皐月

何年ぶりか、君と再会することになった

丹後半島を旅する帰途

そちらへ寄ろうかと思う、時間ある?

何年ぶりか?

醍醐寺の五重の塔が美しくて

紫の藤の前で写真を撮ってくれた

とにかく歩いて、歩いて

私の住む街なのに

君が私を案内する

ほら、利久梅だよ

17歳

離れているから

君はおじ様

20歳に出逢って

君は私を、ずっとクレちゃんと呼んでいた

何年ぶりの再会だったのか?

君が、私をクレアさんと言った

そして、結婚しないの?

て、聞いた

この日から始まりましたね

藤の下で生まれた恋は

永く、悲恋に終わると言います

たらようの君

悲恋にはならないわね

皐月、藤、巡ってきましたよ