『どうしたの? さっきからつまんなさそうな顔して』
クスッと笑うように 優しい眼差しで智が話しかけてきた。
「んー、 智は雨好き?」
『雨? 好きとか嫌いとかあんま考えたことないや。 でもイヤじゃないかも、俺 雨男だし』
「そうだ、智って雨男だったね。 忘れてた」
『そんなん別に覚えてなくっていいよ』
「私さぁ、雨嫌いなんだよね。」
窓の外 木の葉を揺らしながら水玉が次から次へと落ちる様を見ていた。
『嫌いな割にはさっきからずっと外ばっか見てんじゃん』
「あの葉っぱ達は雨が降って嬉しいのかなぁ?」
『葉っぱが⁈ なんだよそれ』
私の言葉に吹き出すように言う。
あ、今バカにした?
どうせ私は変人ですよ。
変わってるって自覚してるもん!
智にこんなこと言った私がバカだったわ!
なんだかムッとした。
私の態度に空気を察したのか智が静かになった。
私は拗ねたまま、まだ外を眺めてた。
『葉っぱ、喜んでんじゃない?』
え? 迂闊なことに智の言葉に振り向いてしまった。
『お前にそんなに見つめられて喜んでんじゃない。』
「な、なによ、、」
『別に』
「別に。じゃないでしょ!」
雨は嫌い。
気分が滅入るから。
今のこの空気も雨嫌いに拍車をかける。
「葉っぱは喜んでないと思うよ」
『そっか? 俺が あの葉っぱだったら嬉しいけどな』
「智は雨が好きだからそう感じるんだね」
『そうじゃなくて、 お前にさ そうやってずっと見つめられてたら嬉しいだろ』
『そ!』
『お前だからだよ』
智の瞳が真っ直ぐに私を捉えてくるから急に恥ずかしくなる。
『照れんなよ』
「照れてない」
『ほんと 素直じゃないんだから』笑
智の手が伸びてきて、ふわっと抱きしめられた。
『今日は俺がメシ作る。
美味いもん食べて機嫌直せ』
真剣な顔して料理してる 智の横顔に見とれる。
「智、、さっきはなんかごめんね。」
聞こえてないのか、真剣そのものの智
『ほら! 味見してみ?』
手を添えて私の口に持ってくる。
『どお?』
おまけにふにゃ顔。
はぁ、やっぱりこの人にはかなわないや。
好きすぎて もう、どうにかなりそうだよ。
「美味しい」
『だろ~!! やっぱさ、お前はそうやって幸せそうな顔して笑ってんのが一番だよ。 俺もなんかごめんな。』
ほろ酔いになった智の目がトロンとしてきた。
『片付けとか明日でいいよ。
ほら、おいで。
一緒に寝るぞ。』
「うん」
『素直じゃん』笑
だってね、こうやってギュッとされるの好きなんだもん。
好きすぎるから気持ちが絡んでしまうんだね。
太陽に照らされて濡れた葉っぱがキラキラと輝いてるのがいいな。
明日は晴れるかな?
晴れたらお出かけしようね。
end。