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十三夜坂

桜町

木版画同好会「ばれんの会」

岩見正行

 

本町は、またの名を堤ノ町と呼び、ロータリーの陸橋(本町橋:昭和11年の区画整理により架けられた)をくぐり、本町の桜通商店街から文禄堤に抜ける坂道。別名を月見坂とロマンチックに呼ばれた。陸橋のところに「船頭ヶ浜」という数軒の船頭の家があり、淀川筋の「船着場」であった。

 

守口市本町に生まれて、50年余りたちましたが、旧市街地の変りようには、ただ驚くばかりです。本町筋には、中島家や、魚満桜などの料亭があり、昔の町家が歴史の古さを思わす風景が瞼(まぶた)の奥に残っております。守口大根も発祥の地でありながら、今は安城市で栽培されています。私の小さい頃、旧市民会館前に農業用水があり、6月頃にはホタルが飛んでいましたし、鮒や鯉などの魚もよく取れ、今は少ないギンヤンマもよく追いかけたものです。本町通りは、地道でアスファルト舗装をしておらず、夕方、水をまけば涼しい風がすだれを通して家の中に吹き込んで来た想い出が今でも脳裏に焼き付いております。私の家の前は、坂道になっており、月見坂と呼ばれれています。昔はこの坂から大阪湾に浮かぶ月を見ることができたので、月見坂と名付けられたと父より聞かされました。現代風に変化するのは世の流れかも知れませんが、何でも近代化するのはどうかと思います。

岡崎喜昭

(本町2丁目)

転載:守口守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』
作成:守口市木版画同好会ばれんの会1998年
テキスト入力:元市民憲章副会長 はまがみ