「和！10代ラストイヤーおめでとう」
両親は相変わらず仕事で帰りが遅い。
プレゼントは昨夜現金で貰った。
姉貴だけはそんな俺を気遣ってか毎年ご馳走を作って祝ってくれる。
派手な飾り付けは小学生じゃないんだから正直止めて欲しいけど、それ言うとしょげるからさ、すごいでしょって得意気な姉貴にニッコリしてみせる。
食事が終わると
和も飲む？なんて未成年の俺にワインを勧めてきた。
まだ飲めないよ。
って真面目に返したら
つまんないヤツ。って
１人でグビグビ飲んじゃってさ
すっかり出来上がっちゃって後が大変だよ。
和『ほら姉貴立って』
「ふぁーい」
和『立ってねーよ。座り込んでんじゃん』
「おんぶ」
和『は？』
「おんぶがいい」
和『何甘えてんの！歩けよ』
「皆さーん、聞いてー！可愛い弟の為にご馳走作って頑張ったのにそんな姉に向かって意地悪言う弟がここにいまーーす」
和『あーもう！！大きな声出すなよ。』
「おんぶ」
和『全く世話がやける・・・』
俺の言葉を聞き終わらないうちにへラッと笑って
俺が構えるが早いか背中に飛びついてきた。
和『着いたよ。 ほら降りて』
とりあえずベッドに下ろすと
「和、来年は酒にも付き合え！わかったか！！」
って命令だよ。
酔っ払いは秋の空より目まぐるしく感情がかわる。
和『来年の話ししてるとこ悪いけど俺まだ今年のプレゼントも貰ってねーぞ』
「夕飯ゴージャスバージョンだけじゃダメか・・・・やっぱダメか・・」
あ、なんかこれヤバい感じ？
和『嘘だよ。美味しかったよありがとう』
「何が欲しいの？」
和『メシ作ってくれただろ』
「そうじゃなくて、・・・物選ぶの難しいんだもん。何がいいかとかわかんないんだもん」
あー、あー、今度は泣き出した。
和『何で泣くのよ？』
「悔しい」
和『わかんないのが悔しいの？』
「うん」
和『ホントめんどくさい人だねー。』
ギロッと睨んでまたポロポロ涙をこぼしてる。
和『泣くなって』
俺の肩に頭をつけてグスグスやるから
和『鼻水付けんなよ』
って言ったら
反対の肩を殴られた。
和『キスがいい』
独り言のように呟いてみる。
潤んだままの目が俺の顔をまじまじと見る。
酔ってるせいもあるのか妙に色っぽい。
和『プレゼント、キスが欲しい』
「和、もしかしてまだ経験ないの？」
全くこの人はなんてこと聞いてくるんでしょうね・・しかも真顔で。
和『あるよ。やっぱいい今のナシね』
姉貴が目を閉じた。
えっ？ 嘘だろ？
戸惑ってる俺に
「プレゼントねだったくせにしないの？」
なんて、
厄介な酔っ払いだよ。
どうせ明日の朝には忘れてんだろうな・・・
両肩を掴んで顔を近づけてみる
濡れてる睫毛にドキリとする
そしてそのままゆっくりと姉貴の唇に触れた。