ガン病棟に来れば なんとかしてくれる方法を見つけてくれるかも知れない。
そんな思いで 通院。

治療方法として 5つ示された。
彼の状態から・・・
第1不可 第2不可 第3不可 絶望感に襲われる。
第4に挙げられたのが 肝動脈塞栓術
これも 五分五分という。
第5は可能だが副作用に悩まされるから今はお勧めではないとの事。

本当は 外科手術で取り除いてほしかった。
癌細胞が 門脈まで侵入していて危険な手術。
手術したため寿命を縮める可能性がある、とか。 
『勝負できなかった。5分5分にかけてみようか・・・』

7月1日肝動脈塞栓術しました。
術後は痛みが激しく 痛み止めの注射を打ち意識がもうろうとしている。

腿から肝臓の血管の閉鎖は順調だったが、胸の血管から肝臓へパイプを繋ぐのは困難だった。

一夜明け 痛みは続く。
はっきりした原因は分からないが 高熱に悩まされる。
2日から抗がん剤治療を始めたかったが 熱の下がるのを待つことにした。

早く治療を始めたい彼は 1時間、 30分おきに検温していた。
どういう時に熱が 上がったり下がるのか 分析していた。

高温で体がきつい。汗をかく。そんな状態でも見舞いに行けない私。
1日に何回も着替え 着替えもなくなり、洗濯を自分でしなくてはいけない。
もうろうとフラフラしながら 身の回りのことを頼る人もなく一人でやっていた。

行ける事なら 病院に飛んでいきたい。
でも 接客業の自営業、彼のいない分頑張らないと。

『行きたい、行きたい』心が苦しい。
でも私は 今日も にこやかに接客をする。

彼は 肋骨の辺りが痛い 息がうまくできない、と言う。

今日は 無理せず寝ている。
寝ていても 苦しそう。

掛ける言葉が無い。
慰めも 励ましも 空に浮いた言葉・・・
普通の生活を送ろう。


とにかく 次回 紹介してもらったがん専用病院に行って 観てもらわなければ。


『もしかしたら治るかもしれない・・・』
『先日観てくれた先生は あと2カ月 と、言った』
頭の中が ぐるぐる回る。

一人 車を運転していると 涙が止まらない。
『いなくなってしまうかも知れない・・・』
気がどうにかなりそう。


彼に言われた。
「これからは 内緒事は無しだから」

私「うん、わかった」


『2か月・・・』と、言われた事、これだけは言わないでおこう。
だって、専門医にこれからかかるんだもん。

これからは 本当に内緒事無し。
一緒に 戦う。




検査の結果を聞きに 通院。
一緒に付いて行ってあげたかったが 仕事が外せず 彼一人で行った。

  昼休み時間 電話が鳴る。
私 『検査結果の連絡か? 帰るコール?』
彼 「仕事終わった? 病院に来られたら来ない? その時 先生から結果聞いて」

胸騒ぎ。
彼はもう結果を聞いたらしいが 直接先生から聞いてくれという。

何も考えられず ただただ 病院に向かって運転する。

待合室に体調悪そうな彼が座っていた。

先生との面会・・・・


レントゲン写真を見ながら・・・
若い男の先生が口を開く。
「肝臓がんです」


・・・・・・・・

先生 「ガン細胞が 門脈まで入り込んでいます。手術も難しい状況です」
彼  「中期位ですか」
先生 「末期・・・。   取り敢えず 専門の病院を紹介します」

私  『末期ガンって どういう事?』


  病室を出るとき 彼に気づかれないように先生に聞いた。
私  「末期ガンて どう云う事ですか。」
先生 「あと 2か月か…  専門病院でその後どれ位のびるか…」

私は 待合室で彼と座っていた。
冷静に 口数も少ない。
本人より泣く事も出来ず 変な慰めも言えず、時間だけが過ぎた。

それぞれの車で家に帰った。
「てっちゃん  ・・・・。   何てこと・・・」

運転しながら 涙が、飛びちる。

『2か月ってどういう事。 なんで なんで。  てっちゃん!!』

家に帰って仕事が待っていた。
私は こんな時でも 笑って接客している。



『やだ やだ  やだやだ。

   てっちゃん てっちゃん  てっちゃん』

そばに いてあげたいけど。
  
    てっちゃーん。