彼女との会話は初めてなのに心地良くてすぐに打ち解けた。
趣味や仕事の話し、TVからニュースのことまでいろんな話しをした。
取り立てて美人ではないけれど、
好感を持てる愛らしさがある彼女は雨の日の儚げな姿とはまるで別人。
彼女の明るく笑う声と笑顔が
時間を忘れさせ 話しが尽きることはなかった。
『うわ!もうこんな時間だよ。長居しすぎたね、ごめん。』
彼女が時計を見る。
「ホントだわ。私達随分長く喋ってたのね(笑)」
『帰りはバス?』
「えぇ。」
『こんな時間になっちゃったし、よかったら家まで送ろうか?』
「今日はお礼だったのに、送ってもらったらまたお礼しなくちゃいけないわ」
『そっか(笑) じゃあ来週またここでコーヒーを奢ってもらおっかな』
冗談半分で言ったら
「いいわねぇ。じゃあ送って貰っちゃおうかな」
って彼女がニッコリ笑った。
ヘルメットを取り出し
『今日は君がパンツスタイルでよかったよ』
そう言って手渡した。
「私、バイク初めてなの・・大丈夫かしら」
『初めてなんだ。大丈夫だよ、しっかり捕まっててね』
彼女を乗せたバイクがエンジンを吹かした。
翌週、彼女とまた角のカフェで会った。
但し、今度は割り勘で。
それから毎週木曜日は彼女とカフェに行き、バイクで送っていくのが定番になった。