今日から新学期の始まり
5年前、あの人に出会ってから俺の進む道が決まった。
今、あの頃に目指した教壇に立っている
あの人と同じ学校で。
「大野くんどうだった?先生1日目は」
智『緊張の連続でしたよ』
「そう、時期に慣れてくるわよ」
智『南先生、改めてこれからよろしくお願いします』
「やーねー、私にまで緊張しないでよ」笑
緊張するなって言われても緊張するっつぅんだよ。
あ、どちらかと言うと緊張ってかドキドキね!
ドキドキするけど、あなたと話していたいし、あなたの側にいたくて。
俺が高校3年の春、
吹奏楽部の外部コーチとしてOGのあなたが学校へ週2で来るようになって
秋には教育実習生として2週間国語を教えてくれた。
漢字が苦手だった俺は小テストを何回も解かされたっけ。
若くて、たどたどしい授業をしながらも真っ直ぐで一生懸命だったあなたの授業
終わってしまった時は寂しかったな。
そういえば1度バス停で一緒になったことがあって
その時は
「大野くんは進路は決めてるの?」
智『いや、まだ』
「好きなこととか、やりたいことはないのかな?」
智『やりたいことは絵かな、好きなことって言われても・・体動かしてるとかそんなんしかないよ』
「あら意外、絵を描くの?」
『はい』
「どんな絵を描くのかしら?今度見せてね」
笑いかける先生に
どう返事したか覚えていない
なんか先生の顔に見とれてた。
気づいたら
「それじゃまた明日ね」
先生がバスに乗り込もうとしてて
『俺もこのバスです』
って慌てて乗って
笑われたんだっけ。
あの頃にぼんやりと抱いた将来(ゆめ)
あなたと同じ職業もいいんじゃないかってそう思った。