>前残り【まえのこり】
>レースを先導する逃げ馬や先行馬が自分にとって有利なペース(主にスローペース)に持ち込むことが出来て、後続の追随を許さずにそのままゴールしてしまうこと。

>開催の最後になって馬場が荒れてくると最後の切れ味が鈍ってくるため、前残りの競馬になりやすくなる。

>【用例】逃げ馬を楽に逃がしすぎて前残りの競馬になってしまった。

競馬辞典より引用。


競馬をやっていて、「前残り」という言葉をよく聞く。3月の金鯱賞(GⅡ)では単勝オッズ1.4倍デアリングタクトを差しおいて、単勝オッズ227.3倍(最下位)のギベオンが逃げ切って勝利した。レース後に散々「前残り」と言われていたが、一つの疑問が生じる。なぜギベオン以外の先行馬は前残りしなかったのか

結果を詳しく見てみると、2番手のジナンボー(9番人に)は9着、3番手のブラヴァス(4番人気)は10着、3番手のグローリーヴェイズ(2番人気)は4着に敗れた。3着に滑り込んだのは、4番手のデアリングタクトのすぐ後ろを追走していたポタジェ(6番人気)だった。

このように、金鯱賞は1着こそ逃げ馬だったが、2・3着は差し馬だった。つまり、「前残りが発生しやすい展開だったからギベオンが勝った」というわけではないと言える。


【馬連で前残りを検証】

金鯱賞はほんの一例にすぎず、他のレースなら前残りが発生しているかもしれない。


前走から脚質を判断し、逃げ・先行馬同士で馬連を買った場合、回収率がどうなるのか見てみよう。本当に前残りが発生しているのであれば、普通に馬連を買うより回収率が高くなるはずだ。


対象は2015〜2020年の出走頭数15頭以上の障害・ダート・1200m以外の重賞レース。前走から脚質を判断する方法を以下の記事を参照。



まずは、私がよく買う馬連①②③-⑤⑥⑦⑧の回収率は90.9%である。


この組み合わせのうち、脚質が「逃げ」「先行」の馬同士の馬連のみを買った場合、回収率はなんと・・・


62.7%!



つまり、1・2着がどちらも逃げ・先行馬のパターンは少ないということになる。前残りなんてものはないんじゃないだろうか。



【差し馬同士の馬連なら?】

「前残り」と逆の言葉として「外差し」というのもある。これは直線コースで外側を走る差し馬が伸びることを表している。今度は差し馬同士の馬連も検証してみよう。


先程の要領で、脚質が「差し先団」「差し後方」「追込」の馬同士の馬連のみを購入した場合、回収率は・・・



80.2%!



うーん、低い。つまり、1・2着が差し馬同士というパターンも多くはないことなる。


つまり、答えは一つ。「逃げ・先行」と「差し先団・差し後方・追込」が1頭ずつの馬連の回収率は104.1%であり、このパターンが最も多いのだ。



したがって、競馬において前残りや外差しなんてものは存在しない。以上。