最近バーに行くとハイボールを注文するお客さんが増えたとよく聞く
ははぁん
CM の影響力とはすごいとつくづく感じる
でも
ハイボールのウィスキーは何にしますか?
と尋ねるとお客さんは
う”ん~
何でもいいです
と言ってきてお店の人も困ってしまうとか
活字にするとこの微妙な掛け合いが伝わりにくいんだけど
小説風に書くとこんな感じ
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義男(仮名)は独身貴族
と言っても全く女っけもなくタバコとコンビニ弁当のゴミの匂いが充満する安アパートに住んでいる
仕事は可も無く不可もなくこなしていた
逆に言うとこれといった手柄も無いといった方が適切な表現だった
その義男が職場のマドンナ的存在の麻里絵(仮名)に恋心を持った
自分に無い華やかさがありテキパキと仕事をこなす麻里絵が眩しかった
当然義男は片思いのまま
絶対に自分にはつりあわない存在だと思っていた
そんなある休日義男は街に出た
目的は義男が好きな歴史書探しだった
父の影響か小さな頃から義男は時間があると図書館で歴史文学を読み漁っていた
義男はお目当ての歴史書を入手出来たことに浮かれて書店を出た
本を探すのに夢中で外に出ると日が暮れていた
はぁ今日もコンビニ弁当かぁ
と哀愁が入り混じった小さなため息をついた
そんな時、通りのベンチで暇をもて遊んでいる麻里絵が目に入った
眩しかった
心が躍った
勇気
俺にはそれが必要だ
義男はそう自分の心に誓った
今まで感じたことが無い勇気がふつふつと沸いてくるのを感じた
手にはびっしょりと汗をかいていた
行けという心と
止めとけという心が戦う
むぅ~
もうやけくそだ!
頭が真っ白になりながら麻里絵に声をかける
はっと少し驚いた表情の麻里絵だったが、やけくその義男にはもうどうでもよかった
どぎまぎしながら話を進める義男
すると麻里絵から眩しい笑顔が顔をのぞかせる
やりぃ
やっぱり麻里絵は可愛い
今日の義男は違った
近くのチェーン店居酒屋に麻里絵を誘うと
良いよっ
と可愛い返事が返ってきた
義男は何を話したか覚えていないほど有頂天だった
少し酔った二人は居酒屋を出る
まだ話をしたい
義男は通りを歩きながら分厚い扉のバーに誘う
ぼんやり光を放つ看板
何て読むのかもわからなかった
当然そんな店には行ったことがない
おっしゃ
ここはいっちょ格好つけよう!と背伸びをしたのが間違いだった
カウンターだけのお店
綺麗にライトアップされたウィスキーのボトルが並ぶ
やべえ
ウィスキーなんて学生時代に飲んだ安ウィスキーしか知らない
そんな時サントリー角瓶のコマーシャルが頭に浮かんだ
こっこれだ!
マスターに義男が出せるとびっきり低い声でこう言った
ハイボールを
そう義男が言ったか言わないかのタイミングでマスターがこう聞き返す
ウィスキーは何にしましょうか?
ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・
一気に酔いが回って意識が無くなる義男だった
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俺が言いたかったのは気取りたい時もあると思う
それは全く否定しない
でもね知らないことは知らないと言う勇気が必要だって事
かっこつけても酒のプロには通用しない
逆に身をゆだねるくらいの感覚で飛び込んだらきっとわかってくれると思う
だってプロなんだもん
そぅ
義男は有頂天だった
きっといつもの義男だったらこう言っていたと思う
ハイボールにはどんなウィスキーが合いますか?ってね