「ねぇ和、あんたさぁ家の中ばっかりなんだからたまには外にでも出かけたらどうなの?」
和『あ~、めんどくせ~』
気のない返事が返ってくる。
「いい若者がこもってばっかりってどうなんだろうね・・・」
私の言葉にチラッと黒目を動かしただけでゲームを続けてる
和『まだ何か用あんの?』
はぁーーー!!!全く可愛げのない。
最初に会った頃から斜に構えた子だったけど今よりはまだ可愛げがあったわよ。
いつからこんなんなったんだっけ?
「和、今度の休みちょっとつきあいなさいよ」
和『また?』
「そ!そのまたよ。」
和『ヤだよ』
「つべこべ言わずにつきあいなさい。今度はちょっと足を延ばして海まで行くんだから」
「ねー!!ちょっと聞いてんの? 空けときなさいよ!わかった??」
和『あぁ~』
相変わらずやる気のない返事。
4つ下の弟、和は18歳の大学1年生。
昔っから家にこもってゲームやら楽器やらいじってるのが好きだった。
夏休みなのにバイトすることもなく家にいるし
時々、友達がいないんじゃないかと心配になったりもする。
免許取りたての私はまだ1人で運転するのが怖くてこの暇を持て余してる和を助手席に乗せ練習につきあわせてるってわけ。
海まで無事に運転出来たらちょっと自信がつくかもしれないな。
そんなワクワク気分でドライブに出かけた。