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唯称寺

橋波西之町3丁目

木版画同好会「ばれんの会」

熊谷寿子

 

東本願寺大谷派で、本尊阿弥陀如来像は室町末期あるいは江戸時代初期の彫像と思われ、市内の真宗寺院の中では早い時代の木造仏を安置したとされ、現本堂の建立については、寛政7年(1795年)寄進の喚鐘(かんしょう)のことを記した木札があることから、この時期をあまりさかのほらない建立と思われる。

 

真宗寺院は、高僧によって建立されたということは、あまりなく、村の惣道場として発足し、お百姓たちの寄り合いの場であったり、儀式執行の場所から寺院化していった経過があり、今日に至るまで門徒衆によって護持されてきました。お寺参りの人々には、お喋りの場であり、家から一時解放される憩いの空間ではないでしょうか。おもしろおかしく、あるいは、涙して我が身を振り返って説法を聴きに集まられております。「守口市文化財調査報告書」によると、創建は、寛文5年(1665年)、唯称寺の寺号は、明和2年(1765年)に許され、現在の本堂は、喚鐘の記録や建築技法から、明和1764~72年)の頃の建立で200年以上経っております。また、150年程前の住職、恵明さんが、藁葺の屋根を瓦葺きにしたり、天井や内陣廻りを現状のように改修されました。門信徒と共に、唯称寺と仏法を守ってゆきたいものです。

小松仁

(橋波西之町3丁目)

転載:守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』
作成:守口市木版画同好会ばれんの会1998年
テキスト入力:元市民憲章副会長 はまがみ