私たちは週に何度かの夜を一緒に過ごしてる。
別に付き合ってるわけではない。
ちょっとしたことがきっかけで知り合って
お互いひとり暮らしで近所に住んでいることが分かり
仕事帰りにちょっと飲んで帰ったり、
夕飯たくさん作ったからとおすそ分け持って行ったり
面白そうなビデオ借りてきたから一緒に観る?
とか
そんな風に僅かな時間を共に過ごしてる。
きっとお互い好意は持っているんだとは思う、、、
でも、このままの距離感が心地よくて
焦ってこの先を望まなくてもいいんじゃないかって、、、
友達のまま今日に至る。
今日も仕事を終え最寄りの駅で一緒になる
「この前の続き観たいから、今日智ん家行ってもいい?」
『いいよ』
ふにゃっと笑う智の顔はベビーフェイスっていうの?
赤ちゃんみたいにあどけなくて
私はこの顔に弱い。
『クリームシチューが食べたいなぁ』
ふにゃ顔の智がポロリと言葉を落とす。
「じゃあ、作ろっか! 材料持って智ん家行くね」
『マジ! 作ってくれんの? 嬉しい』
あ~、ほら コレ犯罪だから!!
こんな目尻下げて笑顔向けられたら
お姉さんの母性は擽られるなんてもんじゃ済まないよ?
妙にお姉さんぶって 張り切ってしまう。
リクエストに応え、DVD鑑賞の前にキッチンに立った。
もう、ここのキッチンも
我が家同様に使い方は心得てる。
「お待たせー、出来たよ~」
声をかけても返事がない。
あれ?
いつもならお皿とか運んで手伝ってくれるのに、、、
リビングに行くと スヤスヤとソファでうずくまり寝息を立ててた。
「ごめん、待たせちゃったね」
そっと布団を掛けてから
私は ソファを背もたれにしてカーペットの上に座った。