エックス線管(X線管)のフィラメントとターゲットに使用する元素 | 衛生管理者・エックス線作業主任者・危険物取扱者の合格率約90%の試験対策ブログ

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今回は、エックス線作業主任者試験の解説で『エックス線管(X線管)のフィラメントとターゲットに使用する元素』についてです。


それに関する問題では、次のような選択肢が出題されます。


「エックス線管の陰極のフィラメントには、融点が高く抵抗の小さいタングステンが用いられ、陽極のターゲットには、熱伝導の良い銅が用いられる。」


この選択肢は、誤っている記述です。


この記述は、フィラメントと、ターゲットの素材について問うものです。


では、選択肢の前半部分を(1)とし、後半部分を(2)として考えてみましょう。


(1)陰極のフィラメントには、「融点が高く」「抵抗の小さい」タングステンを用いる。


(2)陽極のターゲットには、「熱伝導の良い銅」を用いる。


まず、(1)フィラメントの金属について、見ていきましょう。


フィラメントは、タングステンという素材でできています。


あまり聞きなれない金属の名前ですが、用途は様々です。


非常に硬い金属なので、工具に使われたり、ボールペンのペン先、意外なところでは、陸上競技のハンマー投げのハンマーに使われたりもします。


では、ここでタングステンの3つの特徴を見ていきましょう。


(イ)「高融点である」
融点とは固体が溶けて液体になる温度のことです。
タングステンの融点は、約3400℃です。
ちなみに鉄の融点は、1500℃です。
タングステンは、高温でも溶けにくい素材なのです。


(ロ)「抵抗が大きい」
抵抗とは、正確には電気抵抗と言います。
電気の流れやすさを表すもので、抵抗が大きければ電気は流れにくいのです。
抵抗が大きい方が、たくさんの熱電子が発生します。


(ハ)「原子番号が大きい」
自然界には約90種類の元素が存在しますが、元素の周期表でいうとタングステンは74番目の元素です。
この数字が大きいほど、基本的に重い素材だと言えます。
ちなみに鉄は、26番目の元素です。


(イ)と(ロ)の記述からわかるように、タングステンは、高融点で抵抗が大きいことが特徴です。
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(これメッチャ重要です!)


ですから(1)の記述は、「融点が高く」「抵抗の小さい」ではなく、
「融点が高く」「抵抗の大きい」が正しい記述になります。


フィラメントには大電流が流れ、超高温になるため、フィラメントに用いる素材の融点は、高くなければなりません。
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(これメッチャ重要です!)


次に、(2)ターゲットの金属について見ていきましょう。


ターゲットの素材は、フィラメントと同じくタングステンでできています。


他にも、モリブデンという金属が使われることがあります。


やはりターゲットも、熱電子の衝突により超高温になるため、融点が高く、溶けにくいことが大前提となります。
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(これメッチャ重要です!)


ですから、(2)の記述は、「熱伝導が良い銅」より、「高融点のタングステンなど」とした方が適切です。
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(これメッチャ重要です!)


では、銅は用いられないのかというと、そんな事はありません。


エックス線装置にかける電圧が低いものであれば、ターゲットに銅が使われることはありますが、熱伝導が良いことが絶対条件ではない事に注意してください。


では、ここで今回の話のポイントをまとめましょう。


次のポイントは、覚えておいて損はないと思います。


《1》フィラメント、ターゲットともに高温になるので、高融点の素材を用いることは絶対条件です。


《2》フィラメントの素材には、タングステンを用い、ターゲットの素材には、タングステン、モリブデン、銅などを用います。


《3》タングステンの特徴は、高融点、高抵抗、原子番号が大きいことです。


ここで、今回の選択肢に戻りましょう。


すると、「エックス線管の陰極のフィラメントには、融点が高く抵抗の小さいタングステンが用いられ、陽極のターゲットには、熱伝導の良い銅が用いられる。」という選択肢は、誤っていることがわかります。


タングステンは、高融点、高抵抗の素材でした。


また、ターゲットにも、高融点の素材が用いられました。


従って、「エックス線管の陰極のフィラメントには、融点が高く抵抗の大きいタングステンが用いられ、陽極のターゲットには、高融点のタングステンなどが用いられる。」という選択肢であれば、正しいことがわかります。


フィラメントと、ターゲットの素材に関することは大切です。


覚えておきましょう。


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