耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

 

 

ビリギャルで有名になった坪田先生。今は坪田塾の経営者。

この坪田先生が、新作の小説をだした。この本を先日読んだ。

 

教育とは何かを教えてくれる。5人の成績低迷者の話だが、これはあくまでも小説であって、本当の実話ではないのだろう。ただ、教育とは何かを教えてはくれる。

 

教師がすべきことは、子供にきっかけを与えることだと思っている。どう授業で教えるかなどは小さなことであり、きっかけを与えれば子供は勝手に伸びていく。

 

この本に書かれていて印象に残ったのは、「子供の可能性を親が否定する」ということが。何かにチャレンジしたいと思ったとき、その芽をつぶすのはみんな大人。子供のためと言いながら、大人が子供の芽をつぶしてしまう。「そんなのは無理だ。受験して落ちたらかわいそう。現実的に入れる大学を目指すべきだ。」というようなこと。

 

もう一つ覚えているのは、「他人と比較するのではなく、自分が毎日伸びていくようにすべき。」ということ。毎日毎日少しずつ伸びていけば、何年もたつとすごい成長になっていく。

 

 

公務員というのは、仕事をすることを重視するのではなく、勤務時間を守ることを重視する。個人的に思うのは、普段休んでいてもいいから、いざとなったら仕事をする人がいい。看護師も、医師も同じである。

 

昔公立病院に勤務していた頃、午後5時が就業時間だった。医師は診察も終わり、自分の仕事も終わり、医局にもどってくる。冷蔵庫からビールをとりだし(自由に飲んでいいことになっていた)、医局の机に座り、午後5時が来るのをじっとまっている医師がいた。時計をみて、午後5時になったとたんにそのビールを口にいれるのだ。就業時間にビールを飲むと大問題だが、就業時間をすぎれば、ビールを飲むのは批判されないと言っていた。ビールを飲み終えると、自宅にそのまま帰っていく。

 

自分の場合、空き時間があれば昼間でも昼寝している。就業時間にだ。そんな医師はたくさんいる。しかし、患者が来て忙しくなれば、どんな深夜でも対応する。夜なのに働くのは嫌だとは一切言わない。

 

自分ら医師の社会はこんな感じ。昼間に睡眠をとることで、夜間も仕事ができる。寝られるときに寝ておいて、忙しくなればいくらでも仕事をする。

 

公務員体質になると、仕事がなくても昼間は仕事をしているふりをしなければならない。勤務が終われば、どんなに必要な業務であっても、仕事を受けない。

 

医師もそんな感じの人が増えた。昼間の就業時間はきちっとするけど、夜間呼ばれると「就業時間ではないので、対応できません」と断る。職場に訴えられないためには、それが正しい対応だというのだろう。

調子の悪いところを見られる医師は、診断能力が高いです。なぜなら、見ればわかるから。

 

たとえば、皮膚の病気。直接見られるので、見れば一発で診断できます。電話で状況だけ聞いていても、見なければ誤診します。百聞は一見にしかずというわけです。

 

直接見られる技術のある医師は、診断がすぐれています。もちろん、直接見られることが前提になっていますが。

 

たとえば、胃が痛いと患者が受診してきます。胃内視鏡で直接見ることができる医師の診断がすぐれています。胃炎も、胃潰瘍も、胃がんも、ほとんど区別がつきます。これを見ないで症状だけから、診断するのは困難です。

 

一方で、肝臓の病気などは直接見ることができません。だから、血液検査をしたり、エコーをしたりして診断します。これはどの医者のやり方も同じです。技術に差はでないかもしれません。

 

上記のように、胃内視鏡をやる医師は、やらない医師よりはるかに診断能力が上です。

 

耳鼻科の分野は見ればわかるが多いのです。たとえば、鼻汁がとまらないとします。耳鼻科医は鼻の中をのぞいて、鼻汁の状態や鼻の中の状態を確認します。小児科医や内科医は鼻の中をいっさい見ません。当然ながら診断ミスが多くなります。

 

直接見る医者にはかなわないことでしょう。

 

鼻汁がでてよくならないと当院受診してきた患者がいました。途中から抗生剤がでたそうです。おそらく、鼻の中は見ていないのでしょう。ファイバーで確認しましたが、細菌感染の兆候はありません。鼻の中を見れば、どの医者でもわかるのです。それをやるか、やらないかが診断の圧倒的な差に結びつきます。

 

胃内視鏡をやる医師は、やらない医師より診断能力にすぐれています。見てわかる病気は、すぐに診断がつきます。

 

耳鼻科領域の病気は見ればわかるが多いのです。ですから、話を聞かなくても、見た瞬間に診断がつきます。それも、見られるところに病気があるからです。鼻の中を見ないで鼻の病気を診断する医師は、皮膚を見ないで、皮膚の病気を診断するような医師だと思います。

 

 

入浴中の突然死は、珍しくはありません。事件性はなく、単に風呂に入っている間に気分が悪くなり、死に至っただけです。日本全国でかなりいるはずです。しかし、このような事件性のない突然死は、いちいち報道されません。中山美穂さんの場合には大きく報道されましたが、あれは有名芸能人だからです。普通の人は新聞にものりません。単なる病死として処分されます。

 

昔大病院に勤めていたとき、風呂での突然死のお年寄りが運ばれてきました。入浴中に具合が悪くなり、風呂の中に沈んでいたのを発見されたそうです。突然死して、その後水没したのでしょう。

 

風呂には一人で入ることが多く、これが発見を難しくしています。他の家族と一緒に暮らしていれば、いつまでたっても風呂からあがってこないと気づくのですが、本当の一人暮らしではどうにもなりません。

 

ヒートショックという言葉が有名になりました。温かい風呂から、冷たいところにでたとたんにショックを起こしてなくなるのです。この予防のために、着替え室をあたためておけばいいと言われています。

 

雪の降る中、露天風呂に入るなんて、まさしく危険です。また、サウナで熱いのと、水風呂の冷たいのを繰り返すのも、危険極まりないことでしょう。

子供が風邪症状。近医で検査し、インフルとコロナ陰性。

翌日、その親が当院受診。主訴は39度台の高熱と、咽頭痛。

 

この段階で、コロナがあるかなと思った。SpotFireで一気に調べてみようかと思ったが、その前にのどをみてみた。咽頭粘膜の発赤ひどく、細菌感染ぽい。このため、急遽溶連菌の検査施行。しかし、陰性。

 

溶連菌以外の細菌感染だろうから、抗生剤を処方して様子をみましょうと提案。

 

ところが、仕事が介護職なので、感染症だったら困るというので、SpotFireも行うことになった。そして、コロナ陽性。

 

結局、コロナによる症状。

コロナの場合、咽頭粘膜の発赤ひどくなる人がいて、細菌感染との区別は難しい。本人の希望がなければ、SpotFireまではしなかったろう。

 

細菌性の咽頭炎と誤診するところだった。本人が介護職でなければ、たぶん調べなかったと思う。

 

SpotFireという一括のPCR検査は、非常に有効性が高い。しかし、検査料金が高いのがネックになる。自己負担で5000円かかる。このため、検査するかどうかはケースバイケース。使い方によっては、非常に有効な検査である。

 

一番役に立つのは百日咳を瞬時に結果だせるところかな。

しかし、今のところ、インフル、コロナ、マイコプラズマしか陽性者はでていない。今回のコロナだけは予想していなかったが、それ以外は予想通りの結果。