バイクで足を伸ばすにはピッタリの快晴
 
 
新緑が眩ゆい松原を抜けて
 
小高い丘へやってきた。
 
 
駐車場にバイクを止めると
 
 
『少し歩こうか』
 
 
さり気なく手を差し出した。
 
 
その手に視線を向けた彼女は俺の顔を見てニッコリ笑い手を重ねた。
 
 
なんか 初めてのシチュエーションに照れもあってむず痒い。
 
 
ちょっと冷たい彼女の手をギュッと握って丘の上まで行った。
 
 
眼下には鮮やかなブルーの海が広がってる
 
 
「綺麗~」
 
感嘆の声をあげる彼女。
 
 
「風が気持ちいいねー」
 
両手を伸ばして深呼吸してる
 
 
『ココいいでしょ。 俺のとっときの場所の中の1つ』
 
 
「うん。凄いステキ。
ずっと眺めてたいくらい綺麗だね~」
 
 
 
遮るものもなく照りつける太陽のせいだけじゃない
彼女がキラキラ輝いて眩しかった。
 
 
 
また手を繋いで公園内を歩き出す。
 
 
 
「きゃぁ!」
 
滑りやすくなっていた地面でよろけた彼女をとっさに受け止めた。
 
 
『大丈夫?』
 
 
「ありがとう、大丈夫よ」
 
振り向いた顔が凄く近くてドキッとした
 
 
「智がいなかったら転んでたね」
 
 
離れようとした彼女をグイッと引き寄せた。
 
 
「智?」
 
びっくりした顔で俺を見る
 
 
『やばいな、今すっげーキスしたいと思った』
 
 
 
 
 
あまりに素直にストレートに気持ちを口にする
そんな智が可愛いく思えて
ふざけるように瞳を閉じた。
 
 
 
智の手が肩に掛かり気配が近づく。
 
 
思わず身構えて体に力が入ってしまった。
 
 
だけど硬く身構えた私に触れた唇はとても優しくて
 
 
激しく鼓動する心臓の音を智に聞かれてしまったんじゃないかと恥ずかしくなった。
 
 
そっと目を開けると
 
智と目が合った
 
 
また智の顔が近づいて
 
 
瞳を閉じた。
 
 
 
少し傾きかけた太陽が2人のシルエットを作り 花時計へと伸びて甘く優しい時間を指した。