守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』
木版画提供:守口市木版画同好会『ばれんの会』1998年

転載:守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』

 

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大久保町

大久保町2丁目

木版画同好会「ばれんの会」

田中靖治

 

昔は、一面田圃と畑で、生駒山の頂上からすそ野までや、夜になると京阪電車の灯かりが見え、冬には片町線(現学研都市線)の汽車の汽笛が聞こえたりした。田圃は、絶好の遊び場であった。

 

春はれんげ・菜の花が咲き、蝶々が飛び回ります。れんげ畑にゴザを敷き、近所の友達と一緒にお弁当を食べるのが楽しみでした。田植え前になると、水路の掃除を村人総出で行います。小鮒・モロコ・ザリガニがバケツー杯取れます。田植えの季節には水路に水が流れます。笹舟と木切れのどちらが早いかレースをし、流体力学の勉強をしました。夏には蓮根畑に蓮根の花が咲きます。蓮根の花が散ると蓮根の実(ばんちょ)を採って食べます。ほんのり甘くおいしいのですが、とうが立つと苦くて食べれません。秋は稲の刈り取りが終わると大きなグランドが出現します。ここで野球やサッカーをするのですが、切り株につまづいたり、ボールがあっちこっちに跳ねたり、これがなかなか面白い。晩秋になると、籾殻をあちらこちらで燃やします。この中でサツマイモを焼くと、最高の味。冬になると、わらを円筒状に積み上げた『じんどう』が4本集まった空間は最高の秘密基地になります。この中で自分が『地球防衛隊長』になった気分で、色々空想したり、木切れを持ち込んで自分の部屋を作り悦に入っていました。泥だらけになって遊んだ田圃も昭和40年頃からの宅地造成で激減し、現在は住宅地の間に田圃が点在するようになり、子供達が遊ぶ姿も見られなくなり、時代の変遷を感じます。

砂原廣治

(大久保町2丁目)

転載:守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』