

今回は、エックス線作業主任者試験の解説で『エックス線管から発生するエックス線の発生効率』についてです。
それに関する問題で、次のような選択肢が出題されます。
「ターゲットに衝突した電子のエネルギーの20~30%がエックス線として放射され、残りは熱となる。」
この選択肢は、誤っている記述です。
この記述は、エックス線管から放射されるエックス線の発生効率について問うものです。
それでは、選択肢のどこが誤っているのか、順番に見ていきましょう。
選択肢にあるターゲットとは、エックス線を発生させる金属板のことをいいます。
ターゲットに、フィラメントという金属線から発生した熱電子がぶつかると、熱電子のエネルギーが変換され、エックス線が発生します。
ただし、ターゲットにぶつかった熱電子のエネルギーすべてが、エックス線を発生させるために使われるわけではありません。
熱電子の全エネルギーのうち、エックス線を発生させるために使われるエネルギーの割合を「発生効率」といいます。
実際の発生効率は、1~3%程度です。
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
(これメッチャ重要です!)
例えば、同じエネルギーを持った100個の熱電子がターゲットにぶつかったとしても、わずか1~3個しかエックス線の発生に使われないということです。
その他は、全て熱に変わります。
ですから、エックス線を発生させる際、ターゲットは非常に高温になります。
そのためターゲットには、高温に耐えられるタングステンなどの元素が用いられています。
また、発生効率は、管電圧と、ターゲット元素の原子番号の積(掛け算)に比例することが知られています。
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
(これメッチャ重要です!)
つまり、管電圧やターゲット元素の原子番号を大きくすれば、エックス線の発生効率も大きくなるのです。
ただし、発生効率は、永遠と大きくなるわけではありません。
ある程度大きくなると限界に達します。
ここで、今回の選択肢に戻りましょう。
すると、「ターゲットに衝突した電子のエネルギーの20~30%がエックス線として放射され、残りは熱となる。」という選択肢は、誤っていることがわかります。
エックス線の発生効率は、1~3%程度でした。
したがって、「ターゲットに衝突した電子のエネルギーの1~3%程度がエックス線として放射され、残りは熱となる。」という選択肢であれば、正しいことがわかります。
エックス線管から放射されるエックス線の発生効率に関することは大切です。
覚えておきましょう。
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●【目次】[X線]関係法令
●【目次】[X線]エックス線の測定
●【目次】[X線]エックス線の生体
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