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梵鐘

竜田通1丁目

木版画同好会「ばれんの会」

清田義雄

 

竜田通にある難宗寺の梵鐘で、この難宗寺は文明9年(1477年)、蓮如上人が建てた守口坊が始まりと言われている。境内には大阪府指定天然記念物の樹齢約500年の大銀杏(おおいちょう)があり、昔、このあたり周辺は本陣や問屋場があり、守口宿の中心地であった。

 

私がまだ小さい頃、12月31日だけは夜遅くまで起きていても親に叱られませんでした。「紅白歌合戦」を見て「ゆく年くる年」が始まると、家族全員で家から50メートルほどしか離れていない難宗寺に除夜の鐘をつきに行きました。

近所の人達もぞろぞろと集まり、おしゃべりをしながら梵錯の回りに並びます。

大人の人達と同じように大きな音を出したいと、毎年カー杯鐘をつきました。弟よりは大きな音が出ますが、父のように大きな音が出ず、来年こそはもっと大きな音を出してやるぞというようなことを考えていたことを思い出します。

昔はとても大きく感じていた梵鐘ですが、今見るとそんなに大きく感じないのは、私が大人になった証でしょう。今は仕事の関係で九州にいますが、小さい頃の様々な思い出の一杯つまった守口市が、やっぱり私の心安らぐふるさとです。

山村謙

(竜田通1丁目)

転載:守口守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』
作成:守口市木版画同好会ばれんの会1998年
テキスト入力:元市民憲章副会長 はまがみ