが悲愴漂いなんともいえない  小学生の時に再放送でこれ初めて見た時はビビったしかなり印象付けられた
更にぶち撒かれたお粥を下駄で踏みつける中学生
そして中学生たちは連れてきてた犬を放ち、少年を襲わせる
廃屋の外で様子を伺う中学生たち  すると犬が廃屋から出てきて突然に大爆発
その様子を見てた少年
郷が少年を調べた結果、北海道の生まれで名前は佐久間良だということがわかった  父親は炭鉱の閉鎖で職を失い東京へ出稼ぎに出たまま蒸発  その後、母親も亡くなってた  良は父親を探しに東京へ来たのだろうか  良は、あの廃屋の中に父親の温もりの様なものを発見したのではないかとMATの伊吹隊長は言う  その父親の温もりの様なものとは宇宙人なのか?
郷は、良を宇宙人説から解放してやるため動く  しかし、良がずっと掘り続けてる穴は何のためなのか?
良が町へ出ると、周りの人々から宇宙人だと噂され後ろ指さされまくり
パン屋に食パンを買いに行っても、後で色々言われるの嫌だから他所の店に行けと、食パンを売ってくれず  「早く帰ってちょうだい!」
しかし、親は親 子は子  このパン屋の娘は気が優しい
良「同情なんてしてもらいたくないな」
娘パン屋「同情なんてしてないわ 売ってあげるだけよ」「だってうち、パン屋だもん」
良「どーも ありがとう!」
母パン屋「あの子、超能力使うんだってよ」
娘パン屋「宇宙人なのかしら?」
母パン屋「毎日買いに来るよ これから」
娘パン屋「良いじゃない だってうち、パン屋だもん」
良が廃屋へ戻ると、郷が上がり込んでた  そして、そこにはやはり宇宙人がいた  メイツ星人が  良はメイツ星人と一緒に暮らしていたのだった  メイツ星人は地球の汚い空気にやられ病魔に犯され弱りきってた
メイツ星人は、1年前に地球の環境調査のために訪れたが、その時に怪獣に襲われていた良と遭遇し救ったのだった 寒さと飢えで死にかけてた良  メイツ星人は怪獣を念動力で封印して良と一緒にひっそりと親子のように暮らしてたのだ
良が掘ってる穴は、メイツ星人がその一帯に宇宙船を隠したからだという
郷は、良と一緒に宇宙船を掘り出すため協力する  もちろん良は本当の父親とも会えてなく、メイツ星人と一緒に宇宙船に乗って地球とおさらばしたいんだと
するとそこへ、武器を持った町の人々が押し寄せる  「その子は宇宙人だということが分かった」「MATが手を下さないなら、警察がやる」
良「おじさぁーん!」「おじさぁーん!」「助けて!」
そして出てきてしまうメイツ星人
「待ってくれぇー!」「待ってくれぇー!」「宇宙人は私だ」「良君は、だた私を守ってくれていただけだぁー」「宇宙人じゃない!」
良「おじさぁーん!  どうして出てきちゃったんだよ!」
メイツ星人「もういいんだよ」
「みんなぁー!こいつを生かしとくと何をしでかすかわからんぞ!」
メイツ星人と良に石を投げつけ尚も攻撃を続ける町の人々
そして警官が数発 パキューン!パキューン!
このメイツ星人がやられてしまうシーン  放送当時(1971年)TBSに最初納品されたものは、竹やりでメイツ星人が串刺しにされてしまうシーンだったらしく、あまりにもキツいというのでNGにされてしまい、拳銃での発砲に変えられたとか言うのを読むか聞くかしたことある
残酷な人間ども
「おじさぁーん!」「おじさぁーん!」
メイツ星人が死んでしまい、念動力が解けたのか  彼が良を助けた時に封印してた怪獣が出現してしまう  巨大魚怪獣 ムルチ
町の人々「早く怪獣を退治してくれよ!」
郷「勝手なこと言うな」「怪獣を誘きだしたのはあんたたちだ!」
そんな人々であっても、郷=新マンは戦って守ってあげなければならない
新マンVSムルチ  カット割り撮影でのバトルシーンでなく、1分以上も止めずに長回し1カットで撮影されたバトルシーン  小学生の時に再放送でこの第33話のバトルを初めて見た時は、そんなこと全く気づいてなかったけど(笑)  


「おじさんは死んだんじゃないんだ」
「メイツ星へ帰ったんだ」
「おじさん、僕が着いたら迎えてくれよ」
「きっとだよ!」
良はまた、宇宙船を掘り出すため穴を掘り続ける  両親もいないし、頼る人もいない東京で穴を掘り続けるしかないのか(涙)  可哀想な話  自分は東京にいとこはいるけど(笑) 
この第33話は、マットアローとかマットジャイロ等のメカニックも出てこないし、MATのメンバーも郷秀樹と伊吹隊長しか出てこない  ただ上野隊員の声だけがラストに聞こえてくる
上野隊員「いったい、いつまで掘り続けるんだろう?」
郷「宇宙船を見つけるまではやめないだろうな」「彼は地球にさよならが言いたいんだ」