No.3-16 嬉しさの分だけの不安
初日に感じた、“しぼんでいく期待”は、不安の象徴でした。
本屋さんに並んでる耳慣れた雑誌、大手企業やアミューズメントパークの社内報、大学・専門学校・旅館のパンフ、旅行会社の会員誌など、多様な仕事を多数抱えていたこの会社は、今までの環境では出会ったことのない、独特の空気と目をした人たちの集まり、でした。
穏やかな佇まいからは想像がつかないほど、それぞれの意識とレベルは高く、挑戦や冒険のなかで、仕事に取り組んでいように、私の目には映りました。飄々と、踊るように。
ひとつのチームとしての統一感と、強烈なまでの光を放つ個々の個性。それは、入社したその日のうちに、私の細胞に染み込んでしまうほど、でした。
半端なく仕事のできる、スーパースペシャリスト集団。そこにいられることは、この仕事を目指してきた者として、ひどく誇らしかった。
でも、同じだけ、怖いと感じてもいたのです。それだけの力を自分が持っていないことを、誰より一番わかっていたから。
期待と怖さの狭間で、私は、初仕事となる日経新聞のコラム原稿を書きました。今思えば、これは、私のレベルをはかるためのテスト、だったような気がします。
数日後、日経新聞に掲載されると同時に賞賛を浴びたその原稿は、例に漏れず、外出記入ボード横、他スタッフの掲載紙の切り抜きの上にクリップ止めされました。
“それ”は、このクリエイティブ集団への入団許可証のようで、嬉しかった。
でも…認められた、ということが表す現実に、鮮明になっていく恐怖。その根因は、たったひとつ。
自分を支えてきた自信が、いずれ打ち砕かれるかもしれない……。