いつものカフェで
注文をしようとレジの前に立つと
顔馴染みになった店員さんが
 
「あれ?今日は彼氏さんと一緒じゃないんですか?」
 
と笑顔で尋ねてきた。
 
 
そこへ遅れて入ってきた智の姿を見て
 
「すみません早合点してしまいました」
 
と苦笑いしたから
 
私も笑って返した。
 
 
『何?どうしたの?』
 
 
状況が分からない智がキョトンとしてるのを見て
 
また2人で笑った。
 
 
 
オーダーした品を受け取り席に着くと
 
 
『なぁ、さっきの何なんだよ。気になるじゃん』
 
 
また聞いてくるから
 
 
「大した話しじゃないのよ」
 
と前置きをしてから、さっきの出来事を話した。
 
 
「私達ってカップルに見えるのかな?」
 
 
『考えてみたことねーけど、そんな風に思われてんのかもな』
 
 
「ふ~ん、そっか。そんな風に見えるんだね」
 
 
 
彼女はいつもと同じようににこやかに俺の話しを聞いている。
彼女もこの一週間にあったこととかを話し、俺はそれに相槌を打つ。
 
 
カップルだと勘違いされてるって聞いて
全く嫌な気がしない自分がいることに気がついた。
 
 
それよりもむしろ内心嬉しく思った。
 
 
俺彼女のこと好きなのかな?
 
 
一週間に1度のこの時間が当たり前のようにあって、
それを特別意識したことはなかったけど
この時間がもしなくなったらと想像してみたら
それはもう失えないなと思った。
 
 
彼女はどうなんだろうか?
 
少なくとも、今この時間は楽しんでくれてると思うけど。
 
 
この時間がなくなっても支障はないのかな?
 
 
 
いつものようにバイクにまたがり彼女が背中にピタリとひっついて腕をまわす。
 
 
急に彼女から伝わる体温とかいろいろ意識して
 
背中から体が熱くなり総動員された神経が五月蠅かった。