令和4年3月8日(火)

 

こんにちは!

 

立山アルペンルートの最後に、黒部ダムという巨大なダムに着いた。

頑強なコンクリートの壁が渓谷聳えてる! 反対側には広大な湖が広がっている。

湖の水をダムが塞き止めて、放水量を調整しているらしい。

しかしダムの上は巨大な橋のような道路になっていて、観光客の多くが行き来している。

そして近くには食堂やお土産店などがあって、観光するには充分だった。

 

   

「でかいね……」 

「うん」

風になびく黒髪のサユリは幅の広い道路、湖、渓谷の方を物珍しい表情でキョロキョロ

していた。  

これも初めての事だろう。 連れてきて良かった。 ちょうど日が傾いていて、やや橙に

なろうとしている。 ……立山の方で色々あったからなぁ。 随分遅れた。

 

「近くの宿へ泊まろうか?」

「ん、いいわね。 それ」

サユリも笑顔で賛成だ。

オレもウキウキだ! こうして何のいもなくただの観光旅行しているのだから。

お土産店を回ったり、喫茶店でパフェ食べたり、場所変えて景色を眺めたり、そして気が

済んだらバスに乗って降りていった。

付近の宿へ行って、泊まれそうなので泊まることになった。

 

 

大きなホテルで、浴場も広い景色が見渡せるものだった。

竹の柵で囲み、木の屋根があるが景色を見渡せる広い隙間があった。

そして岩で囲んだ温泉。湯気が立ち上っていて周囲のランダム的岩のタイルは濡れて

いて鏡のようだ。

 

「露天風呂なのね……」

「ああ」

オレはドキドキしながら、バスタオルを巻いたサユリの接近を待った。

彼女はゆっくりと湯に浸かり、オレの側まで来ると頬を赤く染めて微笑んでくれた。

艶っぽい肌と美人顔を見ると心音が高鳴った。 ……まるで初めてのようだ。

 

一緒に入った事はなくもなかったけれど、あん時は色々あって余裕がなかったからに

違いない。 こうしていもなく、混浴で共に浸かるのは新鮮な気がした。

 

チューブトップみたいに胴をバスタオルで巻いているものの、胸元の谷間が目に入り

ドキッとさせられる。 思わず顔を背ける。

 

「どうしたの? 赤いわよ?」

「……、もうごまかす事は言わない、すごく色っぽくて綺麗だなって………」

「もう!」

オレの頭に軽くチョップが入った。 ぺしん。 優しい……。

 

そう、普段のように「なんでもない」とか、ひねくれて「全然可愛くない」とか、ごまかす

ような事はもう必要ない。

 

誤解されるような事もなるべくしたくない。 

サユリだからこそ正直にありたいと思ってる。 サユリ以外には言わないぞよ。

 

これがリョーコやエレナ辺りだったら「なんでもねぇ!」 「おい近いぞ。 離れてくれ」とか

言って距離を取る。

あいつらも美人だしリョーコは胸大きいし、エレナちゃんは可愛いロリで積極的だし、魅力

満載なんだけどね。

 

 だが浮気はせぬ! 許せ!

 

「……ありがとうね」

肩にそっとサユリの艶かしい手が触れてきて、オレは振り向く。 頬を赤らめて優しい

笑顔のヤマミ。

 

「ん、いや。 サユリと一緒に楽しもうって思ってたからな」

「ふふ」

目を細めて笑ってくる。 やばい可愛い。 抱きしめたいくらい可愛い。

 

「長かったな。 ここまで来るのにさ…………」

オレは薄暗くなっていく風景を見やって、遠い目をする。

 

サユリの手がオレの手の指の間に絡みつくように組み合っていく。

しばし裸に近しい姿でオレたちは寄り添った。温かいぬくもりで心が癒される。

 

 

すっかり夜になった頃、オレたちは晩飯を済ませて部屋に戻って、テレビを見て談笑

したりした。

何故かサユリが持ってきたゲーム機で寝る時間まで二人で熱中したりもした。

下らない事で笑ったり騒いだり駄弁たり、それだけでオレたちは充実感を身に染みて

感じ取れた。

 

布団を敷き、部屋の灯りを消すと共に二人並んで寝転がって、互い顔を見合わせる。

しばしける気分のまま、眠気が押し寄せてくる。

「おやすみ」

「おやすみ」

安堵したまま、意識は闇へ沈んでいった…………。

 

 

朝の眩しい光が差し込んできて、オレは目を覚ますとサユリの顔が接近していてドキッとした。 

体が密着していて柔らかい弾力がぷにっと感じられて更にドキッと!

「ん……」

オレは慌てそうな気持ちに関わらず動けなかったが、サユリは目を擦って「おはよう……」

と身を起こしていく。

それに続くようにオレも身を起こす。

 

「お、おはよう……」

「ごめん。心細かったから…………」

「いや、いいよ」

なんだサユリの方から密着してきてたのか。

前も似たような事はあったけど、今こうして見ると初めてにさえ思えてしまう。

 

「オレの家では並んでただけなのにね」

「親の手前、そういうワケにはいかないでしょ」

 

口をめたサユリは立ち上がって手洗いへ向かっていった。オレは呆然とした。

うーん、下心持ってたらサユリとあんな事やこんな事してたのかな……?

悶々とする妄想が浮かんできてナニカが硬くなっていくのを感じ、慌てて股の方を

手で押さえてしまう。

でも密着してた時に胸の弾力が今でも忘れられない。 柔らかかったなぁ。

温かくて柔らかくて……甘美的な…………おっぱい……。

「えーい! 静まれ静まれ! オレの荒ぶる力よ!」

 

「何言ってるの?」

戻ってきたサユリはキョトンと首傾げ。

一緒に歯磨きして、食堂で朝飯のバイキングを済ませて、宿を出た。

 

スッキリ朝日で眩しい青空。

オレは「うーん」と腕を伸ばして背伸び。 サユリは「ふふっ」と微笑みかけてくれる。

 

何を思ったかサユリが近付いてきて腕を組んで「行きましょ!」と積極的に催促してくる。

不覚にもドキッとさせられて顔が熱くなるのを感じた。

ぷにっと感触も忘れずで、オレのドキドキは相変わらずだ。

でも、これからずっと共に歩んでいける。

 

「ああ! 一緒に行こう!」

オレとサユリは晴れ晴れとした気持ちで、宿を後にした……。

 

それではまた!

自称 アルピニスト より