No.3-13 もっと、自分の可能性を試してみたい
私が勤めていた編集プロダクションというのは、とてもアナログな仕事の仕方をしていて…
原稿は所定の原稿用紙に手書きで書き、FAXと電話で校正のやり取りをして、写真は紙焼きでもらい、編集長以外は一切パソコンは使わない。そんな職場環境。
そこに違和感さえ感じないほど、入社当時は舞い上がっていた模様…。
でも、仕事を覚え、経験を積み、色んなことがわかってくるごとに、違和感が増していきました。大学の授業でさえパソコンやDTPを使っていたのに…と。
そのやり方に対してもそうだけど、ひとつのフリーペーパーだけを作っていたため、毎月毎日変わらない仕事内容に、何とも言えぬ物足りなさを感じるようになっていきました。
新しいことに何ひとつ挑戦できないことも、仕事が色褪せていった理由のひとつ。
でも、未経験の人間を雇ってくれることの少ない業界で、何の経験もスキルもない、無駄に自信だけに溢れた私を採用し、基本を教えてくれた会社に対して、深い感謝がありました。
だから、辞めることを決断するのは、正直難しかったし、心が痛みました。
それでもやっぱり消えない、想い、があったのです。
もっとレベルの高い仕事がしたい。
本当の編集の現場で働いてみたい。
もっともっと、色んなことをしてみたい。
自分の「書く」がどれくらい通用するのか、その可能性を試してみたい。
日に日に大きくなるその感情は、ついには私自身を追い越していきました。
それを感じた日の夜、退職の意を編集長に伝え、その意志が決して変わらないことを理解していただいたのです。
入社2年目を終えるころ、新たな目標を胸に、私がこの世界で第一歩を踏み出すきっかけをくれた会社をあとにしました。