No.3-17 ぎりぎりいっぱいのつま先立ち生活
初仕事を終えた私は、数ヶ月後に退職の決まっていた先輩スタッフの後任担当者として、某大手企業の社内報、を担当することに。
実際の作業とは別に、1年を通しての企画やスケジュール的なこと、編集や進行管理の部分においての一連の流れ、そして、いわゆる一流企業と仕事をするための意識を、このとき一から学んだように思います。
ほぼゼロの状態に等しかった私は、ひとつひとつの仕事に無我夢中で取り組まなければ、スタート地点にも立てないような状態。余裕なんて、どこにもありませんでした。
“がむしゃら”って言葉を体現しているような、そんな日々だった。
周りは、恐ろしく仕事のできる人たちばかり。
それでも同じところに立ちたくて…負けないように仕事がしたくて……150の力を使って、毎日を過ごしていたような気がします。
触ったことのなかったフォトショップやクォークも、独学で覚えた。覚えなきゃ、仕事ができなかったから。
どこに行くにしても、周りに目を凝らし、ネタになりそうなことがあればメモしてきた。そうやって意識を高めてかなきゃ、置いてかれるような気がしたから。
いつもいつも、いっぱいいっぱいのところに、立っていました。
ぎりぎりまでつま先立ちをして立ってる、みたいな毎日。でも、そうやって立ってなきゃ、あそこにはいられなかった。
そして、最初に感じていた恐怖は、思った通り、現実のものとなりました。
特別な事件があったわけではないけれど、他愛ない日常のなかで感じた厳しい現実に、私のなかにあった“根拠はないけど揺らぐことのない自信”は、打ち砕かれました。ことごとく。こっぱみじんこに。
入社して1ヶ月余、私はとっくに限界を超えてしまっていました。
自分の決めた限界なんて、あってないようなもの。一度超えてしまうと、不思議なものでどんどんそのキャパを広げていってくれる。
今ならそう思えるのですが、余裕のよの字もなかったそのころは、目まぐるしいスピードで、自分の限界値が高くなっていることに、気づくことなんて、到底できなかった。毎日アップアップ、ただしんどいだけ、でしかなかったから。