ところが、出発の前の日になって、XYLが体調を崩す。
 先日の大雪の際に、勤務先でカンヅメになったのだが、その時一緒だった同僚が新型コロナウイルス感染症に罹患したことが発覚。どうもそれが感染したのではないか、と疑われた。

 1年半前に長女が、高校の部活(吹奏楽部)の合宿の際の「クラスター」で感染したが、その時は帰宅時の「濃厚接触者」段階で家庭内隔離を行い、筆者は「貰った」ようだが発熱がなかったために診察すらしてもらえず「疑い」止まりで終わり、他の家族は無事だった(自宅レイアウト等の関係で、こうなることは予想していた)。
 その後、長女は昨年の修学旅行でもインフルエンザを貰って来たが(これはXYLと長男にも感染したが、筆者は発症せず……気付いてないだけ説が有力)、それとは別に筆者と長男が一昨年の暮れにインフルエンザに罹患している(長男はこれがインフルエンザ・デビューだが、この免疫があったのか長女から感染した際にはかなり軽症)。
 いずれにしても、既に新型コロナウイルス感染症の「免疫」は残っていないだろうが、病院に行ったところで対症療法の薬が処方されるだけとわかっている。

 インフルエンザであれば、オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)、ラニナミビル(イナビル)などの抗インフルエンザ薬が処方されることが多い(筆者は何故か普通の所謂「風邪薬」しか貰えなかった)が、新型コロナウイルス感染症の場合にエンシトレルビル(ゾコーバ)やモルヌピラビル(ラゲブリオ)などが処方されることは稀で、症状に応じてアセトアミノフェン(カロナール)やトラネキサム酸(トランサミン)、カルボシステイン(ムコダイン)などが出るだけだ。
 この手の薬なら、市販薬にも配合されている商品が存在するから、体が辛いのに病院に行って数千円もする検査を受けて長時間待たされても「この薬しか出ないの?」になってしまうから、筆者はもう、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の自覚症状があっても、馬鹿馬鹿しいので検査はしないことに決めている。自己責任ではあるが、市販薬の量を自分で調整するほうが手っ取り早い(完全に「お医者さんごっこ」なので、良い子は真似をしないように)。
 XYLも、わざわざ医療機関に行くのは面倒(昨年のインフルエンザで懲りたらしい)だというので、自宅にあった適当な薬を見繕って「これとこれは、このくらいなら飲んでも大丈夫」などと伝えてはおいた。最早完全に「ニセ薬剤師」である。

 症状としては喉の痛みと発熱くらいで、それぞれトラネキサム酸とアセトアミノフェンでコントロールできそう。
 発熱はそれほど酷くなく、全く動けない訳ではないので、変に自宅に留まって感染を拡げるよりは、と、予定どおり出発することにした。
 自宅では、XYLと長女の部屋同士がかなり離れているので、そこでの感染のリスクは低く、三連休の間、長女が自宅にいるなら、まあ大抵のことは心配いらないだろう。

 結果的に、今回は誰にも感染することなく終わった。
 いや、単に気付いていないだけ、という可能性がないでもない。
 特に筆者は、インフルエンザでも37℃に届かないことが少なくないので、気付かないうちに他人に感染(ステルス感染?)させてしまう「歩くバイオテロ体質」だったりする。

 正直なところ、この時期だと所謂「花粉症」の症状による鼻水が原因で喉をやられやすくなるため、ウイルス感染性の症状との見極めが難しくなるのだが、喉の保護の(一定の湿度を保つ)ためもあって、車中などではマスクを着用してやり過ごすことにした。

 なお最終的に、三連休の間にXYLの容態が悪化することはなかったが、最終日は渋滞の発生も考慮して、なるべく早目に引き上げることにした。